リビングは暮らしの中心。住まいづくりの中でも最も関心の高い空間です。ところが、アフターコロナによるリモートワークやおうち時間の増加などライフスタイルの変化から、新たな視点に基づくリビングのプランニングが求められてきています。そこで今回は、最近のニーズを踏まえながら注文住宅で理想のリビングを実現するためのポイントを分かりやすく解説します。
●変わるリビングへのニーズ
昭和から平成の時代のリビングは茶の間とも呼ばれ、家族の団らんやお客様を迎えるくつろぎのスペースでした。ところが時代と共にリビングの役割が変化してきています。例えばお子さまが低学年のうちは子供部屋ではなく、リビングを学習スペースとして活用することで勉強に良い影響が出ることから「リビング学習」のスタイルが増加。
また新型コロナウイルスの感染拡大による、在宅勤務やオンライン学習の増加は、リビングでやむを得ず在宅勤務やオンライン学習をするスタイルを一般化しました。コロナが落ち着いた現在でもリビングはそういったワークスペースとしての役割が注目され、リビングの新たなスタイルやより広いリビングへのニーズがクローズアップされてきています。
●高まる広いリビングの人気
最近の注文住宅では広いリビングへのニーズが高まっています。ではリビングが広いことで得られるメリットはどのようのものがあるでしょうか。;
◇広いリビングのメリット
開放的な空間で快適性がアップする
空間の開放感を高める工夫はいろいろありますが、広さは空間にのびやかさを感じさせる最大の要素です。また広いリビングは開放感があるのはもちろん、それぞれのパーソナルスペースが確保しやすいため、家族が多くてものびのびと快適に過ごせます。
窓が大きく部屋が明るい
広いリビングは窓の面積も確保しやすいため、採光性を高めて明るく快適な空間をつくれるのもメリットです。また大きな窓は、部屋を広く見せる視覚的な効果もあります。コンパクトな住宅でも開放感のある印象になります。
ゲストを招きやすい
広いリビングがあればゲストを招きやすく、親戚や友人、お仕事関係などの来客が多い方は、広いリビングをつくるメリットが大きいでしょう。お客様ものびのびとくつろげるので、おもてなしにもぴったりです。
生活動線がスムーズ
生活動線がシンプルで効率的になっていれば、家事がスムーズで家族間のコミュニケーションを円滑になります。広いリビングであれば通路幅が広くどのスペースを歩いてもスムーズに動けるため、快適な生活動線がつくりやすいメリットがあります。
ライフスタイルの変化に対応しやすい
ライフスタイルが変化した場合でも、広いリビングなら対応しやすくなります。大きな家具への買い替えや部屋の配置変えも苦労しません。また、あらかじめ可動式間仕切りを設けておけば、広いリビングが必要なくなったときでも客間や書斎にするなど、空間を柔軟に変更できます。
◇広いリビングのデメリットと対策
もちろんリビングを広くすることでデメリットも出てきます。
冷暖房の効率が悪い
部屋が広いとその分大型エアコンが必要となり、冷暖房運転を始めてから適温になるまでの時間も長くかかります。また、窓が大きい場合は外気の影響を受けやすく、冷暖房の効率が悪くなるため、光熱費が高くなりがちです。広いリビングをつくる際は、断熱性や気密性をしっかり考慮して計画を進めてください。
掃除や片付けが大変
リビングが広いと床の面積が多くなり、掃除機をかける手間が増えるのもデメリットです。対策としては物を置かないようにして、ロボット掃除機にまかせてしまうのがオススメ。普段から物を置かないようにすれば、スッキリしたリビングをキープできる効果もあります。
他の部屋が狭くなる
リビングを広くした分だけ他の部屋が狭くなってしまいます。限られ床面積の中でリビングと他の居室のバランスを保つには、リビングに通路の役割も持たせると良いかもしれません。例えばリビング階段は、廊下や階段ホールを省略してその分リビングを広げることができます。
◇リビングの広さの目安
リビングの広さは、家族の人数や家具・家電に必要なスペースから決まります。家を建ててから狭かった後悔しないためにも、事前にしっかりと広さを検討することが大切です。
最低限必要なリビングの広さ
ゆとりあるリビングを考える上で、まず、最低限必要なリビングの広さの目安を把握しておきましょう。業界団体の指針によると居室が2部屋以上の場合のリビングの最低限の広さは、下記のようになっています。
・DKの場合6畳以上 |
・LDKの場合は10畳以上 |
この数字を踏まえて考えられるリビングの広さの目安は次のようになります。
LDKの広さ | 広さの目安 |
---|---|
8~12畳 | 単身向けマンションに多い |
12~16畳 | やや狭く少人数向け |
16畳~20畳 | 一般的なファミリー向けの住まいに多い |
20~24畳 | 家族が多くてもゆったりくつろげる |
ですから一般的な家族向け住宅のリビングは約16~20畳程度、ゆとりある広さを考える場合は20畳前後がオススメになります。
◇リビングの広さを決めるポイント
・家族の人数
