
「頭金を貯めてから家を建てるべき」と思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。実は最近だと、頭金として現金の用意をしていなくても“フルローン”で注文住宅を建てる人が増えています。これは、金利上昇や物価高が進む今、「今建てた方が総額で有利」になるケースも少なくなく、特に共働き世帯を中心に新しい常識になりつつあることが理由です。一方で、「現金をどのタイミングで使うか」「頭金と手付金はどっちが大事?」という悩みもあるでしょう。
そこで今回は、フルローンの仕組みや注意点、無理なく返済を続けるための資金計画のコツを分かりやすく解説します。
目次
フルローンとはどんなもの?「頭金なし」との違いや仕組みを解説

フルローンとは、家を建てる費用を全てローンで借りることを指します。つまり、自己資金を出さず、住宅ローンだけでまかなう方法です。
一般的に「頭金なし」と言われる方法は、土地や建物の費用はローンでまかなうけれど、登記費用や火災保険料などの“諸費用”は現金で支払うケースを指します。「頭金なし」とはいえ、ある程度まとまった現金は必要なのです。
それに比べて、フルローンはこの“諸費用”まで含めて借り入れることが大きな特徴となります。例えば、建物費用が2,800万円、諸費用が200万円なら、合計3,000万円をローンで借りるイメージです。
注文住宅でも諸費用まで含めた借入が可能な場合があります。一方で、金融機関や契約の進め方によっては手元資金が必要になることもあるため、早めに資金計画を確認しましょう。
※本記事では、「頭金なし(頭金ゼロ)=本体はローン/諸費用は自己資金」「フルローン=諸費用まで借入」として表記しています。
【家を建てる時にかかる費用(支払い方法の一般例)】
| 具体例 | 支払い方法の一般例 | |
| 土地代 | 土地購入価格 | ローンで支払う |
| 建物代 | 工務店・ハウスメーカーへの支払い | ローンで支払う |
| 諸費用 | 登記費用、火災保険料、印紙代、地鎮祭・引越し費用など | 現金で支払うことが多い |
【フルローンと頭金なしの違い(事例で比較)】
| 種別 | 頭金なし(本体0/諸費用は自己資金) | フルローン(諸費用まで借入) |
| 土地・建物代 | 2,800万円(ローン) | 2,800万円(ローン) |
| 諸費用 | 200万円(現金で支払い) | 200万円(ローンに含める) |
| 自己資金 | 200万円必要 | 0円でOK |
金額は一例。金融機関や属性により諸費用の借入可否や上限は異なります。
なぜフルローンを選ぶ人が増えている?

近年、「フルローンで注文住宅を建てる」人が増えています。三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査「令和の“住まい”と住宅ローン事情(2025年)」によると、頭金ゼロ※で住宅を購入した人は、全世代で28.7%、30代では42.8%。共働き世帯を中心に「頭金をあまり用意せずに建てる」ケースが主流になっていることが分かります。その背景を4つ紹介します。
※同調査における「頭金ゼロ」は、「本体に頭金を入れていない購入」として集計されています(諸費用の扱いは調査設計に依存)。
出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所(2025)「令和の“住まい”と住宅ローン事情(2025年)」
【背景①】低金利が続く“借りやすい時代”
日本ではこの10年以上、住宅ローン金利が過去最低水準で推移しています。かつて金利は3~4%が当たり前でしたが、近年は1%台の低水準で推移している期間が長いです。同じ3,000万円を35年で返済した場合、金利1%と3%では総返済額に約1,300万円の差が出ます。
この“低金利チャンス”を生かして「頭金を貯めて待つより、早く借りて長く返す」選択をする人が増えているのです。
【背景②】家賃を払い続ける“ムダ”をなくしたい
家賃を払い続けても資産が残らないことも大きく影響しています。例えば月9万円の家賃を10年間支払えば、合計で1,080万円となります。同じ金額を住宅ローンに充てれば、“支払いがそのまま資産に変わる”と考える人が増えているのです。「頭金を貯める=家賃を払い続ける期間」と考えると、“早く建てて長く住む”ほうが結果的に得という声が多くなっています。
【背景③】共働き収入の安定で返済に余裕がある
今の若い世代は共働きが一般的になってきており、夫婦での合算収入を前提にすれば、一人当たりの返済負担は昔より軽くなっています。「今の家賃+1~2万円で、自分の家に住めるなら」と考える層が増えているのも自然な流れです。
特に、子育て世代では、「住宅ローンを払いながらでも貯蓄や教育費を確保する計画を立てたい」というニーズが強まっています。
【背景④】物価の上昇も見逃せないポイント
近年、建材や人件費、土地価格など、住宅に関わるあらゆるコストが上昇しています。「頭金を貯めるまで待つ」間に、建物価格や金利が上がるリスクを考えると、“今建てて長く住むほうが得”という考え方が主流になりつつあるのです。
物価高も続いており、1年先送りするだけでも総費用が数十万~数百万円増える可能性もあります。そのため、「タイミングを逃さず、早めに計画を立てたい」と考える世帯が増えているようです。
【シミュレーションで見る(「今建てたほうが得」な理由)】
| 今すぐ建てる場合 | 5年後に建てる場合 | |
| 建物価格 | 3,000万円 | 3,300万円(物価上昇10%) |
| 金利 | 1.0% | 1.5% |
| 月々返済(35年) | 約8.47万円 | 約10.1万円 |
| 35年間の総支払額 | 約3,556万円 | 約4,244万円 |
| 差額 | ― | 約688万円の差! |
このように、5年後、建材価格や金利が上昇すると、同じ家でも総額で約700万円ほど高くなることもあります。いまや頭金ゼロ(諸費用のみ支払い)やフルローンは、特別な選択ではなく、現代のライフスタイルに合った“新しい住宅購入の形”と言えるでしょう。
「頭金ゼロ」の方が合理的?フルローンの4つのメリット
「頭金ゼロで建てるのは不安…」と感じる方も多いかもしれません。しかし実は、頭金を入れずに建てることには合理的な理由があります。代表的なメリットを4つ紹介します。
・家賃を払い続けるより早く資産が手に入る
頭金を貯めるために5年、10年と家賃を払い続けるより、早く購入して住宅ローンの返済を始めた方が、結果的に早く“自分の資産”になります。月々の支払いが家賃と変わらないなら、資産を築くほうが前向きといえるでしょう。
・手元資金を教育費・貯蓄・緊急費に回せる
子どもの進学や医療費、車の買い替えなど、現金が必要になる場面は意外と多いもの。フルローンなら手元資金を残せるため、将来の安心感が違います。
・住宅ローン減税の恩恵を最大限受けられる

