人気の長期優良住宅。その理由と、選択ミスを防ぐ判断基準とは

新しくマイホームを建てようとする際に、長期優良住宅の認定を初めて知る方は少なくありません。そこで情報収集のためにネット検索をすると、住宅ローンの金利優遇や減税などの経済的なメリットが大きいという声の一方、後悔したという口コミも見られるため、どちらを信じればよいのか迷う方も少なくありません。ただ、長期優良住宅は年々増えており、新築一戸建てに占める認定の割合は2024年度で約4割(39.3%)。これからの家づくりでは、当たり前の選択肢になりつつあります。

そこで今回は、新たに注文住宅を建てる方のために、長期優良住宅を選ぶケースでよくある失敗を4つのパターンに分類し、その原因と対策を分かりやすくご紹介。さらに、長期優良住宅が向く方と向かないタイプや選択の際の判断基準など、役立つ情報を取り上げて、長期優良住宅を検討する際に使えるリアルな情報をクローズアップしていきます。

満足派と不満派に二分される長期優良住宅のリアル

長期優良住宅は、国が様々な優遇策を提供し推進していることもあり2024年度の新築一戸建ての実に約4割(39.3%)を占めるまでに普及してきました。しかし一方で長期優良住宅を実際に建てた方の声を集めると、後悔する人と満足する人がはっきり分かれる傾向があります。その理由は、「住宅ローンの借入額・建てたい性能・暮らし方との相性」など、オーナーの事情によりメリットや負担が大きく変わってしまうため。長く住む意思が強い人や性能重視の人には向いていますが、コスト重視の人や短期間での住み替えを考える人には不向きです。長期優良住宅を選択する場合には、こうした相性を踏まえ、自分のライフプランや価値観に照らして慎重に検討し、納得したうえで判断することが失敗を防ぐ鍵となります。

不満を感じた方の代表的な理由

それでは、長期優良住宅にして失敗したと感じる理由はどんなものがあるのでしょうか。

・申請にかかる費用と手間・時間が負担で煩わしい

→申請費用は約20~30万円。申請〜認定まで1~3ヶ月程度かかり工期も伸びる

・認定基準を満たすために建築費が上がった

→断熱強化・耐震強化・設計費など約100万~150万円程度建築費がアップする

・税制・金利の優遇を思ったほど活かせなかった

→所得や住宅ローンの借り入れが少ない場合は、住宅ローン控除が使いきれない場合がある

・入居後の定期点検・記録保存などの維持保全義務が負担

→点検修理の記録保存・計画遵守などが負担で費用も点検1回で5~7万円程度必要になる

・取得後に「思ったより恩恵が小さかった」と感じた

→150万円前後の建築費用アップと比べて経済的なメリットが少ない場合、時間と手間の負担に見合わないと感じる

長期優良住宅で後悔する人は4タイプ

長期優良住宅で後悔する人には、いくつか共通した傾向があり、大きく以下の4つのタイプに分けられます。

 タイプ①「予算オーバー型」

長期優良住宅は一般住宅より数十万〜100万円以上の追加負担が出るため、限られた予算でコスト重視の人ほど後悔しやすくなります。ただし、施工会社により標準仕様からの追加費用が異なり、事前の確認により防ぐことも可能です。

<当てはまりやすい方>

☑︎ 予算に限りがあり初期費用はできるだけ抑えたい

☑︎ 依頼する施工会社の標準仕様では追加費用が多い

タイプ②「経済メリット減少型」

住宅ローン金利や住宅ローン減税などの優遇を十分に活かせないケースです。特に借入額が少ない人や所得が低めの人は控除を使い切れず、期待していたほどの金銭的メリットを感じにくくなります。返済金額の差や住宅ローン控除など経済メリットを事前にしっかりシミュレーションしておけば解消できる不満です。

<当てはまりやすい方>

☑︎ 住宅ローンの借入額が少ない、または期間が短い

☑︎ 税控除をフル活用できるほど所得が高くない

タイプ③「メンテ負担型」

長期優良住宅は定期点検や修繕計画の実施、記録保存が前提となるため、「管理される感じが面倒」「忙しくて対応できない」といった負担感が出やすいのが特徴です。実際に得られる経済的メリットと維持管理にかかる手間を比較し、納得できるかどうかを検討してみてください。

<当てはまりやすい方>

☑︎ 定期点検や記録管理を自分で行う自信がない

☑︎ 将来的に住み替えの可能性がある

タイプ④「品質メリット低下型」

2025年から省エネ基準への適合が義務化されたことで、以前と比べて長期優良住宅の性能面での優位性を実感しにくくなっています。住宅性能を評価して長期優良住宅を選んでいた方は、品質メリットが感じにくくなっているため、総合的に判断する必要があります。

