住宅はとても高額な買い物なので、少しでも値段を抑えたいと望む人は多いと思います。そこで気になるのは、「値引き交渉は可能なのかどうか」ではないでしょうか?今回は、そんな値引き交渉の実情と、値引きを成功させるためのコツをご紹介。さらに、値引き以外にお得に家を建てる方法も伝授するので、ぜひチェックしてくださいね!
●そもそも、値引きってできるの?
一般的に、既に完成した状態で販売される建売住宅に比べて、建てる前に契約を結ぶ注文住宅は、値引きがしづらいと言われています。その理由は、値引き後に使う建材を安いものへ変更される、つまり、金額が下がった分住宅の品質も下がっている可能性があり、純粋な値引きとは言えないからです。
しかし、そんな注文住宅でも、あらかじめ値引きありきで見積りが出されている場合には、交渉できる余地があります。また、値引き交渉する時期や交渉内容によって希望が通る可能性も。値引率は施工会社によって異なりますが、一般的に適正額に近いことが多い地域の工務店より、広告費などが上乗せされている可能性が高い大手ハウスメーカーの方が、大きな値引きが期待できます。
●金額交渉のやり方を紹介
値引き交渉を行いたい人のために、具体的な交渉方法を紹介します。
複数の施工会社で見積りを取る
まずは複数の工務店やハウスメーカーから見積りを取ることがとても重要です。注文住宅の相場を知ることができ、価格交渉がしやすくなるでしょう。
見積りを取る際には、設備などの条件をなるべく合わせておくのがポイント。そうすることで、どの会社が割高なのか把握しやすくなります。なお、他社の見積りを値引き交渉に使う場合は、なるべく坪単価やグレードが近いメーカーのものを提示すると、より効果的です。
契約直前に交渉する
値引き交渉を行うタイミングは、契約直前がおすすめです。なぜなら、早く契約を結びたい工務店やハウスメーカーは、最後の決め手として交渉に応じてくれる可能性が高いからです。反対に、契約後に値引きに応じてもらえる可能性はほぼありません。契約後にしつこく値引きを迫ると、その後の打ち合わせに支障をきたすリスクもあるので、やめた方が良いでしょう。
値引き交渉の目標は価格の3〜10%
値引率の相場は、価格の3〜10%と言われています。施工会社によって異なりますが、工務店の場合は端数を切る形で見積り額の3%程度の値引きなら受けてもらえる場合が多いでしょう。一方、大手ハウスメーカーの場合は、5~10%の値引きを受けられる可能性があります。
値引き後に“追加サービス”も交渉してみる
値引き交渉が終わった後、追加でサービスを交渉するのもおすすめです。例えば、無料でキッチンの収納棚を造ってもらったり、壁紙や建具のグレードを上げてもらったりすれば、実質的な値引きになります。
●成功する値引き交渉のコツを伝授!
