高級感で、耐久性で、外壁はタイル貼りで決まり!注文住宅で人気の外壁タイルを徹底解説

洗練された雰囲気漂うタイル貼りの外壁。閑静な高級住宅街に多い外壁タイルが、最近では一般の注文住宅でも人気が高まっています。理由は、住宅の長寿命化。60年以上も住み続けることができることを前提に建てられる長期優良認定住宅など、以前より建て替えのスパンが長くなったため、メンテナンスコストや耐久性を考えてタイルの外壁を選ぶ方が増えているのだとか。そこで今回はタイルの外壁にスポットを当てて、タイプ別の特徴や選び方、費用感やメンテナンスなど気になるポイントを解説します。

●外壁材の種類と特徴


外壁はまず工法によって大きく2つに分けられます。

・乾式工法


乾式工法とは、あらかじめ工場で生産した、セメント系や金属系のパネルを壁に貼り付けていく工法です。施工が比較的容易で、工期も短く、仕上の品質を一定に保ちやすいメリットがあります。
乾式工法の代表的な外壁はサイディングで、乾式工法の外壁タイルはサイディングの上に貼り付けています。

・湿式工法


湿式工法とは、土やセメントなどを水と混ぜて外壁に塗っていく工法のことです。 職人が一つ一つ手作業で塗るため、高級感や雰囲気のある仕上がりになりますが、手間とコストがかかります。
湿式工法の代表的な外壁はモルタル、漆喰(しっくい)などで、外壁タイルを湿式工法で仕上げる場合はモルタルの上に外壁タイルを貼り付けます。

・外壁材の特徴

◇外壁タイル


タイルは粘土などの原料を成形し、高温で焼き固めた板状の建材です。内壁・床・浴室などの保護や装飾に使用され、外壁材としても人気の素材です。外壁タイルは高級感や重厚感があり、他の外壁材にはない立体的な風合いでデザイン性の高い住宅に仕上げられます。加えてメンテナンスフリーといわれ、耐久性が高いことから人気の外壁材です。

◇サイディング


サイディングは素材によって窯業系、金属系、木質系がありますが、外壁には粘土などを窯で焼き上げた窯業系のサイディングが主流です。窯業系のサイディングは地震や火に強いメリットがありますが、防水機能がなく、10年に一度くらいの間隔で定期的なメンテナンスが必要です。材料や工事にかかる初期費用が安く済みますが、メンテナンスのコストが高くついてしまうのがデメリットになります。

◇塗り壁


モルタル、漆喰(しっくい)などの塗り壁は、自然な風合いが表現できる外壁仕上げ。上質な質感と自然な温もりが魅力です。ただし職人の手作業によって塗り上げるので初期費用だけでなく、メンテナンス費用もかかるデメリットがあります。


●外壁タイルのメリット


いろいろある外壁材の中でタイルを選ぶ際のメリットを整理しておきます。

・高級感


タイルは見た目が重厚で気品ある印象から、高級感を出しやすい外壁材です。また、上質な素材感と落ち着いた佇まいから、洗練された雰囲気を演出できます。年月を経ると独特な風情を醸し出す魅力もあります。

・デザインが豊富


タイルはデザインバリエーションが豊富で、自分の好みにあった外観デザインに仕上げられます。レンガ調など素材感や質感の変化や、カラーも選択肢が広く、家のコンセプトにあわせて選ぶことができます。

・耐久性


外壁材には見た目のデザイン性だけでなく紫外線や雨風から住宅を守る役割があります。タイル外壁は無機質素材でできているため、サイディング外壁やコンクリート外壁などに比べると耐久性・耐候性に優れています。

・傷つきにくい


自然素材を高温で焼き固めてつくられた外壁タイルは、硬度が高く擦りキズ、掻きキズが付きにくい強さがあります。釘で引っ掻いた程度では、ほとんどキズが付くことはありません。

・汚れにくい


タイルには「親水機能」があり、汚れが雨と一緒に流れ落ちるので、汚れにくく外壁の美しさを長く保ちます。表面は静電気が起こりにくく、ホコリなども付着しずらくなってなっています。

