
長くつづいた日銀のゼロ金利政策が終わりを告げ、住宅ローン金利が徐々に上がり始めています。これからマイホームを建てようとしているご家族にとっては、金利の先行きへの不安で「建てるべきか、待つべきか」と悩ましい状況。加えて、中東情勢の悪化や円安など、家づくりを取り巻く環境は激動の時代を迎えています。そこで今回は、住宅ローン金利を取り巻く状況を整理し、変動金利や固定金利の選択基準、金利上昇が家計に与える影響など、これから住宅建設を考える方に役立つ判断材料を分かりやすく提示。不確実な時代の家づくりに求められる合理的で納得できる選択をサポートしていきます。
目次
住宅ローン金利の最新状況から見る「金利の今とこれから」
まず住宅ローン金利を考える上で基本となる情報を整理しておきます。
住宅ローンの金利はどう決まる?
住宅ローンの金利には、大きくわけて変動金利と固定金利があります。日銀の政策金利に連動して金利が変わるのが変動金利です。一方、固定金利は、「10年もの国債の利回り」などの長期金利を基準にしています。長期金利は日銀の政策金利だけではなく、国内外の経済動向・市場取引の影響を受け変動します。
住宅ローン金利は3タイプ

住宅ローンの金利タイプは以下の3つに大別できます。
変動金利
半年ごとに金利が見直されるタイプ。短期金利(日銀の政策金利や短期プライムレート)に連動し現在は依然として低水準ですが、上昇の兆しが見えています。
固定金利(期間選択型)
3年、10年など一定期間の金利を固定するタイプ。10年国債利回りなど長期金利に連動して金利が変動します。
全期間固定金利
完済まで金利が変わらないタイプ(フラット35など)。
住宅ローン金利は上昇局面
2024年3月、日銀はマイナス金利政策の解除を決定しました。長期金利に連動する住宅ローンの「固定金利」は、日銀の政策修正を先取りする形で2023年から段階的に上昇しています。一方、短期金利に連動する「変動金利」も、2024年秋以降、大手銀行が基準金利の引き上げを相次いで発表しています。
このような金利上昇の背景には、国内の物価上昇(インフレ)や、米国の高金利に伴う円安を是正するための利上げがあります。これからマイホームを建てようと考えている方には、あまりうれしくないニュースですが、「超低金利」だった日本の住宅ローン環境は上昇局面に入っており今後は「緩やかに金利が上昇し続ける前提」で家づくりの資金計画を立てる必要があります。
参考までに2026年5月の住宅ローン金利状況を整理して以下にまとめておきます。
・変動金利:0.9~1.1%台が中心
・10年固定金利:2.6~3.1%台が中心
・フラット35※:2.71%(前月比+0.22%)
※借入期間21~35年、団信あり、融資率9割以下
金利は必ず変動するもので上がる場合も下がる場合もあります。ですから一喜一憂することなく長期的に見ることが重要です。例えばバブル期の住宅ローン金利は8%を超えていました。過去と比較すれば、現在の金利は依然として歴史的な低水準にあることが分かります。今後の見通しについては、国内外の金融機関の予測では変動金利は中長期的に1.0~1.5%程度が一つの着地点で、フラット35は2.5%前後で推移するとされています。

(出典:ダイヤモンド不動産研究所、住宅金融支援機構 2026年4月)
・1990年(バブル期):基準金利は8.5%程度
・2000年代:2~3%台で推移
・2016年以降(マイナス金利導入):0.5%を切る超低金利時代
変動vs 固定|それぞれの動きと注意点
どちらを選ぶかは、家計の余力とリスク許容度によって変わりますが、ポイントを整理しておきます。
■変動金利
変動金利は短期金利に連動し、現在は非常に低水準です。ただし、今後の利上げ局面では上昇リスクがあります。
特徴
・低金利でスタートできる
・将来の金利上昇リスクあり
向いている人
・借入金額が少なく、返済期間が短い。
・年収に対して返済比率が低く、金利が上がっても家計が破綻しない。
・こまめに繰上返済ができる余力がある。
■固定金利
固定金利は長期金利に連動し、すでに上昇傾向です。例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」は2%台に乗る水準となっていますが、返済額が確定するため家計管理は非常に安定します。
特徴
・返済額が一定で安心
・スタート時の金利は高め
向いている人