夫婦2人暮らしの場合、大きなサイズの家具は必要ありませんので、LDKの広さもそれほど必要ありません。しかし、将来的にお子さまや親世帯との同居などによって家族の人数が増える場合、より大型の家具・家電が必要になります。しっかりとライフプランを見据え、将来にわたって快適に過ごせる広さを検討してください。
◇リビングのタイプ
注文住宅のリビングの間取りは、大きく「リビング・ダイニング一体型」と「リビング・ダイニング分離型」の2種類に分けられます。
【リビング・ダイニング一体型】
家族がくつろぐリビングと、食事をするダイニングが仕切られていないタイプ。広々とした空間が特徴で、開放的な雰囲気があります。
・メリット
リビング全体が明るく開放的な雰囲気になる
家族が集まりやすくコミュニケーションが深まる
キッチンが対面カウンター式の場合は、子どもの様子を見ながら家事ができる
・デメリット
料理の匂いや油などがリビングまで流れてしまう
プライベートな空間を確保しづらい
【リビング・ダイニング分離型】
リビングとダイニングが分離しているタイプで、別々の部屋にする他、家具などで仕切って別々の空間とするケースもあります。
・メリット
食事をする場所とくつろぐ空間を分けられる
インテリア等を変えることでリビングとダイニングに変化を出せる
・デメリット
部屋が狭く感じることがある
食事中にテレビを見ることができない
◇キッチンの形状
注文住宅に設置するキッチンのタイプによって、必要な広さが異なります。キッチンの形状ごとに必要な広さは以下の表のとおりです。
キッチンの形状 | 必要な広さの目安 |
---|---|
アイランドキッチン | 約6~8畳 |
ペニンシュラキッチン | 約4.5畳~5畳 |
II型 | 約4.5畳~5畳 |
L型 | 約4.5畳~5畳 |
◇家具・家電の目安サイズ
LDKに置かれることの多いダイニングテーブル・ソファ・テレビの目安サイズを紹介します。
・ダイニングテーブル
サイズ感 | 必要な広さの目安 | |
---|---|---|
2人掛け | 幅70~80cm 奥行き70~80cm | 幅190〜200cm 奥行き230〜240cm(約3畳) |
4人掛け | 幅120〜140cm 奥行き80〜85cm | 幅240〜260cm 奥行き240〜245cm(約4.5畳) |
6人掛け | 幅160〜180cm 奥行き80〜85cm | 幅280〜300cm 奥行き240〜245cm(約5畳) |
・ソファ
サイズ感 | 必要な広さの目安 | |
---|---|---|
1人掛け | 幅85~90cm 奥行き85~100cm | 約4.5畳〜 |
2人掛け | 幅150~175cm 奥行き85~100cm | 約6畳〜 |
3人掛け | 幅180~195cm 奥行き85~100cm | 約8畳〜 |
・テレビ
テレビのサイズ | 画面広さ | 視聴距離(HD) | 視聴距離(4K) | 必要な広さの目安 |
---|---|---|---|---|
40型 | 49.80cm | 約149cm | 約75cm | 6畳〜8畳 |
45型 | 56.00cm | 約168cm | 約84cm | 6畳〜8畳 |
50型 | 62.30cm | 約187cm | 約93cm | 8畳〜 |
60型 | 74.70cm | 約224cm | 約112cm | 10畳〜 |
●リビングづくりで検討すべきポイント
家族で長い時間を過ごすリビングは、検討するポイントも多岐に渡ります。できるだけ多角的な視点からリビングの検討を行い理想のリビングづくりを実現してください。
◇天井高さ
天井の高さは50mmの違いで開放感を感じたり、圧迫感を感じたりします。一般的な天井高は2,400~2,500mmですが天井高を上げることで、家全体の通気性や日光の取り込み具合も改善され、快適性や居住性を向上します。
◇収納スペースの場所や種類
ファミリークローゼットや納戸を別室に設けても、リビングから距離があれば使われない可能性があります。リビングにも大きなものも収納するスペースを考えましょう。またテレビのリモコンやスマートフォンや充電器機など、小物を収納する場所も重要です。リビングの近くに上着をかけておけるハンガースペースがあると、帰宅後すぐに外着を脱ぎ、リラックスできるのでオススメです。
◇照明計画
同じリビングでも、照明計画で空間の印象は大きく変わります。大きなシーリングライトで均一に照らすのではなく、ダウンライト・スポットライトなど使って明暗を付けると空間に奥行きが生まれます。また間接照明など光源を直接見せないライティングも、スタイリッシュな空間を演出するテクニックの一つです。
◇床材
無垢フローリング
木の温もりを感じられ、調湿効果もあります。天然素材のため、割れや反りが出やすいというデメリットもあります。
複合フローリング
重ねた合板の上に化粧シートを重ねたタイプ。反りなども少なく、お手入れも簡単です。価格も安いのも魅力です。
クッションフロア