・メンテナンス費用


サイディングや塗り壁が約10年ごとにしっかりとメンテナンスが必要になるのに比べ、タイルは軽微なメンテナンスしか必要とせず費用負担が軽くなります。一般的に、サイディングの半額程度のメンテナンス費用で済むと言われています。

●外壁タイルのデメリット


ではタイルのデメリットはどんなことがあるのでしょうか。

・高い初期費用


タイル外壁は、他の外壁材と比べて価格が高めです。また、タイルを1つずつ貼り付けていくので工事の手間がかかり初期費用が高くなります。一般的には、サイディングより2倍程度高いと言われています。ただし、初期費用だけでなくメンテナンス費用も含めて長期的な視点で検討する必要があります。

・技術力が必要


タイルの施工は職人による手作業です。そのため、職人の技術よって完成度の差が出やすく、場合によっては剥がれや歪みが発生します。外壁材にタイルを使用するのであれば、実績ある会社や腕のよい職人に依頼することが重要です。

・剥離リスク


タイルは施工する職人の腕が悪いと地震の揺れなどにより壁から剥がれ落下する危険性があります。特に貼り付け下地にモルタルを使用している湿式工法の場合は、下地の弾力性が低く、地震などの振動を吸収できず、タイルが破損したり剥がれ落ちたりすることがあります。

・固定資産税が高め


外壁タイルは耐久性が高く長持ちするメリットがあるため、資産価値が高いとみなされ、初年度の固定資産税が高くなります。

●外壁タイルのバリエーション


外壁タイルの大きな魅力はバリエーションの豊富さ。材質の違いから形状やサイズなど様々なタイプが用意されています。

・材質の違い

 
◇磁器質


石英(せきえい)や長石(ちょうせき)、粘土を1250度以上の高温で焼き上げた素材。もっとも硬く吸水性も1%以下なので、凍結や摩耗に強い性質があります。

◇せっ器質


高温にさらされると多少膨張する性質があり極端な日差しの強い場所には不向きで、吸水性も5%程度あるため寒冷地の外壁ではコーティングが必要な場合もあります。

・仕上げ方法の違い

◇釉薬


タイルにガラス質の薬品を塗ってから焼く方法です。表面がピカピカになり、キズがつきにくくなります。一方、釉薬を使わない「無釉(むゆう)」と呼ばれる方法は、ザラザラした質感や自然な風合いが魅力ですが、汚れがつきやすいくなります。

◇光触媒コート


外壁タイルは、雨が降ると自然に汚れが落ちてきれいになる性質がありますが、晴天が続くと外壁が汚れたままになる課題があります。光触媒コートは、太陽の紫外線によって汚れをきれいにする特別なコーティング。天気に左右されず外壁をきれいに保てます。

・形状サイズの違い 

◇二丁掛(にちょうがけ)タイル


レンガの小口2枚分に相当する60mm×227mmの大きさ。外壁用は5〜15mmぐらいの厚みが主流で、重厚感があります。

◇45二丁(よんごーにちょう)タイル


50角タイル2枚分の45mm×95mmサイズです。モダンな印象でマンションの外壁で多く使用されています。

◇ボーダータイル


一般的なサイズは227mm×30mmで細長いタイルです。シャープで気品あるな雰囲気で人気のタイプです。

◇50角タイル


45mm×45mmの正方形サイズ。シンプルで他のタイルとも合わせやすいデザインです。

◇ブリックタイル


多種多様なサイズあります。レンガ風のイメージで質感にも高級感があり人気が高いタイプです。

・目地の貼り方の違い


タイル同士のすき間部分である「目地」にも、並べ方や仕上げ方法の違いがあります。また乾式工法では「目地なし」の仕上げも可能。目地なし仕上げは汚れや劣化の心配がなく、メンテナンスコストを省けます。

◇芋目地


芋目地はタイルの水平・垂直のラインをそろえる貼り方です。規則正しく整然とした印象をつくりやすく、縦横どちらかのラインが強調されるのも特徴です。

◇馬目地


馬目地は水平方向のラインをそろえ、垂直方向は互い違いに貼る方法です。レンガのようなイメージで外壁にリズムが生まれるのが特徴です。

●外壁タイルのデザイン 

・レンガタイル


本物のレンガ積みのような見た目で「ブリックタイル」と呼ばれることもあります。レンガと同じ素材を焼き固めてつくるタイルもあり、本物のレンガようなリアルな質感を再現します。

