高気密高断熱住宅は必要?後悔する事例と本当の価値を深掘りして徹底チェック

快適な暮らしへのニーズや省エネ基準の高度化に歩調を合わせ、高気密・高断熱な家づくりが当たり前の時代を迎えています。ところがSNSや口コミサイトなどでは高気密高断熱住宅に対する後悔など気になる声を目にするケースも増えてきました。これからマイホームを建てる方にとっては「本当に必要なのだろうか」と悩ましいところ。そこで今回は評価が分かれる高気密高断熱住宅をクローズアップ。後悔するケースや満足度のポイントなど高気密高断熱住宅のリアルを深掘りしながら、その必要性を判断できる情報を詳しく解説します。

そもそも「高気密高断熱住宅」ってどんな家?

まずは「高気密高断熱住宅」とはどんな家なのでしょうか、なぜ最近注目されているのかを整理しておきましょう。

・高断熱と高気密は“別物”

「高気密高断熱」と一括りにされがちですが、まったく異なる2つの性能を組み合わせた言葉です。例えていうと「高断熱」と「高気密」は、セーターとウインドブレーカーのような関係です。どちらか片方だけが優れていても不十分。いくら厚手のセーター(断熱)を着ていても、隙間だらけで風(気密)が通れば寒さを感じてしまうわけです。

・高断熱とは

高断熱とは、室内の熱が外に逃げにくく、外の寒さや暑さが室内に伝わりにくい性能を表す言葉です。壁や床、天井に高性能な断熱材を隙間なく敷き詰め、熱の最大の流出入源である「窓」に複層ガラスや樹脂サッシを使用することで実現します。

断熱性能はUA値という数値で表され、数値が小さいほど熱が逃げにくい高性能な家であることを示します。

・高気密とは

高気密は、家全体の「隙間」を可能な限り減らした工法で気密性を高めることです。従来の家づくりでは、床と壁の接合部やコンセントまわりなどから細かな隙間が生じていました。これらを専用の気密シートや気密テープで徹底的に塞ぐことで、家の気密性を高めて隙間風などの空気の出入りを防ぎます。

気密性能は「C値(相当隙間面積)」という数値で表されます。この数値が小さいほど隙間のない、気密性の高い家と言えます。日本の古い住宅ではC値が5.0以上あることも珍しくありませんでしたが、現在の高気密住宅では1.0以下、高性能な場合は0.5以下を基準としています。

・家づくりの主流になってきた背景

高気密高断熱が家づくりの主流になった最大の理由は、国が進める「脱炭素社会の実現」と「エネルギー危機への対応」です。

環境省の調査によると、家庭で消費されるエネルギーの約3割を「冷暖房」が占めています。国際公約であるゼロカーボンの実現に向け、住宅の省エネ義務化に加え、省エネ性能の表示制度(BELSなど)が義務化される一方、補助金制度も拡充されるなど高気密高断熱な家づくりが推進され、全国的に普及しているのが現状です。

「高気密高断熱住宅」で後悔するケースとは

メリットばかりに思える高気密高断熱住宅ですが、SNSなどで「後悔した」という声も目にします。その原因を分析すると、大きく「不快感」「性能不満」「コスト要因」という3つの軸に整理できます。

・後悔事例の3つの軸とは

① 不快感:空気がこもる、頭痛、過乾燥など

② 性能不満:冬寒い、夏暑い、期待外れ

③ コスト要因:光熱費が下がらない、初期費用が高い

・後悔の原因と対策

①   不快感

もっとも多い後悔が「空気がこもる、めまい・頭痛、冬の過乾燥」などの身体的な不快感や健康リスクです。

原因:換気設計の不備と設計バランス

高気密な家は、文字通り「魔法瓶」のように空気が密閉されています。そのため、建築基準法で義務付けられている「24時間換気システム」が正しく機能していないと、室内の二酸化炭素濃度が上昇し、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。

また、冬の「過乾燥」は、暖房で室温が上がることで「相対湿度」が下がる一方、換気で冬の乾燥した外気が常に入り込むため、過乾燥な状態になるわけです。

対策

・十分な換気量を保つ換気設計

・定期的なフィルターメンテナンス

・適切な加湿計画

②    性能不満

高気密高断熱への期待値とのギャップです。例えば「床暖房なしでも暖かいと言われたのに足元が冷える」「夏、2階の部屋が蒸し風呂のようでエアコンが全く効かない」というケースです。

