
赤ちゃんと暮らす新築住宅を考えるとき、どんな点に気を付ければよいのでしょうか。コンセントの位置や角の処理、階段など「目に見える注意点」は、入居後にグッズや工夫で補えることも少なくありません。むしろ後悔につながりやすいのは、後から変えにくい“家の基本性能”です。
例えば、赤ちゃんが過ごす床上30cm付近にはホコリなどがたまりやすく、シックハウス症候群といった健康への不安も気になるところ。さらに災害時は、赤ちゃん連れの避難所生活が大きな負担になり得るため、自宅で過ごす「在宅避難」まで見据えた備えがあると安心です。本記事では、赤ちゃんを守る家づくりの基準を「空気・防災・時間」の3点から整理します。
目次
まず押さえる!事故を防ぐ「間取りの危険予知」チェックリスト
・間取りの工夫で防ぐ家の中の危険
赤ちゃんと暮らす家づくりでは、間取りにも目を向けておきたいところです。特に階段まわりは、急な勾配を避けるのはもちろん、手すりや扉・ゲートを付けたり、滑りにくい素材を選んだりすることも検討したいポイントです。
デザインも大切ですが、見た目だけで決めてしまうと後から困ることも。例えば、スケルトン階段は開放感がありデザイン性が高い反面、落下につながらないよう隙間や仕切りの工夫が欠かせません。
また、リビングから各部屋を見通しやすい間取りや動線にしておくと、家事をしながらでも赤ちゃんの様子を見守りやすく、ヒヤリとする場面の予防につながります。
・赤ちゃん目線で家の中をチェック
赤ちゃんが安全に過ごせる家づくりのコツは、「赤ちゃんの目線」を意識することです。床は、わずかな段差でもつまずきやすいため、可能な範囲でフラットな仕上げを検討しましょう。
窓は補助ロックを付けて大きく開かないようにし、ベランダの柵は隙間や足掛かりに配慮します。扉や収納はチャイルドロックなどで勝手に開けにくくし、開き戸では指を挟むリスクにも注意が必要です。床材は滑りにくい素材を選び、コンセントはキャップを付けたり高めの位置に設けたりして、感電事故を防ぎます。
赤ちゃんがいる家づくり<危険チェックリスト>
階段まわり
□ スケルトン階段など、踏板の隙間が広すぎない
□ 滑りにくい素材になっている □ 扉やゲートで仕切れる
見通しの良さ
□ 家事中でも赤ちゃんの様子が見える間取りになっている
□ 目が届きにくい「死角」が多すぎない
動線の安全性
□ 家事動線が複雑すぎず、抱っこ中でも安全に移動できるつまずき対策
□ 部屋間の段差が少ない
窓・ベランダの落下防止
□ 窓の位置が低すぎない
□ 補助ロックで大きく開かないようにできる
□ ベランダや窓柵の隙間が広すぎない/登りにくい工夫ができる
吹き抜けの安全性
□ 手すりの高さや隙間など、落下につながる要素がない
□ 手すり周辺に足掛かりになる造作・家具配置がない
ドア・収納扉
□ 指を挟みやすい構造になっていない
□ チャイルドロックなど、勝手に開けにくい工夫ができる
床材
□ 滑りにくい素材
□ 硬すぎず、転倒時の衝撃が大きくなりにくい
コンセント
□ 赤ちゃんが触れにくい高さ・位置にある
□ カバー(キャップ)を付けやすい配置になっている
ただし、上記の多くは入居後の工夫やグッズでも対応できます。注目したいのは、後から変えにくい要素が関わる健康リスクです。ここからは、家が建った後に後悔しないために、「①空気②防災③時短」の3点を重視した考え方を解説します。
【ポイント1:空気】赤ちゃんが吸うのは「床上30cm」の空気。シックハウスにも注意

・ハイハイ期の赤ちゃんが吸い込む空気とは
ハイハイ期の赤ちゃんが過ごす床付近には、ハウスダストや花粉などがたまりやすいとされます。赤ちゃんは床に近い位置で長い時間を過ごす分、大人よりも空気の影響を受けやすいといえるでしょう。
また、ダニのフンや死骸、カビの胞子などは舞い上がることがあり、吸い込むことでアレルギー症状や体調不良の一因になる可能性もあります。特に免疫力が未発達な時期は影響を受けやすいと考えられるため、換気や掃除をこまめに行い、清潔で健康的な空気環境を保つことが大切です。設計段階では、換気しやすい窓や設備、掃除をスムーズに行える間取りも合わせて検討しましょう。
