オール電化住宅が普及し始めてから30年あまり。日進月歩で省エネ技術が進み、エコキュート給湯器などオール電化に使用する機器類の性能が大幅に向上。割安な光熱費のメリットに人気が集まるようになっています。さらに最近では太陽光発電や蓄電器をプラスして光熱費の大幅にカットし災害時にはエネルギーを自給する新たな住宅ソリューションとしても見直されています。そこで今回はオール電化住宅の基本から応用まで、その魅力に迫ります。
●オール電化って電気代は大丈夫?
昨今の電気代の値上げで、オール電化住宅に不安を持つ方が増えています。ところが実際にオール電化住宅に暮らす方は光熱費が下がったと喜んでいます。一体なぜ??という疑問が資源エネルギー庁の報告で解明されています。その発表によると電気代が激増したオール電化住宅は使用機器が旧式で電気使用量が大きくなっていたことが特定されています。
オール電化が普及し始めた1990年代では暖房に「蓄熱式暖房機」や「電気ボイラー」、給湯は「電気温水器」が一般的でしたが、2000年代の初期から『ヒートポンプ給湯器(エコキュート)』などの給湯器具や、寒冷地向け『暖房用エアコン』、『ヒートポンプ暖房システム』など省エネ性能が高い機器が一般化し、電気の使用量を大幅に削減。初期のオール電化住宅では、冬季の月間電気使用量が3,000~5,000kWh程度である一方、『ヒートポンプ機器』を使用するオール電化住宅では1,000Wh程度であり、使用電力量に大きな差があり、電気代の負担が軽減されているのです。
●オール電化の住まいとは
オール電化の魅力を掘り下げていく前に、まずオール電化住宅の基本をおさらいしておきましょう。まずオール電化住宅とは家庭で必要となるすべてのエネルギーを電気でまかなっている住まいのことを言います。
一般的のご家庭では、お風呂やキッチン・暖房でガス(都市ガス・プロパンガス)や灯油を使用していますが、オール電化住宅ではガスや石油を使用せず、すべて電気エネルギーで対応します。このためオール電化住宅では、以下のようなオール電化用の機器が使われています。
IHクッキングヒーター
火を使わない電磁調理器。空気も汚さずお子様や高齢の方も安心して使用できます。専用の鍋を使い、タイマー機能や調理温度調節など自動コントロール機能、省エネ機能などが充実しています。またお手入れが簡単なこともポイントです。
エコキュート
空気中の熱を使ってお湯を沸かすヒートポンプ技術を利用した給湯器。高効率で、使用電力が少ないため省エネな機器です。また深夜の割安な電力を使って夜の間に水を沸かして日中に使えるようにお湯を貯めておくため電気代も削減できます。
床暖房
熱源機でお湯を沸かして循環させて熱を発生させる温水循環式が人気で、エコキュートでキッチンやお風呂で使うお湯を作るのと同時に、貯湯タンクにたまっているお湯の「熱だけ」を利用して、床暖房用の循環不凍液などに熱を送ります。
●オール電化住宅のメリット
オール電化住宅の主なメリットは次の5つ。光熱費を節約、暮らしの安全や安心、さらには快適さや利便性に加え、環境へのやさしさなどのメリットもあります。
・光熱費を節約できる
一般的な住宅は、電気・ガスそれぞれの料金を支払う必要がありますが、オール電化住宅は電気料金のみになりますので、基本料金も一本化できます。家庭で使われるエネルギーのうち、約3割が給湯に使われているとされていますが、その熱源の多くはガス。オール電化住宅の給湯は空気の熱を使って効率よくお湯を沸かすヒートポンプ方式の給湯機エコキュート。
給湯に使うエネルギーを大きく削減できる上、オール電化を推奨している電力会社の多くはオール電化住宅向けのおトクな電気料金プランを設定しています。特にエコキュートを使う夜間の電気料金を安く設定している場合が多いので、ガスを使う家庭より光熱費を節約できるのです。
・災害時の安心感
「オール電化の住宅は、災害時の停電リスクが心配」といった不安を抱く方もいるようです。しかし、実は電気・ガス・水道などの生活インフラの中で、災害時に一番早く復旧したのは電気なのです。
実際に、1995年の阪神・淡路大震災や2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災の際には、都市ガスや水道よりも電気の復旧が早かったと報告されています。さらに、内閣府による首都直下地震等による東京の被害想定によれば、各ライフラインの復旧目標日数は、電気で6日、上水道で30日、ガス(都市ガス)で55日となっています。
