マイホームに駐車スペースが欲しい場合、独立したガレージやカーポートだけでなく、ビルトインガレージを造るという選択肢もあります。ビルトインガレージには一般的なカーポートにはないメリットがあるほか、DIYや読書などの趣味を楽しむ部屋として活用することも可能です。今回は、そんなビルトインガレージについて、当社が手掛けた実例も交えて紹介します。
ビルトインガレージとは?
ビルトインガレージとは、住宅内部に組み込まれた駐車スペースのこと。シャッターなどで入り口を閉めれば、部屋のような空間になるので、駐車だけでなく書斎や趣味を楽しむ場所として活用することもできます。
ビルトインガレージ以外には、次のような種類のガレージが存在します。
独立ガレージ
その名の通り、独立して建つガレージのこと。住宅とは別の建物であるため、その分建設用の敷地が広く必要になります。一方、居住スペースに騒音が伝わりにくいので、車の整備やDIYなど、大きな音がしやすい趣味を楽しみたい人にはおすすめです。
リフト付きガレージ
先述した独立ガレージやビルトインガレージの内部に、機械式のリフトを設置したガレージのことをリフト付きガレージと呼びます。リフトで車を持ち上げて上下に収納すれば、1台分のスペースで2台駐車することが可能に。特にスペースが限られた都心部などで設置されるケースが多いです。
●使い方いろいろ! ビルドインガレージの活用方法を紹介
ビルトインガレージは、ガレージ以外にもさまざまな使い方ができます。
倉庫
ガーデニング用品や工具など、汚れていて室内までは持って入りづらい道具をまとめて保管することができます。
子どもの遊び場
ある程度の広さがあって屋根も付いているので、車がない時は子どもの遊び場として活用できます。特に雨の日や日差しが強い日には便利。夏場にはプールを出して遊ぶのもおすすめですよ。
趣味の部屋
車の整備はもちろん、本棚を設置して読書をしたり、音楽を聞いたりする趣味の部屋としても使えます。簡単なくつろぎスペースを設けて、第二のリビングとして家族で団欒することもできるでしょう。
ビルトインガレージのメリット・デメリット
ビルトインガレージには次のようなメリット・デメリットがあります。
〈メリット〉
●車を守れる
車は雨風や雪、太陽光などによって知らず知らずのうちに劣化していきます。ビルトインガレージは屋根や壁、シャッターで四方を守られた屋内空間のため、劣化を防いでくれるのです。大切な愛車をいつまでもきれいに乗っていたい方にはとてもおすすめといえます。また、盗難やいたずらに遭うリスクも大幅に軽減できるので、防犯上の安心にもつながるでしょう。
●雨に濡れずに外出できる
雨の日の外出で、車に乗るまでに傘を差すのは面倒だけど、濡れるのも嫌ですよね。ビルトインガレージは住宅内部に組み込まれているので、車に乗り込む際に外に出る必要がなくなります。そのため、雨の日でも濡れることなく車で外出できるほか、買い物帰りの荷物の移動もスムーズに行えます。
●土地が狭くても駐車スペースを設けられる
一般的なガレージを造るためには広い庭が必要ですが、ビルトインガレージの場合は住宅の1階または地下の一角に造られるため、狭い土地でも設けやすいのが魅力です。また、単なる駐車スペースとしてだけでなく、DIYやプラモデルなどの趣味を楽しんだり、ソファを置いてくつろいだりする「一つの部屋」としても機能。趣味の部屋が造れない場合にも重宝します。本棚やデスクを置いて書斎として活用することもできますよ。
●延床面積の上限が広がり、節税も可能
住宅は土地さえ買えば好きな広さで建てられるわけではなく、都市計画法によって定められた容積率内に収めなければいけないというルールがあります。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のこと。その割合を計算する際、ガレージ(自動車車庫)は延床面積の5分の1までであれば、延床面積から除外されることになっています。そのため、同じ敷地面積でもビルトインガレージを造った方が実質的な延床面積の上限が広がり、ビルトインガレージの中に、書斎や趣味の部屋などを造る余裕ができる可能性があります。また、後述する固定資産税を減らすこともできます。
限られた土地でもガレージを造れる
住宅内部に組み込まれているビルトインガレージなら、土地が狭くて独立ガレージを建てられない場合でも、駐車スペースを確保することができます。
〈デメリット〉
●メインの居住スペースが2階以上になりやすい
住宅内部にガレージを設けると、その分居住スペースが狭くなります。例えば、1階に設けた場合、リビングは2階になるケースが多いのが現実。メインの生活スペースであるリビングが2階になると、階段を上る機会が増えるため、負担に感じる人もいるでしょう。また、土地の条件によっては寝室や子ども部屋を3階に造らなくてはいけない可能性も考えられます。
●間取りの制約が増える
住宅内部にガレージを設けると、その階に造る玄関や階段の位置が限られて、間取りの自由度が下がります。また、ビルドインガレージは車が出入りするために広い開口部が必要。開口部には壁がない分、強度が劣ってしまいます。そのため、建物の強度を保つための対策も検討しておきましょう。
●騒音が気になることがある
ガレージに停めた車のエンジン音やシャッターの開閉音は、どうしても響いてしまうもの。昼間は気にならないかもしれませんが、就寝時に室内まで聞こえてくると、騒音に感じてしまう可能性があります。間取りを検討する際に、寝室や子ども部屋、二世帯住宅などの場合は両親の部屋から離すようにするといいでしょう。
●「寒い家」になる可能性がある
コンクリートの土間であるガレージは外気の影響を受けやすく、特に冬は冷えしてしまう可能性があります。また、シャッターと地面のすき間から冷気が入ってしまうことも。その冷気が室内に入ると、居住空間まで寒い家になるので注意が必要です。
●メインの居室空間が2階以上になりやすい
ビルトインガレージを造ると1階のスペースを大幅に取ってしまうので、その分居住スペースが減ってしまいます。その結果、リビングやダイニング、バスルーム、キッチンなどを2階に設置しなければならないケースが少なくありません。特に土地が狭い場合は、3階が必要になる可能性も考えられます。
固定資産税はどうなる?