・ボーダータイル


横に細長いサイズのボーダータイルは、凹凸の有無や表面の質感などさまざまなタイプがあり、幅広い外観デザインにフィットします。外観のベース・アクセントどちらにも使いやすいタイルです。

・石調タイル


天然石のようなデザインの石調タイルは、高級感のある外観で人気のタイプです。本物の天然石よりコストを抑えやすく、建物の重量が重くならないのも石調タイルの魅力です。

・スクエアタイル


正方形のスクエアタイルは、シンプルでスタイリッシュなイメージをつくりやすいタイプです。整然とした印象でモダンなデザインと相性が良く、端正で上品な外観に仕上がります。

・木目調タイル


タイルの表面に木目調のプリントを施し、天然木のような質感と高級感を再現したタイプです。自然の木材と違い、色あせや腐食が発生しないのが木目調タイルの魅力です。

●外壁にタイルを使うときの注意点

・家の構造自体を頑丈にする


地震などで家の構造が大きくしなったり変形したりすると、外壁タイルは脱落してしまいます。外壁をタイル貼りにする場合は、揺れに強く変形しにくい家の構造を採用したいものです。

・凍害に注意する


寒冷地では、タイル素地に水が浸透し、凍ったときに膨張してタイルを損傷させる「凍害」が起きやすくなります。
吸水率が高いタイルは凍害で割れやすいので、寒冷地では吸水率が低いタイルを選びましょう。

・タイルに合った下地を選ぶ


タイルを張る下地によって接着剤のつき方が変わります。重いタイルを使用する場合はリブ付き下地材を使用するなど、タイルに合わせて下地を選びましょう。

・適切な強度の接着剤を使う


タイルの重量に対して接着力が弱いと「浮き」や「剥がれ」の原因になります。接着剤は、使用するタイルの重さにあったものを選びましょう

・タイルを少し余分に発注してもらう


同じ型番のタイルでも、製造ロットによって色が微妙に変わります。また使っているタイルが廃番になることもあります。タイルは少し余分に発注して、メンテナンス用の予備としてキープしてください。

●外壁タイルの費用感


外壁にタイルを張るときは、まず下地として窯業系サイディングを張り、その上に接着剤でタイルを張るのが一般的です。そのため、タイル自体の費用プラス、下地の窯業系サイディングの費用が必要になります。

<外壁タイル 概算費用の内訳 1㎡ごと>

タイル費用 約5,000円~30,000円
タイルの下に張る窯業系サイディング費用 約3,000円~5,000円
合計 約8,000円~35,000円

【30坪の新築戸建てをタイル外壁にした場合のシミュレーション】
上記の概算費用をもとに外壁タイルの新築設置費用のシミュレーションは下記になります。

坪数:30坪
外壁面積:120㎡
タイルの値段:15,000円/㎡
下地の窯業系サイディングの値段:約4,000円/㎡

タイル本体の値段と下地のサイディングの値段から単位面積当たりのコストを算出
15,000円+4,000円=19,000円/㎡

外壁面積全体では
19,000円×120㎡=228万円

30坪の注文住宅でタイル外壁を採用した場合の費用総額は約228万円

※あくまでも基本費用の概算のシミュレーションです。諸経費がかかってくる場合もあります。

●外壁タイルのメンテナンス


初期費用を別にすれば、メンテナンスにかかる費用が少ない外壁タイルはとてもコストパフォーマンスに優れた素材です。

・外壁タイルとサイディングの比較


外壁タイルの場合は、塗装は不要です。メンテナンスは洗浄やコーキング(タイルとタイルをつなげる目地部分)の打ち替えメインになります。
サイディングは、塗り替えをしないと色落ちが気になり、防水や紫外線防止といった壁としての機能も失われるため、定期的な塗り替えが避けられません。またシーリング(サイディング同士をつなげる目地部分)の打ち替えも必要になります。メンテナンスは10年ごとに行いますので、これにかかる費用を大雑把にシミュレーションすると、以下のようになります。