また給湯に使うエコキュートは、あらかじめ沸かしたお湯を貯めておく「貯湯式」。そのため万一災害が起こって断水しても、エコキュートのタンク内のお湯や水を「生活用水」として使えます。トイレの水などその他の「生活用水」過去の災害時でも不足し、不便を強いられています。オール電化はいろいろな意味で災害時に安心なシステムだと言えるのです。
※日本気象協会 tenki.jp「知る防災」より
・ガスや火の事故が起こりにくい
オール電化住宅で使用するIHクッキングヒーターやエコキュートは、どちらも火を使いません。そのため火災などの危険性が低いと言えます。またガスを使用しないため、一酸化炭素中毒の心配がより少なく、安全性が高いと言えるのです。高齢者や小さなお子様のいるご家庭は安心できるメリットです。
・お手入れ簡単・機能充実
オール電化の住宅のキッチンで使うIHクッキングヒーターは、鍋やフライパンを置く天板がフラットになっています。そのため、調理後の汚れは布巾などでサッと拭くだけでOK。鍋を置くための五徳などもなく、毎日のお掃除の手間が大幅に軽減されます。
さらに、IHクッキングヒーターは、火を使わないため燃焼にともなう水蒸気が発生せず、結露やカビを抑制。燃焼ガスによる上昇気流の発生もなく、油の成分や水蒸気が上昇することも抑えられるため換気扇も汚れにくくなり、お手入れも簡単になります。一方、ガスコンロにはない温度の自動調節機能や、自動湯沸かし、自動炊飯機能など便利な機能が充実。IHは熱効率が高く、高火力で加熱も速いので調理時間も短縮できます。
・環境にやさしい
オール電化の給湯に使うエコキュートは再生可能エネルギーである空気の熱を使ってお湯を沸かすシステムなのでCO2の排出量も大幅に削減します。自然冷媒の採用でフロンを使用しない点も環境負荷が抑えられます。また一般的な電気温水器は電気の熱でお湯を沸かしますが、エコキュートは必要な熱を空気から集めますから、使用する電気の量も少なくてすみます。
●オール電化住宅のデメリット
魅力いっぱいのオール電化住宅ですが、もちろんデメリットもあります。
・初期費用が高額
IHクッキングヒーターやエコキュートは、導入費用が高額です。さらに、IHクッキングヒーターに対応している調理器具の費用も必要になります。ただし、初期費用だけでなく、光熱費が削減できるなどランニングコストを含めトータルで考えることが必要です。
・昼間の電気代が高くなる
エコキュートを前提とした夜間に割安になる電気料金プランは、逆に昼間の電気代が割高になっています。エアコンの使用など昼間の電気使用には気をつけたいものです。ただし、オール電化と同時に太陽光発電システムを導入すれば、日中に発電するため、オール電化の電気代が一番割高な日中の電気を自前で賄えます。
・停電時は使えない
オール電化はエネルギーを電気だけに頼るため、停電のリスクがあります。しかし、メリットのパートで説明したようにライフラインの中で、電気の復旧がもっとも早かったという実績があります。
また、ガス機器の中には、電気がなければ使えないものもあります。水道も同様で、水道自体は断水していなくても、高層住宅では水を送るポンプが停電でストップして建物内で断水が起こります。
このようにオール電化ではなくても停電の際は、住宅のさまざまな機能が制限されます。最近は災害時の備えとして、太陽光発電や蓄電池を導入するご家庭が増えています。
・使用できる調理器具が制限される
IHクッキングヒーターは、使える調理器具が限られます。ただし、最近はIHクッキングヒーター対応の土鍋など、以前よりも調理器具が制限されることは少なくなっています。
●オール電化を選ぶ際の注意点
せっかくのオール電化にしたのに・・・と後悔しないように、オール電化住宅を新築する際に、注意するポイントをまとめておきます。
・断熱性能
オール電化住宅は、断熱性能の向上が重要です。断熱性能が低い家にオール電化を導入すると、電力消費が増加し、光熱費が高くなる可能性もあります。断熱性能とオール電化は車の両輪。優れた断熱材や高性能な窓やサッシ・ドアの導入は、オール電化のメリットをさらにアップしてくれます。
・電気設備の確認
住宅のリフォームでオール電化を導入する場合は、配線や電気設備をアップグレードする必要があることがあります。電気容量不足やセーフティーコードの問題が発生し、安全性と効率性が損なわれる可能性があります。オール電化が新築時にオススメな理由も、トータルに計画できるため問題が出にくいことが挙げられています。
・メンテナンスの計画