固定資産税とは、所有する住宅やマンション、土地などに対して課される税金のこと。庭先に造る柱と屋根だけのカーポートは固定資産税がかかりませんが、ビルトインガレージは固定資産税の課税対象となります。
ただし、ガレージ部分の面積が建物の床面積の5分の1までであれば、固定資産税はかかりません。超過すると固定資産税が発生するので、注意しましょう。
ビルトインガレージを造るうえでの注意点は?
ビルトインガレージを造る際に注意してほしいポイントを紹介します。
●間取り・動線の配慮
先述の通りビルトインガレージを設置すると、1階部分の居住スペースが限られて、キッチンやリビングが2階になってしまうケースが少なくありません。その際、キッチンまでの動線が悪いと荷物を運びにくく、ストレスが溜まる可能性が考えられます。かといって、無理に1階にキッチンやリビングを詰め込むと、狭くて生活しにくい空間になってしまうことも。そうした失敗をしないように、十分な居住空間を確保できる間取りを考えることが大切です。
●騒音対策
仕事で帰りが遅くなる家族がいる場合は、なるべく寝室をガレージから遠い場所にするなど、対策をするのがおすすめです。
●断熱処理
ビルトインガレージには、断熱の処理が必須です。何もしなければ冬は底冷えしてしまい、居住空間の暖気まで逃げてしまいます。
●換気扇を設置する
ビルトインガレージは住宅内部に駐車スペースがある状態なので、車の排気や臭気が居住スペースに流れないように気をつけなければいけません。その対策として、ガレージ後部のような排気ガスが出やすい場所に換気扇を設けるなどの方法が有効です。
●窓を設置する場合は、密閉性が高い窓にする
本来、車やバイクを停めるだけのガレージは、断熱性が低い傾向があります。そのため、冬場は底冷えしてしまうケースも。対策を行うためには、壁に高性能な断熱材を入れるとともに、外気温の影響を受けやすい窓を機密性の高いものにするのがおすすめです。
●サイズに注意する
ビルドインガレージを造る際は、広さや高さ、そして買い替えのことを視野に入れておきましょう。それぞれについて、詳しく説明していきます。
・広さ
国土交通省が駐車場設計に関して示している「駐車場設計・施工指針」によると、普通自動車1台分の駐車スペースの目安は「幅2.5×奥行6.0m」となっています。これを基準にすると、少し余裕を持たせた「幅3.0×奥行6.0m」は最低限必要だと考えられます。
・高さ
中型車やコンパクトカーの場合、車高は1.5mが一般的。ミニバンだと1.85m〜1.9mは最低限必要です。
・車の買い替えのことも要検討
今乗っている車を基準に広さや高さを決めてしまうと、将来大きな車に買い替えたときに駐車できなくなる可能性があります。そうした失敗しないために、余裕を持ったサイズにしておきましょう。
【実例】イシンホームへの注文で安心!おしゃれで快適な事例を紹介
最後に当社が手掛けたビルトインガレージのある家を紹介します。
●2台駐車できる大きなビルトインガレージ
1階に車2台を駐車できるスペースを確保。スペアのタイヤや工具などもガレージ内に保管できます。
●ガレージからキッチンまでの動線を意識
ガレージから直接家に入ることができ、キッチンまでの動線も一直線。食品のまとめ買いをしてもスムーズに荷物を運べます。
●53坪の敷地でもガレージ+バルコニーを実現
53坪の敷地でも、ガレージとバルコニー付きの住宅を実現可能。玄関前に縦列駐車できるので、最大3台まで車を停められます。
サンクスZEGAの紹介
事例紹介&お客様の声紹介
●FAQ
最後に、お客様からよくいただくご質問について回答していきます。
ビルドインガレージに断熱性能は大切?
ガレージに使われるコンクリートは熱伝導率が高く、冬場は底冷えしてしまうケースが少なくありません。対策を行うためには、壁に高性能な断熱材を入れるとともに、外気温の影響を受けやすい窓を機密性の高いものにするのがおすすめです。
シャッターを付けたいときに注意すべきポイントは?
シャッター付きインナーガレージは排気ガスが溜まりやすい特徴があるので、十分な換気設備を設置することが大切。また、開閉時に騒音も発生するので、ガレージ近くに寝室を設けないといった間取りの工夫も必要です。
電気自動車の充電ができるようにしたいんだけど…
ガレージ内にEVコンセントを設けることは、もちろん可能です。電気自動車はエンジン音や排ガスの心配がないので、ビルドインガレージとの相性は抜群です。
●まとめ
ビルトインガレージは、限られた敷地内に駐車スペースを設けられるだけでなく、雨の日の買い物などや趣味の部屋など、生活を快適で豊かなものにしてくれます。ただし、間取りや動線をよく考えなければ住みにくい家になる可能性もあるので、今回ご紹介した注意点を覚えておいてくださいね。もし、他に不安なことがあれば、いつでも気軽にご相談ください。