原因:高気密高断熱への誤解や設計ミス

高気密高断熱住宅は、あくまで「熱を逃がさない構造」であり、「自ら熱を生み出したり、冷やしたりする機能」はありません。
冬に寒い原因の多くは、採光設計の失敗です。窓の位置や大きさが適切に設計されていないと、太陽の光を室内に取り込めず家が暖まりません。

また、C値(気密)が悪い施工だと、壁の内部や足元から冷たい隙間風が入り込み、室内の上下で温度差(コールドドラフト現象)が発生します。

夏の暑さの原因は、断熱性能高い家は熱を外に逃がしにくく、夏の強烈な直射日光を遮るひさしなど遮蔽設備がないと、家全体が巨大な温室となり、エアコンを運転しても冷えない「熱がこもる家」になってしまうのです。

対策

・採光と日射遮蔽の適切なバランス

・トータルな空調設計

・間取りの工夫

③    コスト要因

断熱・気密を高性能にしたのに、電気代が以前とさほど変わらない。初期費用のアップ分に比べ光熱費の低減金額が低いという不満もよく目にします。

原因 過大な期待・短期視点と不十分な設備

高気密・高断熱だけで光熱費が劇的に下がるというわけではありません。光熱費を大幅にカットするコスト低減効果は太陽光発電とセットで導入した場合に最も発揮されるのでコスト低減を主眼に考えるのであれば、太陽光発電の導入もセットで考えてください。さらに断熱性能の低い窓ガラスを選んだり、効率の悪い古いエアコンをそのまま移設して使ったりすると、熱のロスが大きく、光熱費削減効果が十分に発揮できません。

また初期費用の増加分は、長期的な視点に立って何年で回収という発想で比較しないと後悔につながります。

対策

・太陽光発電の導入

・高性能サッシ

・空調設備の最適

一方で満足度が高いケースも多い理由

一方、高気密高断熱住宅の満足度が高いのも事実。では、満足度のポイントはどこにあるのでしょうか。

①    冬の快適性・家全体の温度差が少ない

満足度が高い最大の理由は、家の中の「温度のバリアフリー」が実現することです。従来の住宅では、暖房の効いたリビングは20℃あっても、廊下やトイレ、脱衣所は10℃以下という温度差が当たり前でした。高気密高断熱住宅では、リビングのエアコンだけでも、家全体の温度を18~22℃前後と一定に保つことができます。冬の朝に布団から出るときも、不快な寒さを感じることがなくなります。

②    経済性、光熱費を低減

一般的な省エネ基準の住宅と、高性能なZEH基準以上の住宅を比較した場合、冷暖房にかかる電気代は年間で数万円~十数万円の差が出ます。一度暖めたり冷やしたりした空気が逃げないため、エアコンの運転効率が高まり、冷暖房の効きが良くなり経済運転が可能になります。

③    健康面メリット

近畿大学建築学部の研究グループが、断熱性の高い住宅へ引っ越した人を対象に行った調査では、引っ越し前に悩まされていた「気管支喘息」「アトピー性皮膚炎」「手足の冷え」「アレルギー性鼻炎」などの諸症状が、住宅の断熱グレードが上がるにつれて明確に改善したという調査結果を発表しています。

また、冬場の入浴時に急激な温度差によって血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」のリスクも低減します。

④    建物の劣化防止(結露の抑制)

高気密高断熱住宅は、家自体の寿命も延ばします。

従来の家でよく見られた「冬場、窓ガラスにつく結露」は、室内の暖かい湿った空気が、冷たい窓に触れることで発生します。窓だけでなく壁の中が結露すると、柱や土台の木材が腐り、カビやダニが発生し、それらを好むシロアリの被害に遭いやすくなります。

正しい気密施工と高断熱化によって結露の発生を根本から抑え込むことで、構造体の健康が維持され、30年、50年と長持ちする資産価値の高い家になります。

「高気密高断熱住宅」で後悔しないためのポイントとは

高気密高断熱住宅で後悔しないために大切なポイントは以下の5つです。

①    数値だけで判断しない

UA値やC値は重要ですが、表面的な数値だけ高くても、設計全体とのバランスが悪ければ快適にはなりません。C値の実測値や温熱シミュレーション、家全体の空調計画書などで高気密高断熱性能と空調プラン、全体設計のトータルなバランスを確認することが大切です。

②    「快適に暮らせる設計」の確認

高断熱住宅ほど日射設計の影響が大きくなります。暮らしの快適さを保つために冬に家の中を温めるための採光や夏の強い日差しをカットする日射遮蔽の対策とそれに伴う窓配置、空気循環計画を疎かにしないでください。特に南面窓の取り方と軒・庇設計は重要です。