値引き交渉を成功させるためには、交渉するタイミングや事前準備も大切。ここでは、4つのコツを伝授します。
値引き交渉の時期を見計らって交渉する
住宅を販売する営業担当者は、会社の決算前は営業成績を上げるために販売数を増やそうと必死です。そのタイミングに合わせて値引き交渉を行えば、通常より成功しやすくなると考えられます。
一般的に、大手ハウスメーカーでは中間決算は9月で本決算は3月という会社が多いです。そのほか、決算期をホームページに掲載している会社もあるので、自分が希望する施工会社の決算期をチェックしておきましょう。
値引きをしてくれたら契約すると確約する
契約を取りたい営業担当者にとって「契約の確約」が値引きの決め手になるケースもあります。もし「ここにしたい」という気持ちが固まっているのであれば「値引きをしてくれたら契約する」と言って交渉してみると良いでしょう。
値引きが難しい場合はオプションの追加を交渉する
どうしても金額での交渉が難しい場合は、無料でオプションを追加してもらう形で実質的な値引きをはかるのも一つの手です。その場合、どうしても必要なオプションはあらかじめ付けておかなければいけないので、交渉するのは「あればいいな」という優先度が高くない設備にするのがポイント。そうすれば、万が一交渉がうまく行かなかった時に困るリスクもありません。
担当営業と良好な関係を構築しておく
住宅の購入は営業担当者を通して行われるため、その担当者との関係性が家づくりに大きく影響します。例えば、関係性が良好で意思疎通がうまくできていれば、よりスムーズに希望に近いプランを提案してもらえるでしょう。値引きについても同様に、相談を受けてもらえる可能性が高まるはずです。
情報収集を行っておく
値引きを交渉する上で、比較対象となる他社の情報を調べておくことはとても重要です。複数の見積りを取っておくのはもちろん、一般的な相場もインターネットなどで確認しておくのがおすすめです。ただし、相場は年々変わっているので、なるべく新しい情報を確認するようにしてください。
●値下げ交渉をするにあたって注意しておきたいこと
値下げ交渉を行うと、「なるだけ多く値引きしてもらいたい」という気持ちが先走ってしまうかもしれませんが、安くなればなるほど良いとは限りません。次のようなリスクもあるので、チェックしておきましょう。
ハウスメーカーとの関係が悪化することもある
あまりしつこく値下げを求め続けると、営業担当者との関係性が悪くなってしまうケースがあります。細かい要望を伝えながら、協力して造り上げなければいけない注文住宅。
さらに、保証制度やハウスメーカーによっては定期的なメンテナンスやアフターフォローでも関係が続くことも考えられます。そんな家づくりにおいて、関係性の悪化は致命的。最悪、他の要望も快く受け入れてもらえなくなる可能性もあるので、引き際の見極めも肝心です。
建物の品質に悪影響が出ることがある
無理な値下げを迫ると、使用する木材を安いものに変えられたり、内装や建具のグレードを落とされたりする可能性も考えられます。壁の内部の資材や柱などを変えられてしまうと、見ただけでは分かりません。しかし、断熱性や耐震性、防音性など、建物の品質が下がって、住んだ後に困ることもあります。
●お得に家を建てるためのチェックリスト
もし、値引き交渉がうまく行かなかった場合、諦めるのはまだ早いです。次のような方法でも費用を抑えられる可能性があります。
家や屋根を凹凸の少ない形状に変更する
一般的に、建物の形状がシンプルなほど、建築コストは下がる傾向があります。というのも、凹凸が多い複雑な形状の家は外壁の面積が増えるので、その分資材が必要になります。さらに、凹凸部分に補強が必要な場合は、構造面でもコストが上がるのです。一方、シンプルな形であれば、そうしたコストを省けるので、コストカットにつながります。
ちなみに、屋根は陸屋根や片流れ屋根であれば安価で対応してもらえることが多いです。切妻屋根と比較すると、その金額は50~60万円ほどと大きなもの。しっかりと検討しておくことが大切です。
平屋より2階建てを選ぶ
居住スペースを1階と2階に分ける2階建てと比べて、1階部分にすべての部屋や設備を入れなければいけない平屋は、建てるために広大な土地が必要です。そのため、平家の土地代や固定資産税は2階建てより嵩んでしまう傾向にあります。そうしたランニングコストを抑えたい人は、2階建てを選ぶ方が良いでしょう。
壁を減らしたシンプルな設計にする
建物内の壁を減らすと、その分の建具や壁材にかかるコストが抑えられます。例えば、子ども部屋を大部屋にして家具で仕切ったり、書斎を寝室やリビングの一角に設けたりするなど、工夫すると良いでしょう。
水回りを1カ所にまとめる
トイレや浴室、洗面所、キッチン、ランドリーなどの水回りは、なるべく一カ所にまとめた方がコストカットできます。なぜなら、上下水管を最小限にまとめられるうえ、配管工事費用も抑えられるから。もし、トイレを1階と2階にそれぞれ設けたいなら、1階のトイレの真上に造ると、設備費用と工事費用を最小限にすることができます。
●FAQ
値引き以外でお得に家を建てる方法は?
