中庭で解決できる間取りの悩み7選。タイプ別の特徴や費用の目安も解説

中庭のある家というと、個性的なプランニングのひとつとして考えている方が多いと思いますが、実は住まいのさまざまな悩みの解決策として最近じわじわ人気が高まっています。

そこで今回は、中庭で解決できる住まいづくりの悩みを具体的に紹介。さらには狭い土地でも中庭を実現するための情報や、費用の目安など中庭を活用してより理想の住まいづくりを実現するために役立つ情報を多彩にご紹介します。

そもそも中庭とは

中庭とは壁や建物で囲まれた屋外空間のこと。道路や周囲の家から視線が届きにくいため、プライバシーを守りながら、くつろぐことができます。

似たような庭として「坪庭」がありますが、坪庭は的コンパクトな広さにして、植栽や照明などを室内から見て楽しむ小さな観賞用の庭のことを指します。

中庭で解決できる悩み7選

日本では都市部を中心に道路に面している住宅や隣家との距離が近い家が多く、外からの目が気になるケースが多くあります。それ以外でもさまざまな暮らしの悩みを解消する間取りのポイントとして中庭を活用するケースが増えています。ここでは庭で解決できる住まいの悩みの代表的なものを紹介します。

1.   家の中が暗くて風通しも悪い

悩み:隣家が近く、窓を開けても光や風が取り入れにくい。

解決のポイント:中庭を設けることで、建物の中央から光と風を取り込むことが可能。窓を開けても採光や通風に苦労する環境の解決策になります。外壁に囲まれていても、高窓や天窓など上からの採光で昼間は照明いらずになり、開口部を中庭側に設けることで、プライバシーを守りつつ換気もできます。

おすすめ:日照条件の悪い「北側道路の土地」でも、明るい家が実現できます。

2.   外からの視線が気になる

悩み:道路や隣家からの視線が入りやすいが、窓を小さくすると暗くなる。

解決のポイント:壁や建物で囲まれ、外部の視線が届きにくい中庭に面して大開口の窓を設けることが可能。人目を気にしてカーテンを閉めなくても、明るさと開放感を両立できます。暮らしのプライバシーを守りつつ、光や風など外の気配が感じられ、潤いある暮らしを実現します。

おすすめ:「カーテンなしのでも人目を気にせずくつろげる」伸びやかで開放的な生活感が生まれます。

3.   家族のつながりが希薄

悩み:リビングと個室が離れていて、家族が顔を合わせる機会が少ない。

解決のポイント:中庭を家の中心に設け各部屋からアクセス可能とすることで、各部屋が中庭でつながることができます。中庭を介して自然と視線が交わり、家族の気配も感じやすくなり、お子さまが中庭で遊ぶ姿も、リビングからから見守れ、家族の自然なつながりを生み出します。

おすすめ:中庭をハブ(中心、中継地)的な「共有の景色」にすることで、家族の距離が近づきます。

4.   家事の動線が不便だ

悩み:洗濯物を干す場所が遠い、外に干すと人目が気になる。

解決のポイント:使い勝手のいい中庭はリビング・ダイニング・洗面所など生活動線の延長上に配置されています。例えば、洗面室やキッチンの近くに中庭を設ければ、洗濯物をすぐ干せて取り込みもスムーズ。屋根付きなら、雨の日も安心の物干しスペースになります。また、外干しでも外から洗濯物が見えず、風通し良く乾きやすくなります。

おすすめ:「室内干し」と「屋外干し」、両方のメリットがある中間的な場所として活用できます。

5.   狭い土地でも開放感がほしい

悩み:周囲を家に囲まれていて、圧迫感があり窮屈な感じがする。

解決のポイント:狭小地の中庭は「広さ」よりも「抜け感」と「光の演出」がカギ。小さな坪庭でも、光と奥行きを演出することで空間の広がりが感じられます。隣家との距離が近い狭小地では、視線対策が最優先ですが、構造物に囲まれた中庭は、外部の視線や騒音がカットできます。

おすすめ:「狭小地 × 中庭」で“閉じながら開く”都市型住宅を実現します。

6.   防犯・セキュリティが不安

悩み:外に面した大きな窓は不安だけど、採光・通風は確保したい。

解決のポイント:建物に囲まれた中庭は、プライバシーが保たれセキュリティ面でもメリットがあります。外から見えない中庭に面して大きな窓を設けても防犯上の心配は少なく、採光・通風は確保できます。都市部で気になる防犯性も中庭をつくることで維持できます。

おすすめ:「外は閉じて中に開く」構造で、防犯セキュリティ対策と快適性を両立します。

7.   外の音が気になる

悩み:交通音や隣家の生活音が気になる。

解決のポイント:中庭は「音の緩衝地帯」としても有効なスペースです。周囲を建物や壁で囲う構造のため、外部の騒音を遮断し、リビングなどの静粛性が高まります。逆に大きな開口部は中庭に面しているため、生活音が外部に漏れにくいメリットもあります。