・今後の金利上昇に不安を感じたくない。
・返済計画を確定させ、教育費など将来の支出に備えたい。
・現在、借りられる最大額に近い融資を受ける。
金利上昇が家計に与える影響をシミュレーション

金利が0.5%変わると、具体的にどれくらい支払いが変わるのでしょうか。借入額ごとの返済額を具体的に見てみましょう
【借入額別・金利別返済額シミュレーション】
| 借入額 | 金利 0.5% | 金利 1.0% | 金利 1.5% | 金利 2.0% |
| 3,000万円 月額 | 7.8万円 | 8.5万円 | 9.2万円 | 10.0万円 |
| 3,000万円 総額 | 3,272万円 | 3,557万円 | 3,858万円 | 4,174万円 |
| 4,000万円 月額 | 10.4万円 | 11.3万円 | 12.3万円 | 13.3万円 |
| 4,000万円 総額 | 4,363万円 | 4,743万円 | 5,144万円 | 5,565万円 |
※住宅金融支援機構の返済計算式を基に算出(35年返済・元利均等・ボーナス払いなし)
金利が0.5%から1.5%に1%上がると、3,000万円の借入でも月々の返済は約14,000円増加し、総返済額は約586万円も増加します。この「金利の差」による負担増が家計に与える影響をしっかりと検討しておくことがポイントです。
住宅ローンは変動金利利用が多数派
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2024年4月発表)」によると、変動金利の利用者は約76.9%にのぼります。多くの人が「低金利」のメリットを前提にローンを組んでいます。また変動金利には金利上昇時に急激な支払い増を回避する仕組みもあり、安心感につながっています。
変動金利の5年ルール・125%ルールとは
変動金利は政策金利の影響を受け金利が変動しますが、急激な負担増を防ぐ2つの仕組みがあります。
※元利均等返済方式かつ変動金利で借り入れの場合
5年ルール
返済額は5年ごとの見直しで、金利が変更になっても次回の見直しまで返済額は変わりません(元金と利息の内訳は変わります)
125%ルール
返済額は5年ごとに見直ししますが、金利上昇により返済額が増える場合でも、新返済額は前回返済額の125%を限度とします。
5年ルール・125%ルールの注意点
ただし2つのルールはあくまで緩和措置です。住宅ローンの返済が滞ることを避けるために、返済額を上げる場合は段階を経て徐々に上げていくという仕組みです。
そのため、金利が上昇した分の利息は「未払利息」として蓄積され、後日支払う必要があります。5年ルールでは、毎月の返済額は5年間変わりませんが、いずれ未払利息を支払うことになり、返済総額としては増加するため注意が必要です。
加えて、2つのルールは返済額には適用されますが、金利そのものには適用されません。ローン返済額に占める利息分は、ローン残高に対する金利で計算されます。急激な金利上昇が続いた場合、5年ルールや125%ルールで返済額は大きく上がらなくても、返済に占める利息の割合が多くなり、元金の返済が進まない可能性があります。
この他、元金均等返済方式の場合は、変動金利で借り入れしていても、5年ルールや125%ルールは適用されません。毎回の返済額は、借入元本額を返済回数で割った均等額に1ヵ月ごとの利息支払い額を加えた金額となり、利息支払い額の変動額に上限はありません。
家づくりの決断!待っても損をしかねない理由とは
金利の上昇局面が落ち着くまでマイホームを先送りにする方もいるかもしれません。しかし、待つことが実は最もリスクが高い可能性もあります。
理由① 住宅価格の上昇が金利上昇を上回る
現在、円安やインフレによる資材価格高騰に加え、人件費の上昇が続いています。国土交通省の調査でも、建築コストは右肩上がりです。1年待って金利が0.1%下がるのを待つ間に、建物価格が数百万円上がってしまうのが今の実情です。
理由② インフレ下では家賃も上がる
住宅を待っている間も「家賃」の支払いは続きます。また、物価高に連動して家賃の更新時に値上げを打診されるケースも増えています。支払った家賃は資産になりませんが、住宅ローンの返済は着実に自分の資産になります。
理由③「年齢」の壁
住宅ローンには「完済年齢(一般的に80歳前後)」と「団体信用生命保険(団信)への加入」という年齢の壁があります。待つことで、長期返済ができる住宅ローンが利用できないのでは本末転倒です。