・新築時は要注意!?シックハウス症候群の一因になり得る化学物質
新築の住まいでは、建材や内装材などから揮発性化学物質が放散される場合があり、ホルムアルデヒドはその代表例として知られています。
大人にとっては微量でも、赤ちゃんは体重あたりの吸気量が多く、同じ環境にいても化学物質を体内に取り込みやすいとされています。そのため、目や喉の刺激、頭痛、めまい、アレルギー症状などのシックハウス症候群につながる可能性があります。
健康的な環境を保つためには、十分な換気計画を立てることに加えて、ホルムアルデヒドなどの放散量が少ない建材を選ぶといった工夫も大切です。
【ポイント2:防災】避難所に行けない現実。乳児期家庭こそ「在宅避難」できる家へ

・赤ちゃんと一緒に避難した際の現実
赤ちゃんと一緒に避難所で過ごす場合、次のような状況に直面することが多いようです。
まず、多くの避難所は人が密集しやすく、衛生環境が十分に整っていないこともあるため、感染症など健康面の不安が大きくなりがちです。
また、夜間の泣き声が周囲の迷惑にならないかと常に気を遣い、親が休む時間を確保しづらいことも負担になります。さらに、粉ミルクを作るためのお湯がすぐに手に入らなかったり、哺乳瓶を清潔に保つ道具が不足したりと、日常では当たり前にできることが難しくなる場面も増えるでしょう。
・在宅避難をかなえるためには
在宅避難を実現するには、住まいの耐震性が確保されていることが前提です。そのうえで、停電や断水が起きても、自宅で最低限の生活を続けられる備えを検討します。災害時はライフラインの復旧に時間がかかることもあるため、電気や水への備えは心強い支えになります。
例えば、太陽光発電や蓄電池を備えることで、発電した電気を停電時にも利用できるケースがあります。またエコキュートは、機種によってタンク内に貯めた湯(または水)を非常時に生活用水として取り出せる場合があり、断水時の水確保に役立ちます。これらの設備を整えておくことで、自宅を「避難拠点」として機能させやすくなるでしょう。
【ポイント3:時短】親の余裕が安全を決める!夜泣きや家事ストレスを減らす設計

・家庭内で起こる事故の原因は?
家庭内で起こる赤ちゃんの事故の多くは、家そのものの危険だけが原因とは限りません。家事に追われて親が疲れていたり、忙しさの中でほんの一瞬目を離してしまったりするタイミングに起こりやすいといわれています。親が心身ともに余裕のない状態では、周囲への注意が行き届かなくなり、ヒヤッとする場面が増えてしまいがちです。
だからこそ、赤ちゃんの安全を守るためには、親自身がゆとりを持って過ごせる環境づくりが大切です。家事の効率化や、無理のない生活動線を意識することで、親が落ち着いて子どもを見守れる時間と気持ちが生まれ、結果として事故の予防につながります。
・家事負担が1/2になる設計がおすすめ
親の余裕を生むためには、家事負担をできる限り減らすことが大切です。ポイントは家事の動線。キッチンや洗面、収納を効率的に移動できる回遊性のある動線にすることで、家事を同時進行しやすくなります。
また、食洗機など時短につながる設備を上手に取り入れると、日々の作業時間を削減しやすくなります。家事効率が上がれば心身の余裕が生まれ、赤ちゃんの安全を見守る時間も確保しやすくなるでしょう。
・夜泣きのストレスには防音対策を
親のストレスの原因の一つが、赤ちゃんの夜泣きです。乳児期だから仕方がないと分かっていても、「近所迷惑になっていないか」と不安を抱えながら眠る毎日は、睡眠不足をさらに深めてしまうことがあります。
夜泣きの音もれをできる限り抑えるには、設計時に防音対策を考えておくことが大切です。壁や床の仕様を検討したり、気密性の高い窓を採用したりすることで、泣き声が周囲に響きにくくなります。外の騒音も入りにくくなるため、赤ちゃんと親の眠りを妨げにくい環境が整い、家族全員の睡眠の質向上につながります。
“赤ちゃん仕様”に固定しない!成長に合わせて変えられる間取り
・後悔しやすい設備とは?
