シーリングファンとは、リゾートホテルやカフェの天井でよく見かける大きなファンのこと。最近では、日本の住まいでも吹き抜けなどのある高い天井に設置するケースも増えています。そこで今回は見た目のイメージ以上にメリットいっぱいのシーリングファンの効果について掘り下げていきます。
●思った以上の実力派!シーリングファンのメリットとは
シーリングファンはインテリアの雰囲気を高めるアイテムだと思っている方が多いのですが、真の姿はかなりの実力を持つ有能な空調機器です。
一般に室内は天井付近に暖かい空気が上昇し、床目には冷たい空気が滞留して温度のムラが発生します。シーリングファンは大きな羽根の回転でパワフルに室内の空気をかき混ぜ循環させますから、この温度のムラを解消して快適な空間を作り出すのです。
冷暖房効率をアップ!
このファンの回転で、室内空気の大きな流れをつくるサーキュレーション効果は、温度のムラを解消し冷暖房の効果をアップしてくれます。冬は暖かな風を足元まで広げ、夏はやさしい風の流れで爽やかな室内を実現します。
省エネ効果も抜群
サーキュレーション効果で冷暖房の効きが良くなると、節電効果も期待できます。一般に空調機の設定温度を1度の上げ下げするだけで10%ほどの省エネが見込めると言われています。資源エネルギー庁の資料では冬季エアコンの設定温度を一度下げると、電気代を約1,430円節約できると発表されています。
エアコンの設定温度を1℃下げた場合
冬季消費電力:約53kWh 省エネ
電気料金: 約1,430円 節電
条件:外気温度6℃時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を
21℃から20℃にした場合 (使用時間:9h/日)
エアコンの設定温度を1℃上げた場合
夏季消費電力:約30kWh 省エネ
電気料金: 約820円 節電
条件:外気温度31℃時、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を
27℃から28℃にした場合 (使用時間:9h/日)
エアコンの節電効果:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 2022年版」より
カビや結露を防止
室内の換気が不十分だと、カビや結露の原因となる場合があります。居室のなど湿気の溜まりやすい部分は、梅雨期には湿気がこもってカビや結露が出来やすくなるケースも。シーリングファンで、部屋全体の空気の流れを良くなると、カビや結露の防止にも役立ちます。
洗濯物の乾燥が早い
つねに室内の空気を循環させるシーリングファンは、予想外のメリットもあります。ゆったりとした風が洗濯物付近の湿気を拡散させるので、洗濯物が乾きやすく部屋干しで気になる匂いを抑えることにもつながります。
洒落たインテリアとしても
シーリングファンには、色々なデザインやサイズ、照明付きなどのバリエーションがあります。 インテリアに合わせて設置すれば、ゆったりと優雅に回るファンの印象が、安らかなリゾート気分を演出。インテリアとして選ばれるケースが多いのも納得です。
●デメリットはないの?
もちろんシーリングファンにはデメリットもあります。設置してから後悔することのないようんに事前にしっかりと検討してください。
掃除に手間がかかる
シーリングファンは高い位置に設置することが多く、掃除がしにくいのが欠点。手の届いきにくい高い位置にあるので、通常の掃除に比べて手間がかかります。また、ファンに付着するホコリがとれるような、高い位置まで届く掃除道具を用意する必要もあります。
設置できる場所が限られる
天井が低い部屋は、エアコンだけで空気が循環できている場合が多いので、シーリングファンのメリットが活かせません。頭に近い位置になるため、ファン騒音や頭にぶつからないかなどを確認する必要もあります。
また、設置には、それなりの天井強度が必要となります。設置の前に強度を確認しておくことが必要です。
●実際どうなのシーリングファン?
取り付けてから後悔したくない!そんな方のために、シーリングファンの実際の使用感で気になるポイントをまとめてみました。
ファンの音は気になる?
一般的に、シーリングファンの音は、ほとんど気になることはありません。ただ使用しているモーターが2タイプあり、交流のACモーターの場合には若干音が聞こえる場合があります。もう一つの直流タイプのDCモーター音はほとんど聞こえないことが多く振動も少ないため人気となっています。
どうやって掃除するの?