健康状態のリスク
年齢が上がると、持病などで団信に加入できず、ローン自体が組めなくなるリスクが高まります。
返済期間のリスク
決断を先延ばしにすると、定年退職後も多額のローン返済が残ることになり、老後資金を圧迫します。
建てるか?待つか?マイホームづくりの判断基準

住宅ローン金利の上昇に加え建築費の高騰により、マイホームづくりの判断は難しくなっています。しかし「明確なライフプランがあり、資金計画が立つなら、早めに動く」方がメリットが大きいと言えます。
<判断チェックリスト>
1. 住宅は必要なタイミングか
結婚、出産、子供の入学、親との同居など、家が必要となる具体的なライフイベントが近い場合は「建てる」タイミングです。
2. 収入は安定しているか
収入合算によるローン計画の場合は共働きが維持できるか、また安定した昇給の見込みがあるかを見極めてください。
3. 家計に余裕があるか
住まい以外にも急な家計の支出への備えは必要です。住宅ローン金利が上昇傾向なだけに、まだ低金利な今なら家計への負担も抑えられます。
4. 頭金などの貯蓄はあるか
自己資金があれば借入額を抑えられ、金利の負担も少なくて済みます。
5. 将来の金利上昇に耐えられるか
住宅ローンの金利は上昇局面。今の金利より1%上昇しても月々の返済は可能かどうかしっかりと検討してください。
今建てるべき人は
子育て世帯
子どもが小さいうちに広い家で過ごす暮らしの余裕は金利差に換えられない価値があります。
家賃が高い人
現在の家賃の支払は後には残りません。住宅ローンの支払いは持ち家として残りますから、何よりの資産形成になります。
長期的に住む予定の人
30年以上住むなら、早く建てるほど1年あたりの住居コストは下がります。
「金利を読む」より「備える」!金利上昇に強い家づくりを
金利という「自分ではコントロールできないもの」に一喜一憂するより、家づくりの工夫や住宅ローンの借り方で金利上昇に備える家づくり戦略の方が確実な成果が見込めます。
月々の支出総額で考える住宅購入
例えば、光熱費を大幅に低減するZEH基準をクリアする家を考えてみましょう。金利が上がって月々の返済が5,000円増えたとしても、太陽光発電や高断熱性能(ZEH基準以上)によって光熱費を大幅に削減できれば、トータルな家計支出ではプラスにできます。住宅性能にお金をかけることは、将来の金利上昇に対する最大の「保険」になります。
イシンホームは太陽光発電を標準で採用した家づくりを提案。住宅ローンの支払いだけでなく光熱費を含めたトータルな住居費の削減で、家計を守る家づくりを提案しています。
変動/固定の二択ではなく柔軟な住宅ローン戦略
住宅ローンには、変動/固定の金利タイプを組み合わせて借り入れできるミックスプランもあります。2つの金利タイプを組み合わせれば、固定金利のみで借り入れする場合と比べて毎月の返済額を抑えながら、金利上昇リスクにもある程度備えることができます。
また、繰上返済を前提に固定金利に比べ低金利の変動金利を利用すれば将来的な金利上昇のリスクを回避することも可能です。
より柔軟な住宅ローン戦略で金利上昇時代の家計負担を軽減してください。
FAQ
Q.金利の見直しはいつ行われる?
変動金利の場合、通常4月と10月の年2回見直されます。ただし、返済額自体が変わるのは「5年ルール」により5年ごとの場合が多いです。
Q. 借り換えのベストなタイミングは?
「金利差1%以上」「残高1,000万円以上」「残り期間10年以上」が目安と言われてきましたが、最近は手数料を考慮しても0.5%程度の差でメリットが出るケースもあります。
まとめ
超低金利の時代は終わり、上昇局面を迎えた住宅ローン金利。マイホームの計画は先延ばしするべきなのか悩む方も多いようです。でも待っていても金利が下がる保証はなく、建築費上昇のリスクの方が高そう。そんな中で考えたいのが太陽光発電+高断熱で光熱費を大幅に低減してトータルな住居費を抑える「金利上昇に強い」家。イシンホームは従来から太陽光発電+高断熱を標準仕様に採用。家計を守る家づくりを推進してきました。もし、金利上昇の不安や疑問、住居費を抑えてくれる家づくりのシミュレーションが知りたい場合は、気軽にイシンホームまでお問い合わせください。豊富な事例の中から、お客様に最適な情報をご提供。これからの時代にぴったりの「金利上昇に強い」家づくりをお手伝いします。