おすすめ:中庭を中心に配置する「ロの字型」の中庭は特に防音効果が優れています。

狭くても中庭は作れる

中庭のある家というと、広い土地が必要だと感じる方が多いかもしれませんが、狭小地でも工夫次第で中庭を取り入れられます。近年では逆に、限られたスペースに光や風を取り込む中庭が、都市部や狭小な土地のデメリットを解消すると注目を集めています。

・必要な広さの目安

中庭の広さを決めるには、家全体の敷地面積に対する中庭の割合を考え、適切なバランスにすることが重要です。目安としては、家全体の敷地面積の10%~20%が目安になります。

具体的な広さは、人が椅子に座ってくつろげるには「3m × 3m(約9㎡)」程度が必要です。もし家の広さや敷地の制限で難しければ、4帖(約6.6㎡)程度でも大丈夫。光や風を取り込み、植栽中心で眺めて楽しむ庭と割り切れば「1.5m × 2m(約3㎡)」程度でも十分効果があります。

◇中庭に必要な広さの目安

目的・タイプおすすめの広さ特徴・ポイント
光と風を取り入れるための「光庭」約2〜4㎡(1〜2帖)吹き抜けのような感覚で、狭小地でも可能。植栽や坪庭を置ける程度。
眺めて楽しむ中庭(坪庭タイプ)約4〜8㎡(2〜4帖)屋内から四季を感じる設計に最適。壁・窓配置のデザイン性が重要。
家族で過ごす屋外リビングタイプ約10〜20㎡(6〜12帖)テーブルやチェアを置ける広さ。プライバシーと採光の両立が必要。
アクティブに使う中庭(BBQ・物干しなど)約15㎡以上(9帖〜)外構費用・防水計画が増すが、生活空間の延長として活用できる。

・狭い土地に作る際の5つの注意点

では実際に狭い土地に中庭をつくる場合に注意するポイントを整理しておきます。

  採光を“上方向”にも確保する

建物が近接している場合は横方向の光は入りにくくなりますから、上方向の採光がポイントになります。例えば「吹き抜け+高窓(ハイサイドライト)」を組み合わせると、上から光を確保できます。狭小地では採光面積よりも“抜け感”を優先すると開放感が高まります。

  壁の高さと開口位置に注意

中庭を囲いすぎると暗く・圧迫感が出やすくなります。反対に開けすぎると隣家からの視線が入ってきます。壁の高さを1.6〜1.8m程度にし、上部は開けるなど“視線のコントロール”がポイント。ルーバー・格子・半透明パネルなどで「光を通して視線を遮る」工夫が効果的です。

  防水・排水をしっかり対策

狭い中庭ほど排水口が1つしか取れず、排水詰まりが起きやすくなります。

対策としては、勾配を正確に取り、雨水桝やドレンの清掃口を設けておくこと。外壁と床の取り合い(立ち上がり部分)は特に防水処理を丁寧にしておいてください。

  外とつながる開放感を大切にする

狭小地ではLDK+中庭+吹き抜けを一直線につなげると、視覚的にも広く感じます。また中庭の床材を室内と同素材・同レベルに揃えると、一体感が出ることでより広さを感じます。また、視線が抜ける方向に植栽やライトアップを配置すると効果的です。

  メンテナンスしやすく設計

狭い空間ほど手が届きにくく、掃除・排水口清掃が面倒になりがちです。メンテナンスのスペースは十分確保しておくことが大切です。また、ホースリール・外部コンセントはぜひ備えておきたい設備です。植栽は落葉しない常緑樹・低木中心がおすすめです。

中庭のタイプと特徴

ここでは代表的な3タイプの中庭の特徴、メリット・デメリット、向いている条件を紹介します。

・コの字型

三方向から部屋や壁が中庭を囲み、1方向は外部に開放されたタイプです。光と風が入りやすくLDKを中心に配置しやすく人気のタイプです。ロの字とは異なり、開放された面から外へ出ることができ、洗濯物を干したり、アウトドアも楽しめます。

<メリット>

・LDKと中庭の一体感が出やすい

・採光・通風を確保しやすい

・プライバシーを守りつつ開放感あり

<デメリット>          

・北側が暗くなりがち

・外壁面積が増えコスト高

<向いている条件>    

・一般的な都市部の住宅地

・南向き、東向きの敷地

・ロの字型

部屋や壁がぐるりと中庭を囲むタイプです。四方が囲まれているため、外からの視線を防ぎながら、中心に光を取り込む構造になっています。プライバシーや防犯性に優れています。