<タイル外壁と窯業系サイディングの家 築年数別維持費用の差分>

 築10年築20年築30年築40年
タイル外装  高圧洗浄と
コーキング打替 約50万円
高圧洗浄と
コーキング打替 約50万円
高圧洗浄と
コーキング打替 約50万円
高圧洗浄と
コーキング打替 約50万円
窯業系
サイディング  
塗り替えと
シーリング補修 約140万円
塗り替えと
シーリング補修 約140万円
塗り替えと
シーリング補修 約140万円
塗り替えと
シーリング補修 約140万円
差額
(累積金額)  
約90万円約180万円約270万円約360万円

比べてみると、築40年ではメンテナンス費用に約360万円もの差がでます。
また窯業系サイディングの場合、築25年ほどでサイディングそのものを取り換える「張り替え」が必要になり、これに約100~300万の費用がかかります。

・外壁タイルの劣化症状

 
タイル外壁は耐久性の高さが特徴ですが、劣化が起きた場合はメンテナンス時期でなくても早めに点検・補修を行いましょう。特に、タイルの浮きや剥がれなどの劣化症状がある際には落下の危険があるので、早期の対応が必要です。

◇白華現象(エフロレッセンス)


下地のモルタルやコンクリートから溶け出した物質がタイル表面に染み出して固まり、白く汚れる現象です。通常は2〜3年で自然に収まります。ただし、タイル外壁の隙間やひび割れから水が入り込んで白華が発生している場合は、水の侵入口をふさぐ補修工事が必要です。

◇浮き・剥がれ


タイル外壁の浮きや剥がれは、下地のモルタルや接着剤の経年劣化・施工不良などによって起こります。タイル外壁に浮きや剥がれがあるときは、エポキシ樹脂を充填して固定したりモルタルを使用してタイルを貼り直したりするなどの補修方法を行います。

◇ひび割れ・破損


タイル外壁は、ひび割れや破損が起こる可能性もあります。それらの劣化症状が起きた際には、新しいタイルに張り替える補修が必要です。ひび割れはタイルを貼り替えずに、シーリング材や特殊アクリル樹脂を使用して補修する方法もあります。

・日常のメンテナンス


タイルの親水性によって、雨で汚れが流れ落ちますのでほとんど必要ありません。落ちにくい泥汚れなどは、水をかけ、中性洗剤を併用してデッキブラシでこすり洗いをしてください。

・定期メンテナンス

◇目地の定期点検


外壁タイルの「目地」には、シーリング材が充填されています。目地は外部からのダメージを最小限に抑える重要な働きがあります。シーリング材が劣化すると目地の役割が果たせず、タイルが破損するリスクが高まります。定期点検で劣化があった場合は新しいコーキングを詰め直しましょう。

◇定期洗浄


タイルは汚れに強いものの、風雨にさらされ砂や埃の汚れが蓄積していきます。外壁の美観を維持するためには、定期的な洗浄が必要です。目立つ汚れでなければ年に1回、柔らかいスポンジやブラシで洗います。水洗いでは落ちない頑固な汚れがあれば、高圧洗浄機を使うクリーニングが必要です。

●FAQ


Q.タイルの耐用年数はどれくらいですか?


A.土を約1,300度の高温で焼き固めたタイルは、石と同じ性質(無機質)を持ちます。石に寿命がないのと同様に、タイルも半永久的な寿命があります。

Q.タイル外壁のお手入れはどのようにしたらよいですか?


A.タイルには親水性によりセルフクリーニング効果があるため、お手入れの必要性はほとんどありません。しかし、雨の当たらない箇所や汚れの程度、虫骸・鳥糞など汚れの原因によってはセルフクリーニングの効果の低い場合があります。汚れが目立つ場合は、水洗いによって洗浄してください。

Q.地震によるタイルの剥離は大丈夫ですか?


A.現在の住宅用外壁タイルでは従来のセメントモルタル張りに代わり、有機系弾性接着剤で張る工法が主流です。弾性接着剤の弾性部分がひずみを吸収するため、振動で接着剤が破壊してタイルが落下することはほとんどありません。実際に熊本地震(2016年)でも、接着剤張りタイルの剥落はありませんでした。

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