オール電化は定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスをおろそかにすると、システムの効率性を低下させたり、軽微な不具合を見過ごし故障を招き修理コストがかさんでしまう可能性があります。前もってメンテナンスのスケジュールを計画しておくことが大切です。
・電気代値上げ対策
オール電化のシステムは長期的な投資です。将来のエネルギーコストの変動を考慮に入れず、せっかくのシステムが使えなくなるのは最悪。将来電気代が上がっても困らないように太陽光発電や蓄電池と組み合わせて電気が自給できるようなプランにするなど、対応を考えておきたいものです。
●オール電化への補助金や優遇措置
現在、経済産業省資源エネルギー庁では、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の導入支援として「給湯省エネ2024事業」を行なっています。
例えばエコキュートの導入1台につき基本額80,000円に性能加算額最大50,000円が補助されています。また自治体によっては補助金が用意されている場合もあります。
さらにオール電化、太陽光発電、蓄電池などを組み合わせてエネルギー収支をゼロ以下にするZEH住宅には国から「ZEH補助金」が用意されており、55〜112万円の補助金を受け取れる可能性があります。
●太陽光発電との併用によるメリット
電力会社が提供するオール電化住宅向け電気料金プランは、一般的に夜間よりも昼間の料金単価のほうが高く設定されているため、太陽光発電と組み合わせるとメリットが大きくアップします。
電気料金が割高な昼間は太陽光で発電した電気を自家消費し、発電できない夜間は割安な料金プランを利用することで、電力会社に支払う電気料金を大幅に削減。さらに、太陽光で発電した電気のうち余剰分は売電するのが一般的ですが、蓄電池に貯めておけば、発電のできない雨天や夜間も蓄電池の電気を使うことができるようになります。
オール電化の住宅に太陽光発電や蓄電池を併設することで、電気代を大幅にカットしたり、災害時の停電への備えにするなど、大きな相乗効果が期待できます。
太陽光発電に関する記事は、こちらにもございます。併せてご覧ください。
●オール電化+太陽光発電の光熱費シミュレーション
例えば一般的な4LDKの一戸建てに住む4人家族の光熱費をシミュレーションするとオール電化住宅やオール電化に太陽光発電を併設した場合で大きな違いが出ます。
※関西電力の試算条件に基づき以下の条件で算出
年間の購⼊電⼒量5,628kWh(デイタイム148kWh、リビングタイム2,815kWh、ナイトタイム2,665kWh)の場合。太陽光発電設備は3.0kWタイプを南⾯、傾斜⾓30度、⼤阪に設置した場合。
年間発電量は3,338kWh。余剰電力のFIT買取単価16円/kWh(太陽光発電設備容量10kW未満)、太陽光発電の売電量1,643kWhの場合。
●イシンホームのZEH住宅
ZEH(ゼッチ)住宅とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。断熱性能や省エネ性能を高め、さらに太陽光発電などで家庭で使うエネルギーをつくり出すことにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・換気・照明・給湯)をほぼゼロ以下にする住宅のことです。イシンホームではこのZEH(ゼッチ)住宅のコンセプトをさらに発展させた「サンクスZEGA」という「一生、電気・ガス代をほとんど払わない家」を提案。全国で25,000棟以上のゼロエネルギー住宅を施工して多くのお客様に喜ばれています。
サンクスZEGAの6点セット
- 10kW以上の大容量N型ソーラー
- 大型蓄電池
- ソーラー給湯
- 高効率24時間換気システム
- PHV・EV車用充電アダプター
- 長期大量売電
サンクスZEGAの詳細はこちらをご覧ください。
●お客様の声をご紹介
埼玉県 H様
色んなものを電気で使うようになったので光熱費が上がるかと思ってましたが、電気代は10,000円を超えないですね8,000円くらいで済んでいます。
千葉県U様
前の家はガスと電気代で月の光熱費が15,000円ぐらいでしたが
オール電化にして電気代は月に12,000円~13,000円ぐらいです。
売電が19,000円~20,000円ぐらいありリース代も賄えて残りは電気代に回す感じです。
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イシンホームのゼロエネ住宅の情報はこちらからご覧ください。