赤ちゃんとの生活を想定した家づくりでは、つい「赤ちゃん仕様」を前提に間取りや設備を固定してしまいがちです。ただ、作り込みすぎると将来の後悔につながることもあります。例えば、赤ちゃんが取りやすいように低い位置に作り付けた収納や、安全のために設置した固定式の柵は、成長とともに使いにくくなり、生活の妨げになる場合も。子どもは数年で大きく成長し、必要な環境も変化していきます。
・成長とともに変えられる設計に
家族が長く快適に暮らすためには、子どもの成長に合わせて柔軟に変えられる設計が重要です。家具の配置や可動式の間仕切りで空間を変化させられる「余白」を残しておけば、乳児期から幼児期、学童期まで無理なく対応できます。機能を最初から固定しすぎず、家族のライフスタイルの変化に合わせて調整が可能な設計を意識しましょう。
予算配分の正解は「後から変えにくい性能(換気・断熱・防災)」を優先

・後づけしにくいものに投資を
家づくりでは、目に見えるインテリアや便利な設備に目が向きがちです。ただ、本当に優先したいのは「後から変えにくい部分」への投資。安全対策グッズや家具、ベビーゲートなどは、必要に応じて後から追加できますが、断熱材や気密性能、換気システムといった家そのものの基本性能は、完成後に大きく改善するのが難しい領域です。
特に、断熱や気密性能が十分でないと、夏や冬の暑さ・寒さが子どもの体に負担をかけやすいうえに、結露やカビの原因になることも。また、換気が十分に行われにくい環境では、ハウスダストや化学物質が室内に滞留し、健康面の不安につながる可能性もあるでしょう。
限られた予算をどこに配分するかは悩ましいところですが、まずは「家族の健康と命を守る基本性能」を優先して考えるのがポイントです。デザイン性の高いキッチンや最新設備は魅力的ですが、これらは後から交換や追加ができます。一方で、家の性能は住み心地や健康に長く関わるため、建築段階できちんと検討しておく必要があります。見た目の良さだけにとらわれず、断熱・気密・換気といった基礎の部分をしっかり確認することで、安心して長く暮らせる家を実現できるでしょう。
イシンホームの「Ecoーi熱交換換気システム」は、床下の排気口から、室内の汚れた空気やアレルゲン物質を排出する仕組みを採用しています。換気計画と合わせて検討することで、一年を通して心地よい室温を保ちやすい住環境づくりにもつながります。
●まとめ
住まいづくりにおける赤ちゃんの安全対策では、コンセントカバーやベビーゲートなど“目に見える注意点”に意識が向きがちです。しかし後悔を分けるのは、後から変えづらい家の性能であることも少なくありません。ポイントは①床上30cm付近の空気をきれいに保つ換気、②停電・断水時も自宅で暮らせる在宅避難の備え、③家事負担と騒音ストレスを減らし親の余裕を守る時短設計。
限られた予算だからこそ、内装や家具といった見た目よりも、“家の体質”に優先的に投資しましょう。また、間取りを作り込みすぎず、成長に合わせて変えられる余白を持たせることも大切です。赤ちゃん期から成長後まで、家族が長く快適に暮らせる家づくりは、イシンホームにご相談ください。