<メリット>

・外部からの視線を完全に遮断

・全室に明るさと風を届けやすい

・静寂で落ち着いた空間           

<デメリット>

・建築コストが最も高い

・排水・防水計画が複雑

・冬は日照が少なく寒いことも             

<向いている条件>

・敷地が広めの家

・プライバシーを最重視する人

・L字型

建物をL字に配置し、角に中庭を設けるタイプ。2方向を外壁で囲って採光と目隠しを両立します。ロの字型やコの字型の中庭と比べると自由度が高く、中庭自体の広さも確保しやすくなっています。

<メリット>

・二方向から光が入り明るい

・コストと開放感のバランスが良い

・外とつながるウッドデッキにしやすい           

<デメリット>

・外からの視線が入りやすい面も

・中庭が「角」に偏りやすい   

<向いている条件>

・敷地に余裕があり、南面を広く取りたい家

中庭にかかる費用は

一般的に、中庭をつくると建築費用は増加する傾向にあります。ここでは費用面のポイントを整理しておきます。

・トータル費用の目安

中庭をつくると、外壁代や窓などのコストがかかります。設計や使用部材によって変動しますが、中庭をつくることで建築費の坪単価が3万円~5万円程度上がると考えてください。目安としては、建物価格の約3〜5%を中庭費用として見込む必要があります。また中庭自体の坪単価は15〜30万円/坪 程度が一般的です。

・維持費用(メンテナンスコスト)

中庭は維持費用もかかります。以下に代表的な費用項目を紹介します。

◇植栽の剪定・手入れ

◇芝生の手入れ

◇照明・電球交換

◇デッキ・タイル清掃

◇防水・排水口清掃・点検

<中庭費用のイメージ>

規模内容初期費用年間維持費
小規模(3㎡前後)見せる中庭・坪庭タイプ30〜70万円数千円〜1万円
中規模(6〜10㎡)デッキ+植栽+照明70〜150万円1〜3万円
大規模(10㎡以上)家族で使うアウトドアリビング150〜300万円以上2〜5万円程度

費用を抑えるポイント

1. 形状をシンプルにする

外壁の面積や屋根の形状が増えると建築費が上がるため、できるだけ単純な形を選んでください。コの字型・ロの字型は構造が複雑になり、費用アップの原因。費用を抑えるならL字型+中庭風がおすすめです。

中庭の費用を抑えるには、以下のような方法が考えられます。

2. ウッドデッキで擬似的な中庭を演出


本格的なコートヤードを作らなくても、リビングと隣接したウッドデッキを囲うようにフェンスや植栽を配置するだけで「中庭風」の空間がつくれます。ウッドデッキはコンクリートテラスより安く、施工・撤去・リフォームも容易です。

3. 外構工事を最小限に

中庭コストの費用は、塀やタイル貼りなどの外構費が大部分を占めます。建物の外壁を活かして片側だけ塀を設けるなど、囲い方を工夫してください。照明・水栓・花壇なども後付け可能な設備を選ぶと初期費用を削減できます。

4. 床仕上げを室内とつなげる

室内と同じ高さにしフローリング調タイルなど同じ素材で仕上げることで、面積が広く感じられ、小さな中庭でも開放感がアップします。面積が小さい分、仕上げ材の量も少なく、費用を抑えることができます。

5. 植栽は“少数精鋭”で

樹木や花壇を多く設けると、初期費用・維持費ともにアップします。シンボルツリー1本+低木+照明1灯でも十分雰囲気は出せます。植栽はDIYで後から追加もできるため、最初は必要最低限にして費用を抑え、後々手を加えていく方法もあります。

6. 照明・水栓などの設備をシンプルに

庭用の照明やコンセントは、配線工事のタイミングを建築と合わせることで追加工事が削減できます。高価な屋外照明よりも、室内からの間接照明で外を照らす手法もコスパがいい工夫です。

FAQ

Q. 中庭は建築面積に含まれる?

A. 基本的には、中庭は建築面積に含まれません。建築面積は建物の外壁の中心線で囲まれた部分の面積を指し、屋根や壁で囲まれていない中庭はその範囲に含まれないからです。ただし、中庭に屋根がかかっている場合や特定の条件を満たす場合には、建築面積に含まれることがありますので注意してください。

Q. 中庭に固定資産税はかかる?

A. 中庭自体は建物の一部として評価されることが多いため、固定資産税の対象となる場合があります。ただし、評価方法や課税対象の範囲は自治体によって異なるため、詳細は地元市区町村の役所に問い合わせる必要があります。また、中庭が建物の付属施設として評価される場合、その面積や用途によっても税額が変わることがありますので要注意です。

まとめ

中庭は、暮らしに癒しをプラスするだけではなく、住まいづくりのさまざまな悩みを解決してくれます。イシンホームでは、中庭を活用して間取りの課題を解決した豊富な経験と実績をもとに理想の中庭づくりをサポートしています。もしも中庭づくりの疑問やお悩みがございましたら、お気軽にイシンホームの担当者までご相談ください。お客様と寄り添いながら、満足ゆく答えを見つけていきます。

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本社(総合戦略本部)

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