掃除の際は、静電気でほこりをとるタイプで、長いサイズのハンディモップを使います。 使用環境にもよりますが、水拭きをしなくても、はたきをかける要領で綺麗に掃除することができます。
使用時の電気代は?
シーリングファンは消費電力も低く、電気代もあまりかかりません。たとえば、消費電力40Wのシーリングファンを1時間使っていたとすると、一般的な家庭の電気代31円/1kWhから計算し、1時間で1.24円の電気代が発生します[※1]。24時間で29.76円、1ヶ月(30日)では892.8円ほどの電気代となります。また太陽光発電+蓄電池のシステムを併用すれば電気代は0にできます。
1時間当たりの電気代は
40W÷1000×1時間×31円=1.24円
電気料金は、全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」から1kWhあたり31円(税込)として計算しています。
取り付け費用は?
本体価格はサイズや機能によってさまざま。 目安としては、小型タイプが1万円前後、中型で2万円程度、大型タイプは4万円を超える場合が多いようです。
工事費用は、天井にある既存の配線器具を使う場合と、新たな配線器具を使う場合で異なりますが、5,000円〜1万円程度が相場となります。ただ、天井によっても取り付けられない場合や追加工事が必要な場合もあり、理想的には新築時に設置するのがオススメです。
●失敗しないシーリングファン選びのポイント
シーリングファンは設置してしまうと、気に入らないからと言って気軽に取り替えるわけにはいきません。そこで、選ぶ際のチェックポイントをリストアップ。購入前にぜひ参考にしてください。
1.照明付き?照明なし?
シーリングファンに照明が付いた一体型は、価格的には高くなりますが、天井をすっきり使えます。
2.天井の高さに合ってる?
天井高が2.7m未満の部屋の場合は圧迫感のない小型で軽量タイプを。傾斜天井には対応可能なタイプを選んでください。吹抜けなど天井高が4〜5m以上の場合、延長パイプの長さにも注意してください。
3.羽の数や直径は?
羽根の数は、3〜4枚タイプが主流です。枚数によって風量にあまり変化はありませんが、自然でやさしい風がお好みなら、5〜6枚タイプがオススメです。 また、羽の直径ですが、狭い部屋や天井が低い場合には、100cm未満のタイプが適しています。
4.機能は?
照明の明るさを調節できる機能や、ファンの回転方向を変えることができるリバース機能、リモコンで操作できるタイプなどがあります。
5.モーターの種類は?
6.デザインは?
シーリングファンのモーターには、交流電源を使うACモーターと直流電源を使うDCモーターの2種類があります。ACモーターは、●部品が安い●種類が多いメリットがありますが、消費電力が多い製品もあるので要注意。DCモーターは、●消費電力が少ない●パワフル●静か●長い延長パイプ対応などメリットが多く価格は高くなりますが人気のタイプです。
ウッディでナチュラルなタイプから、レトロなデザイン、モダンなデザイン、アンティーク調まで、多彩なデザインがあり、インテリアや好みに合わせて選べます。
●設置できる場所は
シーリングファンは2〜3畳の小さな吹抜けから、本格的な吹抜け、アーチ型や傾斜天井、さらに屋外バルコニーなど様々な場所に設置できます。
まず必要な天井高は 床から羽根までの高さが最低でも2.1m。天井高2.4mの場合は羽根上高さ30cm以内のモノを選ぶと良いでしょう。また、天井高2.7mまでの場合は羽の直径100cm未満の軽量タイプが推奨されています。天井高さ4〜5mある場合は長めのパイプで調整してください。天井が傾斜している傾斜天井では傾きが39度まで可能な製品もあります。
また取り付け位置は、壁から40〜50cm離す必要があります。
●イシンホームなら多彩なシーリングファンの取付プランに対応します。
イシンホームでは豊富なシーリングファンの設置経験を元に、強度計算や空調効果をシミュレーションして最適なプランをご提案します。シーリングファンのある住まいをご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。