限られた空間を広く見せられる吹き抜け。採光を確保できたり、デザイン性に優れていたり、開放感が得られたりするなどメリットが多く、新築時に取り入れたいと考える人はたくさんいます。しかしその一方で、「吹き抜けは寒そう…」と心配する声をよく聞くのも事実。住み始めて後悔しないために、本当のところはどうなのか、知って納得のうえ、取り入れたいですよね。そこで今回は、吹き抜けのある快適な家づくりのポイントを解説します。
「吹き抜け=寒い」これって本当?
吹き抜けをつくるかどうか検討する中で、「吹き抜け」で検索すると、「寒い」というワードが必ず出てきます。それだけ多くの人が関心を寄せている吹き抜けの寒さ問題ですが、本当のところはどうなのでしょうか。
「吹き抜け=寒い」と感じる理由のほとんどに、「コールドドラフト」という現象が関係しています。これは、温かい空気は上部に流れ、冷たい空気は下部にとどまるという現象。吹き抜けの場合、天井が高いので、どうしても温度に偏りが生まれて、家族が過ごす1階部分が寒くなってしまうのです。
また、吹き抜けによって空間が広くなる分、部屋全体に暖房が届き渡るのにも時間がかかります。特に暖房能力が空間の大きさに見合っていないケースでは、寒さを感じてしまうことが多いようです。
家作りで工夫できるポイント
上記のような理由を知ったうえで効果的な対策を施せば、吹き抜けはデザイン性や開放感などの面で、メリットの多い間取りです。具体的に家づくりで工夫できるポイントを紹介しましょう。
●家の断熱性・気密性を高める
第一のポイントは、家の断熱性と気密性を高めておくことです。
工事の際に、屋根や壁の中に高性能な断熱材を充填することで、外と内の空気がしっかり遮断され、冬の寒さを軽減できます。
また、気密性の確保では、窓がポイントになります。実は住まいの中で、熱損失が最も大きいのが窓。樹脂製のサッシやペアガラスを取り入れて、気密性とともに断熱性も高めておきましょう。なお、むやみに大きな窓は、外気の影響を受けやすくなるため、適切な大きさの窓を設計することも大切です。
●熱交換換気システムを採用する
熱交換換気システムを採用し、換気による室内の温度変化を防ぐのも効果的です。
そもそも新築住宅への導入が義務化されている24時間換気システムには3種類あります。そのうち、熱交換換気システムに当たるのは、給気と排気の両方を機械で行う「第一種換気システム」。室温の変化を少なく換気できるのが特長で、家全体の温度が均一になり、吹き抜けのある空間だけ寒いという悩みが軽減されます。
なお、給気だけを機械で行う「第二種換気システム」や、排気だけを機械で行う「第三種換気システム」では、室内の温かい空気と冷たい外気がそのまま出入りするので、冬は寒く、夏は暑いと感じてしまいがち。冷暖房の効率も悪いです。
●シーリングファンを設置する
温められた空気は、どうしても上へ上へと流れてしまいます。空気を循環させるシーリングファンを天井に設置すると、そんな温度の偏りを解消することができるでしょう。
シーリングファンを上向きに回すと、温かい空気は壁に沿って下向きに流れ、部屋全体に行き渡り、床周辺も暖かくなります。
こうしたポイントを踏まえて、吹き抜けを間取りに取り入れるかを検討してみてくださいね。なお、開放感が魅力の吹き抜けですが、実際には2階の一部屋を使ってしまうことになります。2階の床面積は小さくなるので、収納が少なくなってしまうことは知っておきましょう。
●床暖房を導入する
吹き抜けのある部屋は足元が冷えやすくなるため、足元から暖めることができる床暖房も有効です。床から直接伝わる伝導熱と、床から部屋全体に広がる輻射熱の組み合わせによって、心地よい暖かさを感じられます。そのうえ、空気が乾燥しないことも魅力。リビングなど、長時間滞在する部屋に導入するのがおすすめです。タイプは温水式と電気式の2種類。温水式はすぐに温まるうえに光熱費が安いものの、初期費用が高いことが難点。電気式はその逆で、初期費用は安いものの、温まるのに時間がかかるうえに光熱費が高いです。状況に応じて選ぶといいでしょう。
●間取りについて検討する