借入額が大きいほど、住宅ローン減税の控除額も増えます。頭金を入れないことで、減税の恩恵をしっかり受けられる点も魅力です。
出典:国土交通省「住宅ローン減税」
・金利・土地・建材価格の上昇リスクを回避できる
「もう少し金利が下がってから…」と待っている間に、物価が上がって総額が増えてしまうケースも。“今建てる”こと自体がリスク回避になる場合もあります。
借りすぎなければ怖くないけど…フルローンの注意点は?
フルローンは正しく計画すれば安全な選択ですが、気をつけたいポイントもあります。ここでは、特に知っておきたい注意点を4つ説明します。
・借入額が大きくなるほど、返済総額(利息)が増える
フルローンは自己資金を使わない分、借入額そのものが大きくなります。借入額が大きいほど、支払う利息の総額も増えていきます。
例えば同じ金利・同じ返済年数でも、2,800万円より3,200万円のほうが、最終的な支払総額は数百万円単位で高くなります。「月々払えるか」だけでなく、「トータルでいくら返すか」も見ておくことが大切です。
・金利上昇により返済額も上がる可能性がある
変動金利で借りた場合、将来の金利が上がると、毎月の返済額が上がる可能性があります。
例えば3,000万円を借りていて、金利が0.5%上昇した場合、月の返済額が数千円~1万円程度アップすることもあります。
・勤続年数・信用情報などは、審査が厳しくなる条件がある
フルローンは「自己資金を入れない」=「金融機関が家の価格ほぼ全額を負担する」ということになるため、銀行側は返済能力をシビアに見ます。
具体的には、勤続年数が短すぎないか、収入が安定しているか、クレジットや携帯料金の支払い遅延がないかなど、信用情報がチェックされます。
・新築後すぐの売却では担保割れのリスクも
住宅ローンは、最初の数年は元金よりも利息の割合が多く、残高がなかなか減りません。一方で、新築の家は購入直後に売却すると価格が下がりやすい傾向があります。この2つが重なると、売却価格よりローン残高が大きくなる「担保割れ」が起こる恐れがあります。
フルローンでも安心!家計を守る5つの資金計画術

