注文住宅で1階を寝室にするメリットやデメリットは? 設計時のポイントを踏まえて、理想の間取りを実現しよう


2階建ての注文住宅を建てる際に「なるべく生活動線をまとめたい」「将来の生活が心配」といった考えから、1階に寝室を設ける間取りを検討している方も多いのではないでしょうか。この記事では、注文住宅で1階に寝室を配置するメリット・デメリットや、設計する時のポイントなどを詳しく紹介します。これから注文住宅の間取りを検討する方の参考になる内容ですので、ぜひチェックしてくださいね。

2階建ての注文住宅でも、1階に寝室を作る間取りが人気!?

2階建ての注文住宅というと、1階にリビングや水回り、2階に主寝室と子ども部屋という間取りをイメージする人が多いかもしれません。しかし、最近は1階に寝室を設けて“平家のような暮らし”を送りたいと考える人が増えつつあります。

というのも、寝室が2階にあると、老後に階段の上り下りが負担になり、部屋の使用頻度が減ってしまうケースが珍しくないのです。

さらに、介護の観点から見ても、生活空間が1階にまとまっている方が便利です。そのような意味では、将来性を考えると平家が理想的ではあるものの子どもが成長するまでは、子ども部屋のスペースもしっかり確保しておきたいといった場合に、主寝室だけを1階に設ける間取りが人気を集めているのです。

注文住宅で1階に寝室を配置するメリットとは

1階に寝室を設けると、次のようなメリットがあります。

生活動線や家事動線が短くなって楽

リビングやキッチン、ランドリールームに加えて、寝室も1階に作るとなると、生活空間がワンフロアにまとまるので、生活動線や家事動線が短くなり効率良く過ごせます。例えば、上下階に部屋が分かれている場合と比べると、朝起きてから洗面所で顔を洗い、キッチンに向かうまでの移動距離が短いので、時間や手間が減るはずです。

また、就寝前に電気やガスの“消し忘れ”が気になった時など、ちょっとした往復もしやすくなります。

ほかにも、洗濯した衣類を寝室のクローゼットに収納する際は移動が簡単です。重い

衣類を持って階段を往復する必要はありません。

ただし、これは1階に寝室だけでなくリビングやキッチン、水回りも全て一緒に設けた間取りの場合です。もし、面積が限られているなどの都合で2階にリビングやランドリールームを移動してしまうと、寝室からの移動距離は長くなってしまいます。

子育てがしやすい

子どもが幼い頃には、1階に寝室があると重宝します。というのも、寝室とキッチンの距離が近いと、夜中の授乳の度にミルクを作りにキッチンへ行く負担が格段に減るのです。

さらに、子どもが少し成長したら、寝室を“お昼寝”のスペースとして活用することも可能。家事の合間に子どもの様子を見ることができます。また、夜の寝かしつけも1階の寝室で行えるので、毎晩1階と2階を往復する必要がなくなります。子どもが寝たら、さっとリビングに戻って家事の続きをしたり、休憩したりできるでしょう。万が一、寝ていた子どもが起きてしまっても、階段を通らずすぐ向かえるので安心です。

また、子どもが成長して一人で寝ることができるようになれば、2階の子ども部屋を使えばOKです。

老後の生活でも安心できる

加齢により筋力が衰えてくると、どうしても階段の上り下りが負担になってしまいます。階段で転倒するリスクもあるので、できれば老後は平家で暮らしたいという人もいるでしょう。

2階建てであっても寝室が1階にある間取りなら、生活がワンフロアで完結するため、まるで平家のような生活を送ることが可能。もし、介護が必要になった場合も、介護者に2階まで連れて上がってもらったり、収納や掃除のために行き来してもらったりしなくて済むので便利です。

急な災害時でもすぐに屋外へ避難できる

2階で寝ている間、地震や火事などの災害が起きた際、階段が通れない状態になってしまうと避難できなくなる可能性があります。

しかし、寝室が1階にあれば、玄関だけでなく窓やテラスなど、複数の避難経路が使えます。そのため、緊急時の避難を重視したい人は、1階に寝室を配置するのがおすすめです。