③    光熱費シミュレーションを見る

家のコストは初期の建築費用だけでなく、35年など長期視点で考えることが大切です。例えば建築費が150万円高くても、年間光熱費が7万円セーブできれば35年で245万円の低減効果があり、長いスパンで考えると経済的メリットがあります。さらに高気密高断熱と太陽光発電をセットで導入することで光熱費削減効果は最大化でき、住宅ローン返済と光熱費削減をトータルで計算すると家計に大きなプラスを生むことも可能です。高気密高断熱を検討する場合は施工会社に光熱費シミュレーションを確認することが大切です。

・イシンホームは高気密高断熱と太陽光発電をセットで提案

イシンホームでは太陽光発電を家づくりの標準仕様として高気密高断熱性能とセットで提案しています。ご希望に合わせて、実際の設計プランをベースにしたローン金額と光熱費低減を試算したシミュレーションをお出しします。暮らしの快適さはもちろん、光熱費を大幅に低減し、インフレに強く家計にやさしい家づくりのメリットをリアルな数字でご確認ください。

④   メンテナンス計画を準備する

高気密高断熱住宅は一般の住宅同様に定期的な維持管理が必要です。高い住宅性能をキープするために以下のポイントを確認してメンテナンス計画を事前に用意しておいてください。

・換気フィルター交換頻度

・加湿設備の清掃

・ダクト点検性

・全館空調などの定期点検整備

⑤    必要な性能を事前に検討する

それぞれのライフスタイルに合わせて最適な空調計画や断熱の費用対効果は変わります。地域気候や家族構成、在宅時間、予算など暮らしのニーズを踏まえて、必要な高気密高断熱性能のバランスを設計するよう施工会社に要望しましょう。

FAQ:高気密高断熱に関するよくある疑問

Q. 高気密高断熱は本当に必要?

A. トータルに考えて現状でも必要ですし、将来的には家づくりの標準設計になると予想されます。一定以上の断熱・気密性能を持たせないことは、将来的に「資産価値の低い家」と評価されることになります。

また、地球温暖化による夏の酷暑や、冬のヒートショックリスクから家族の命と健康を守るためにも、今後は必須の住宅品質となっていきます。

Q. 断熱等級5と6の差はどのくらい?

A. 体感温度の快適性と、冷暖房費の削減効果において、以下のような差があります。また2027年度からはZEH基準が引き上げられます。標準的な住宅に比べた場合の省エネ率が従来の20%から35%に改定され、断熱等級が5から6に引き上げられます。費用を検討して可能であれば断熱等級は6にするのがおすすめです。

等級5

現在のZEH基準です。従来の家よりは暖かいですが、冬場にエアコンを消すと明け方には室温が10℃近くまで下がることがあり、部屋ごとの温度差も若干残ります。

等級6

高性能住宅の「理想的な標準」と言われるレベルです。冬場に暖房を止めても、翌朝の室温が15℃を下回ることがほとんどなくなります。また部屋間の温度差がほぼ解消され、光熱費も等級5に比べてさらに2~3割削減できるとされています。

Q. 施工会社選びのポイントは?

A. 「過去の実績(数値)」を隠さず開示し、「現場の施工力」が高い会社を選んでください。高気密高断熱住宅の品質や仕上がりは、現場の大工仕事や職人の丁寧さで決まります。以下の3つの条件を満たす会社は信頼性が高いと言えます。

1      C値(気密)を実測値や平均値など具体的な数字で回答してくれる。温熱シミュレーションを提示してくれる。

2      構造見学会を開催している。完成後には見えなくなる、壁の中の断熱材の施工や気密シートの処理を見せられる会社は、施工レベルが高い。

3      デメリットやリスク(冬の乾燥や夏の遮蔽の必要性)を最初から説明してくれる。

まとめ

住宅性能の進化に合わせて家づくりのスタンダードになってきた高気密高断熱住宅ですが、数字だけにとらわれていると期待通りの住み心地が得られない結果につながりかねません。より高度な住宅性能を実現するためには、やはりトータルな設計バランスを考慮した確かな家づくりのノウハウが何よりも大切です。イシンホームではZEH基準の住宅を中心に高気密高断熱住宅を数多く手掛けてきた経験をもとに、住む人が本当に満足できる家づくりをご提案。時代のニーズに応える快適な住宅性能を実現します。もし高気密高断熱の家づくりで疑問や不安がある場合は、お気軽にイシンホームにお問い合わせください。

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本社(総合戦略本部)

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