吹き抜けは、広い空間であることが原因となり、空調効率が悪くなってしまう傾向があります。これは、リビングを吹き抜けにする場合、縦方向の広がりだけではなく、リビングとダイニング、キッチンを一緒にするなど、横方向にも広がりを持たせることが多いことが原因。吹き抜け部分とつながっていないクローズドキッチンを採用する、部屋の一部を吹き抜けにするなど、間取りを決める際に吹き抜け空間を小さくすれば、寒さ対策につながります。
また、玄関を吹き抜けにする場合には、ドアや壁で仕切って吹き抜け部分を独立した空間にするといいでしょう。LDKや寝室などの生活空間は、それぞれエアコンなどを使って快適な温度に保つことが可能です。
●窓の配置を考慮する
吹き抜けの寒さ対策として、窓から日射熱を取り込むのも一つの方法です。これはパッシブデザインと呼ばれる設計技術で、夏場の高い位置から差す太陽光は遮り、冬場の低い位置から差す太陽光をうまく取り入れるよう考えながら、最適な方角や位置に窓を付けることがポイントとなります。また、高断熱高気密住宅では窓を小さく、そして少なくする方法もあります。専門家による計算をもとに、間取りなどと合わせて計画することが大切です。
●イシンホームならきちんと考えて設計。しかも標準装備で暖かい!
イシンホームの注文住宅では、規格プランで吹き抜けのある家づくりをご提案しています。ポイントは、高い断熱性能と93%熱交換排気システムのダブル効果。これがあれば、寒さを心配して、吹き抜けを諦める必要はありません。
「万能マルチ壁」で快適空間に
イシンホームが採用している「万能マルチ壁」は、外断熱と内断熱を組み合わせたような工法の「7層の壁」が特徴。赤外線を約80%反射する宇宙服のような特殊シートで家を包み込み、さらに「発泡ウレタン吹付け断熱」を施すことで、一般住宅の2.4倍の断熱性能を実現。夏は涼しく、冬は暖かい快適空間を作ります。
93%の熱交換率を誇る「Eco-i熱交換換気システム」で寒さ知らず!
さらに、夏は冷たく、冬は温かい地中熱を利用した「Eco-i熱交換換気システム」を採用。外の空気と部屋の空気をそのまま交換する一般的な換気システムとは異なり、冬は、冷たい外気と室内の温かい空気を一度床下の全熱交換機に取り込んで熱交換。新鮮な空気はさらに地中熱で温めてから部屋へ取り入れ、カビやホコリなどで汚れた室内の空気は外へ排出します。夏は、外の暑い空気と部屋の涼しい空気を床下に取り込んで熱交換し、冷やしてから部屋の中に取り入れます。
一般的な全熱交換器は70%の熱交換率とされているのに対し、イシンホームの熱交換換気システムの熱交換率は世界最高クラスという約93%。熱交換率93%とは、例えば室内が20度、屋外が0度の場合、熱交換換気によって、0度の外気を約18度にして室内へ取り込むことができるということ。換気による室温変化が少なければ、その分、快適に過ごせるのはもちろん、エアコンなどへの負荷もなく、電気代のかからない省エネな暮らしが可能になります。
そのほか、熱損失が最も大きいとされる窓には、結露しにくい樹脂サッシと断熱性が高いLow-E複層ガラスを採用。一般窓の約3.9倍もの断熱効果でエネルギー消費を抑えています。イシンホームでは、これらの省エネ設備がすべて標準装備となっていて、追加費用の心配もありません。
●まとめ
今回紹介した工夫できるポイントを箇条書きしています。ちょっとした確認などを簡単に行えるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
<家作りで工夫できるポイント>
〇家の断熱性・気密性を高める
〇熱交換換気システムを採用する
〇シーリングファンを設置する
〇床暖房を導入する
〇隣接する部屋と連携する
〇窓の配置を考慮する
「寒い」と思われがちな吹き抜け空間ですが、さまざまな工夫によって真冬でも暖かく快適に過ごすことができます。ぜひ今回の記事を参考に、高いデザイン性と快適さを兼ね備えた吹き抜けのある家を実現してください。また、これまでに培った経験や知識をもとに、希望に応じたアドバイスもさせていただきますので、気軽にご相談ください。