●失敗を防ぐために!1階に寝室を配置するデメリットを紹介

注文住宅で1階に寝室を作る際には、注意しておかなければいけないデメリットも存在します。ここでは、代表的な4つの注意点を紹介します。

就寝中の安全が不安

就寝中は、2階に比べると1階の方が防犯リスクは高い傾向があります。その理由は、1階だと窓から部屋に直接侵入しやすいから。というのも、警察庁から発表されている2020年のデータによると、一戸建て住宅への「侵入窃盗の侵入口」として最も多いのは、「窓」(53.5%)なのだそうです。このような危険性を考えると、1階の窓を開けたまま寝るのは難しいでしょう。

そのため、夏場は冷房を使用する頻度が上がってしまい、結果的に光熱費がかかるというデメリットもあります。

周りの部屋の音が気になる

寝室と同じフロアにリビングや水回りがあると、移動が楽になる反面、生活音も聞こえやすくなってしまいます。リビングでの会話やテレビ音、水回りのシャワーやトイレ、料理の音などは特に気になりやすいポイント。

もし、夜勤などで生活リズムが違う家族がいる場合は、生活音が気になって目が覚めてしまうという可能性があるので、音が気にならないような間取りの工夫が必要になります。

プライバシーを確保しにくい

1階は外部からの視線にさらされやすい特徴があります。特に、夜間に室内の電気をつけていると、外から見えやすくなってしまうので要注意。プライバシーを守るためには、道路や近隣の住宅から見えにくい位置に寝室を配置したり、窓を高い位置に設けたりするなどの工夫が必要です。

また、住宅が完成した後にどうしても視線が気になる場合は、夜に電気を付けても室内が見えにくい『遮像レースカーテン』などを使うという方法もあります。

コストがかかる

1階にリビングやキッチン、水回りを残したまま寝室も配置しようとすると、どうしても2階より1階の方が広い面積の設計になってしまう可能性も。すると、建物の基礎や屋根を支える構造材の量も増えてしまうので、材料費が高くなる傾向があります。

費用を抑えるためには、リビングを少しコンパクトにするなどの調整が必要となるケースも考えられます。

●失敗しない間取り設計のポイント

住宅の完成後に「寝室は2階にすれば良かった」と後悔しないためには、設計段階で以下のポイントに注意しましょう。

窓のセキュリティ対策をしっかり行う

先述したように、窓から侵入される可能性が高いので、まずは窓の防犯対策を行うことが大切です。ここでは、代表的な3つの防犯設備を紹介します。

・センサーライト

屋外に人感センサーライトを付けておけば、室内にいながら侵入者の気配に気付くことができます。また、侵入者にも防犯対策を行っていることが伝わるので、抑止効果も期待できるでしょう。

より防犯効果を高めたい人には、防犯カメラも一緒に設置するのがおすすめです。

・面格子

アパートやマンションによく見られる面格子も、防犯面では非常に有効です。ただし、人が外から入れないだけでなく、中からも出られなくなるので、災害時の緊急避難口としては使えなくなります。

また、とても目立つので、外観にこだわりたい人は、よく考えてから設置してください。

・シャッター

シャッターは、必要に合わせて開閉できる便利な設備。防犯性が高い上、家の景観にも影響しにくいのが魅力です。さらに、近年増加している大型台風やひょうなどによって窓が割れてしまう、といった被害も防げます。

窓ガラス全体を隙間なく覆い隠す「クローズドタイプ」をはじめ、スリットと呼ばれる小さな通気口から自然光や風を通す「スリットタイプ」、ルーバーと呼ばれる細長い羽板の角度によって採光や通風を自由に調整できる「ブラインドタイプ」があります。

リビングはなるべく離れたところに配置する

リビングの声は意外と響くもの。そのため、なるべく寝室と離れた位置に配置するのがおすすめです。ただし、リビングを2階にレイアウトすると、生活の中心が2階に移り、その分生活動線も伸びてしまいます。