フルローンで家を建てる時に大切なのは、無理のない返済計画。ここでは、家計を守るための5つのポイントを紹介します。
・返済比率は年収の25~30%以内に
無理なく返せる返済比率は、年収の25~30%といわれています。年収600万円なら年間150~180万円、月約12.5~15.0万円が上限の目安です。なお、フラット35でも総返済負担率の制度上限は「年収400万円未満=30%以下/400万円以上=35%以下」とされています。ボーナス返済に頼りすぎず、毎月の収入で無理なく返せる範囲に設定するのが安心です。
・教育費・生活費を含めた長期の見通しを立てる
住宅ローンは最長35年の長期にわたります。今の家計だけでなく、子どもの進学、転職、老後などライフイベントに合わせたシミュレーションを行いましょう。
・つなぎ融資や諸費用ローンを早めに確認
注文住宅の場合、建物完成前に工事費などを支払う“つなぎ融資”が必要になることがあります。また、登記や火災保険などの諸費用も、意外とまとまった金額になる場合もあるでしょう。
これらを見落とすと「想定より費用が高くなった」という事態になりかねません。事前にどんな費用が、いつ発生するかを確認しておく必要があります。
・繰上返済・固定金利などでリスクを分散
家計に余裕がある年は、少額でも繰上返済を行うと利息を大きく減らせます。また、将来的な金利上昇が心配な場合は、固定金利への切り替えや、一定期間固定のプランの選択を行っておくと安心です。“返済を軽くする工夫”をこまめに取り入れることで、金利変動や返済負担のリスクを分散することができます。
・手元資金は6カ月分残して“ゆとりある暮らし”を
生活費の6カ月分程度は現金で残しておくのが理想です。病気や転職、急な出費があっても、貯蓄があれば慌てずに対応できます。
共働き・若年世帯のリアルケース
ここでは、一般的な世帯を例に、フルローンで家を建てる場合のイメージを具体的に見てみましょう。
・「年収600万円、共働き夫婦+子ども1人」の世帯の場合
無理なく返せるラインは「年収の25~30%以内」といわれています。年収600万円の25~30%は、150万~180万円くらい。これを月々に直すと、月約12.5~15万円が目安です。
この世帯が家を建てるために、例えば3,000万円をフルローンで借りるとしましょう。金利1.2%・35年返済とすると、月々の支払いはおよそ8万~9万円台になるケースが多いですから、返済比率は現実的な範囲に収まっています。
このように、計画次第では、現金としての頭金ゼロでも問題はありません。特に子育て世帯・共働き世帯にとっては、むしろ頭金として現金を入れすぎないほうが安心な場合もあります。
・お客様の声
イシンホームは、「後からのオプション追加が少ない」点や、「実質0円で導入できる太陽光発電」など、資金計画にやさしい仕組みを提案させていただいており、多くの方に支持されています。
また、担当スタッフがお客様一人ひとりの人生設計に寄り添い、丁寧にサポートを行っている点も安心できると好評です。
ここで、実際にイシンホームで家を建てたお客様の声をご紹介します。
ケース1:群馬県T様
家づくりの際にいくつか住宅メーカーを比較したのですが、多くの会社は私たちの希望をすべて聞いたうえで、それを“合計した金額”を提示する形でした。ところがイシンホームさんは、まず最初に予算を聞いてくれて、そこから諸費用などを引いた上で無理なく建てられる家の価格を教えてくれたんです。
そのおかげで、本当に必要な部分にお金をかけ、その他は上手にコストカットすることができました。
また、見積もりも非常に丁寧で、コンセント一つまできちんと明記されていたのが印象的でした。信頼できる会社だと感じました。
ケース2:長野県T様
太陽光発電が魅力でイシンホームさんを選びました。転職して2年目だったのでローンが通るか不安でしたが、営業担当の方が丁寧に資金計画を立ててくれて、複数の金融機関にしっかり掛け合ってくれたおかげで、家づくりが一気に現実的になりました。太陽光の売電収入も心強く、安心して新しい生活を始められました。
ケース3:岡山県N様
子どもが3人いるので、これからの教育費が一番の心配でした。でも、太陽光の売電収入が毎月のローン返済の助けになっていて本当に助かっています。以前は“支払いを続けていけるかな”と不安もありましたが、今では家計の見通しが立ち、安心して暮らせるようになりました。
フルローンで建てるなら“計画力”が全て!

フルローンでの建築を検討されている方は、事前に返済計画や資金計画をしっかり組んでおくことが必要となります。それぞれについて詳しく紹介します。
・ライフプランから逆算した資金計画が重要
フルローンで家を建てるときに大切なのは、自分たちの暮らしに合った返済計画を立てることです。住宅ローンは35年にも及ぶ長期の支払いです。子どもの進学、車の買い替え、老後の生活など、これから先にかかる費用を含めて「いつ・どんな出費があるか」を見据え、ライフプランから逆算して考えること。「借りられる金額」ではなく、「無理なく返していける金額」を基準にすることで、暮らしにゆとりを残しながら家づくりができます。
・イシンホームの資金計画サポートを活用しよう
イシンホームでは、家づくりを検討する最初の段階から、一人ひとりのライフスタイルに合わせた資金計画サポートを行っています。年収や家族構成、将来のライフイベントまで丁寧にヒアリングし、頭金ゼロでも安心して返済できる現実的なプランを一緒に考えています。
太陽光発電による売電収入を返済に活用する仕組みや、光熱費を抑える住宅設計など、家計に優しい提案も好評。「家を建てたいけれど、資金面が不安」という方こそ、イシンホームに相談してみてください。
まとめ
フルローンで家を建てることは、決して危険ではなく、「正しく計画すれば安心な選択肢」といえるでしょう。頭金を貯めてからよりも、家賃のムダを減らして早く暮らしを始める方が、総額で得をするケースもあります。
不安な方は、まずは無料の資金相談で“自分たちに合う返済プラン”を確認してみてください。今の暮らしを守りながら、安心してマイホームの夢をかなえましょう。興味があれば、イシンホームまでお気軽にご相談ください。