ローコストな家づくりを実現させる方法は、値引き以外でも多岐にわたります。一例を紹介しますので、チェックしてみましょう。
・ハウスモニターになる
施工会社によっては、ハウスモニター制度を採用しているケースがあります。ハウスモニター制度とは、モニターに登録した施主が一定の割引を受けられるお得な制度のこと。そのモニターになると、一定期間自宅を住宅見学会の会場として利用されたり、ハウスメーカーの資料に写真を使われたりします。そうしたことが気にならない人は、ハウスモニター制度があるかどうか確認してみると良いでしょう。
・キャンペーンを利用する
ハウスメーカーでは、季節ごとに期間限定のキャンペーンが行われています。その内容は、建築費自体の値引きから、特定の設備に関する値引きまでさまざま。いつ何が行われるかは決まっていませんが、一般的には決算前のタイミングで実施されることが多いので、チェックしてみてください。
・住宅ローンの金利を見直す
住宅はとても高額なので、ローンの利子の支払いだけでもまとまった額になってしまいます。ちょっとの金利差が大きな支払額の違いになる可能性もあるので、金利を見直すことは大切です。もし、自分の契約より金利の低い住宅ローンがあれば、借り換えも検討すると良いでしょう。
・紹介制度を利用する
自分が家づくりを希望するメーカーで既に注文住宅を建てた知人がいる場合、その人に紹介してもらうと、割引が受けられたりプレゼントを受け取れたりするケースがあります。そうした紹介制度では、紹介した側も謝礼などを受け取れることが多いので、友人や親戚に該当者がいれば積極的に声をかけてみると良いでしょう。
助成金や補助金について知りたい
さまざまな助成金や補助金の制度があるので、しっかりと押さえておきましょう。
・子育てエコホーム支援事業
長期優良住宅またはZEH住宅を取得、または住宅の省エネ改修等を行った子育て世帯・若者夫婦世帯に対して、長期優良住宅の場合は1戸につき100万円、ZEH住宅の場合は1戸につき80万円までが補助される制度です。
長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいた一定の基準を満たした、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のこと。一方、ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、高い断熱性や省エネ性能に加え、太陽光発電などでエネルギーを創り出し、年間のエネルギーの収支をゼロ以下にすることを目指す住宅を指します。
・LCCM支援事業
LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは、建設時から実際に暮らす期間、解体・廃棄時まで出来るだけ省CO2に取り組み、太陽光発電といった再生可能エネルギーの利用でCO2の収支をマイナスにする住宅のこと。ZEH住宅よりもより環境に優しい住宅と認識しておくと良いでしょう。定められた基準を満たせば、戸建住宅の場合は1戸あたり最大140万円の補助を受けられます。
・地域型住宅グリーン化事業
地域材を用いた省エネ性能等に優れた木造住宅(ZEH等)の整備等に対して行われる補助事業です。対象となるのは、2023年4月1日時点で18歳未満の子供がいる世帯(2024年3月末の着工の場合は2022年4月1日時点の世帯も対象)または、夫婦のうちどちらかがに2023年4月1日時点で39歳以下の世帯(2024年3月末の着工の場合は2022年4月1日時点の世帯も対象)。条件を満たせば、1戸あたり最大140万円の補助をうけられます。
・戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業
ZEHビルダーまたはプランナーとして登録されている施工会社が建築または販売する新築のZEHまたはZEH+に対する補助制度。ZEHには1戸あたり定額55万円、ZEH+には1戸あたり定額100万円が給付されます。
●まとめ
今回ご紹介した通り、注文住宅でも値引き交渉を行うことは可能です。ただし、リスクもあるので、無理な要求をしつこく行うのは避けた方が良いでしょう。交渉する際は、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしてくださいね。
また、値引き以外にも、間取りを工夫したり、助成金や補助金を活用したりして、お得に家を建てる方法はあるので、合わせて確認しておくのがおすすめです。不明点やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。