そのため、平家のようなシンプルな暮らしを求める場合は、同じ1階で適度な距離を保った位置に配置するのが理想的です。

周りの音が聞こえづらい場所に寝室を配置する

就寝時には、家の中だけでなく、屋外の音もよく聞こえます。特に夜の車の走行音や通行人の話し声はとても響くので、道路や駐車場に面していない位置に寝室を作る方が良いでしょう。また、給湯器の音も意外と気になる場合があるので、寝室と離すのがおすすめです。

収納は主に4種類

1階に寝室を設けるなら、クローゼットもセットにした間取りにするのがおすすめ。朝の支度や、洗濯後の衣類を収納しやすくなります。クローゼットのタイプは大きく分けて4種類あるので、使い方に合わせて最適なものを選びましょう。

・ウオークスルー型

出入り口が二つ以上あり、通り抜け(ウオークスルー)できるタイプのクローゼットです。朝の準備などで夫婦が同時にクローゼットを使う場合には、出入り口が混み合わないので便利でしょう。

・ウオークイン型

歩いて中に入ること(ウオークイン)ができる大型収納スペースです。賃貸物件などにもよく見られる最も一般的なタイプで、ウオークスルー型とは違って出入り口が一つであるという特徴を持ちます。

・壁面クローゼット型

壁全体を活用して作られるクローゼット。奥行きは浅く、狭い空間に設置することができます。ほとんどのケースで、ハンガーをかけるレールが付けられています。

・ファミリークローゼット型

家族の衣類や荷物をまとめて収納できる大型クローゼットの総称です。家族の衣類を一気に片付けられるので洗濯後の片付けは楽ですが、その分スペースが必要になります。

●ライフステージ別の活用方法

子育て期

一般的に、子どもが乳児の頃は1階にベビーベッドを置いたり布団を敷いたりすることが多いですが、1階に寝室があれば、そこで寝かせるのがおすすめです。リビングから適度な距離があれば、親はテレビや掃除機の音を気にせず生活でき、家事の合間にすぐ子どもの様子を見に行けます。

シニア期

リビングや水回り、寝室が全て1階に集約されているので、子どもが巣立った後はワンフロアで生活できます。毎日頻繁に階段を上り下りしなくてもよいので、足腰への負担が減り、転倒リスクも軽減できるでしょう。

介護期

もし、自宅で介護が必要になったら、2階を介助者の寝室として使えます。介護自体は1階で完結できるので、介助者の負担が減り、普段の生活は介助者のプライバシーも守られます。

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●FAQ

Q.1階が寝室だと寒いって本当?何か対策は?

A.冷たい空気は下に溜まり、暖かい空気は上に逃げてしまうので、1階はどうしても冷えやすい傾向があります。寝室を1階に作る場合は、床や壁、窓の断熱性能を高めておくことが大切です。

Q.水回りはどこに配置するのがおすすめ?

A.入浴時のシャワー音をはじめ、トイレの排水音、ランドリールームの洗濯機の音など、水回りの音はどれもよく響きます。就寝時にそれらの音が聞こえると、寝ている家族を起こしてしまう可能性があるので、寝室周りには配置しないのがベストです。

 

Q.間取りの関係上、リビング下や玄関近くに寝室を配置することに。防音対策はある?

A.寝室はリビングや玄関の近くに配置しないのがベストですが、間取りの都合上、どうしても隣接してしまう場合は仕方ありません。そのような時は、寝室自体の防音性能の向上を検討するのがおすすめ。壁の内部に吸音ウールを充填したり、遮音パネルを貼ったりすれば、生活音を最小限に抑えられます。

●まとめ

「平屋で暮らしたい」「老後の生活が不安」という人は、1階に寝室を設ける間取りも検討してみてはいかがでしょうか。今回ご紹介したように、子育て期~介護期まで、全てのライフステージにおけるメリットがありますよ。ただし、デメリットも考慮しておかなければ失敗する可能性もあるので、まずはイシンホームまでお気軽にご相談ください。おすすめの間取りや設備も合わせて、ご提案させていただきます。

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