塩化ビニールにクッション材が入っている床材です。クッション性があるため、転倒した場合なども衝撃が吸収されやすくなっています。ただリビングの床材としてはチープに感じるかもしれません。
◇壁材
クロス
クロスは一般的な住宅においてよく使われる壁材。価格も安く、模様や柄、色のバリエーションも豊富です。「紙クロス」はデザイン性に優れ、温かみがありますが耐久性が低いのが難点です。
塗り壁
塗り壁は日本の気候に適している壁材です。調湿性や防火性、防音性、さらには断熱性にも優れています。ただ仕上がりは職人の腕に左右される上、施工費が高いのがデメリットです。
無垢材
スギやヒノキなどのが多く使われ、木の味わいがあり、経年変化を楽しめます。調湿性や保温性、吸音性もありますが、割れや反りが出やすいのがデメリットです。
◇つづき部屋をつくるかどうか
リビングに隣接して和室や客間などを設けるつづき部屋の間取りも人気があります。引き戸を開けてひと続きにすれば、リビングと一体化して大きな空間として使えます。戸をしめて別にすれば多彩に活用できるゆとりの空間に!このように、つづき部屋はリビング空間の柔軟性を高めてくれます。
◇リビング階段を設置するかどうか
リビングに階段を設置すれば、玄関から個室に直行して顔を合わせないというようなケースがなくなり、家族間の自然なコミュニケーションがとりやすくなります。ただ、生活音が気になるなどのデメリットもあります。暮らしのシーンをイメージしてリビング階段のメリット・デメリットを検討することが大切です。
◇吹抜けの有無
吹抜けのあるリビングはのびやかな開放感が生まれ、視覚的にも広々とした空間をつくり出すことができます。また、高い位置に窓を設けることができ採光と通風の面でもメリットも生じます。空調効率や音など気をつけるべき要素もあるので、プロに相談しながら検討することがベターです。
●快適なリビングにするための設備
エアコン
リビングの広さに合ったエアコンの能力を選びましょう。一般的な壁掛け型の他に、注文住宅では天井埋め込み型も選べます。配置もポイントで、吹き出す方向で空調効率は変わります。
床暖房
足元からポカポカ暖かい床暖房は、優しい暖かさで人気の設備です。床暖房は輻射熱でお部屋全体を均一に温めてくれて、乾燥や空気の汚れが発生しないのがメリットです。
全館空調
最近は、全館空調を導入する注文住宅も増えています。住まい全体の温度を均一にキープし、快適さを守ります。各部屋にエアコンや暖房を設置する必要がなく、室内のインテリアをスッキリまとめられるのも特徴です。
●リビングづくりで後悔しやすいポイント
注文住宅づくりの失敗は往々にして住んでから気がつくものですが、大きな後悔の原因になってしまいます。ここではそんな後悔しやすいポイントを紹介します。
◇外からの視線が気になる
採光性だけを考え、安易に南向きに窓の設置を決めると、外からリビングの中が丸見えになってしまったというケースは意外に多いもの。そうなると一日中カーテンを締め切ることになり、採光も望めなくなります。例えば、東側や北側に大きな窓を設け、中庭を囲むように建物をコの字型やL字型に配置すれば、プライバシーを守りながら光と風を招き入れることができます。
◇採光性が悪い
住宅が密集している土地に住まいを建てた場合は、採光が難しくリビングも暗くなりがち。天気が良くても朝から照明が必要だと、気分も晴れません。このようなケースでは、リビングに吹抜けを設けて高窓から光を取り入るプランがオススメ。吹抜けがつくれない場合は、屋根に天窓を数カ所設けることで十分な光を取り込むことができます。
◇壁がなく家具の配置がしにくい
明るい家にしたいあまり、窓の数を多くしすぎたという後悔もよくあります。窓の数が多いと壁の面積が少なくなり、家具の配置が難しくなったり、外気の影響を受けて空調効率が低くなったりします。通常の窓では採光が難しい場合は、安易に窓を設けるのではなく、プロに相談して最適な解決策を探ってください。
◇冷暖房が効きにくい
せっかく吹抜けやリビング階段設けても冷暖房の効きが悪いという声もよく聞きます。特に暖かい空気は上昇するので、冬は暖気が上方に逃げていきリビングが寒くなりがち。また、エアコンの向きが悪いと、お部屋全体の温度が均一にならず快適性が低下する可能性もあります。断熱と気密性能を高めて空調が効きやすいリビングを計画してください。
●ユーザーの声
千葉県 Y様
【子供の頃からの憧れを実現できました】
子供の頃からのイメージとして吹抜けがあってシーリングファンが回っているようなリビングが夢でした。今は吹抜けがあってリビング階段があるリビングが実現。朝「おはよう」って階段からみんなの顔が見られる日常に満足しています。
お客様の声はこちらから
https://ishinhome.co.jp/voice/detail.php?id=865
●まとめ
広いリビングはもちろん、快適さの工夫や収納計画、リモートワークへの対応まで。注文住宅のリビングづくりで豊富な経験と実績を誇るイシンホーム。多彩な提案で理想のリビングづくりをきめ細かくお手伝いいたします。ぜひ一度、最新のリビングづくりの実例をご紹介しますから、お気軽にご相談くださいね。