<当てはまりやすい方>

☑︎ 標準的な住宅性能以上のクオリティは不要

☑︎ 間取りやデザインを優先したい

長期優良住宅の経済メリットのリアルシミュレーション

・フラット35の金利優遇

長期優良住宅は【フラット35】の金利が一定期間適用される【フラット35】Sと、維持管理などに配慮した住宅に適用される【フラット35】維持保全型が併用でき、当初5年間の金利が0.75%引下げられます。さらにフラット35子育てプラス※を併用すると、当初5年間の金利が1.0%引き下げられます。

※若年夫婦世帯または子ども1人のご家族の場合

実際の支払いシミュレーション

条件:借入額4500/3500万円(融資率9割以下)、35年返済、元利均等返済、ボーナス返済なし、2026年6月の最多固定金利3.21%で試算

【借入金額3,500万円のシミュレーション】

区分当初金利(5年間)6年目以降当初月返済6年目以降月返済
通常フラット353.21%3.21%138,800円138,800円
▲0.75%優遇2.46%3.21%124,400円137,000円
▲1.0%優遇2.21%3.21%119,700円136,400円

【借入金額4,500万円のシミュレーション】

区分当初金利(5年間)6年目以降当初月返済6年目以降月返済
通常フラット353.21%3.21%178,500円178,500円
▲0.75%優遇2.46%3.21%159,900円176,200円
▲1.0%優遇2.21%3.21%154,000円175,300円

金利優遇期間の差額合計は

0.75%優遇の場合:3,500万円で約87万円/4,500万円で約110万円

1.0%優遇の場合は3,500万円で約115万円/4,500万円で約145万円

・住宅ローン減税で最大455万円※を控除

住宅ローンで新築住宅を建てた場合に、年末ローン残高の0.7%が13年間、所得税と住民税から控除されます。

※19歳未満の子を有する世帯または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯の場合。一般世帯の最大控除額は409万5000円

・登録免許税の税率引き下げ

保存登記の税率0.15%が0.1%に

移転登記の税率0.3%が0.2%に

※2027年3月31日までに登録した場合

・不動産取得税の控除金額増額

控除額が1,200万円から1,300万円にアップ

※2031年3月31日までに取得した場合

・固定資産税の1/2減額期間の延長

3年間から5年間に延長

※2031年3月31日までに新築した場合

・贈与税の非課税措置

親や祖父母から住宅資金の贈与を受ける場合、長期優良住宅などの「省エネ等住宅」は通常の最大500万円の非課税額の2倍である最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。年間110万円の基礎控除と併用することで、最大1,110万円まで非課税で資金援助を受けられます。

・地震保険の割引

長期優良住宅は耐震性の評価により地震保険料が最大約50%割引(耐震等級3、免震建築物割引など)になるメリットもあります。目安として、一般住宅より年間1〜2万円程度安くなり、30年間では約30万〜60万円の差となりますから、保険料の負担を大きく軽減できます。

長期優良住宅取得の決め手は「経済メリットを最大限活用できるか」

長期優良住宅を建てて後悔する最大の原因はせっかくの経済メリットを十分に活かせなかったというものです。そこで経済メリットを使い切れるかどうかのガイドラインをピックアップしました。

・住宅ローン減税の恩恵が感じられる年収は

一般の住宅ローン減税に比べ長期優良住宅は減税枠が拡大されており、減税メリットが大きくなります。ただし年収によっては控除できる税額の上限により長期優良住宅の控除枠を使いきれず、減税メリットがないケースが発生します。下記の表で減税メリットの目安をチェックして検討する際の参考にしてください。

配偶者+子ども2人の4人家族の場合

   借入上限 年間最大控除
一般住宅3,000万円21万円
長期優良住宅5,000万円35万円

年収別住宅ローン減税のメリット(一般住宅と長期優良住宅の比較)の目安

年収控除上限一般住宅長期優良年間メリット13年累計
500万円約20万円20万円20万円0円0円
600万円約26万円21万円26万円約5万円約60〜70万
700万円約32万円21万円32万円約11万円約120〜140万
800万円約36万円21万円35万円約14万円約180万
900万円約42万円21万円35万円約14万円約180万
1000万円約50万円21万円35万円約14万円約180万

※あくまでも概算による目安です。

・借入金額や期間にも要注意

住宅ローン減税は住宅取得から13年間、住宅ローンの借入額(残高)の0.7%を年間の税額から控除できる制度です。長期優良住宅は、対象となる住宅ローンの借入限度額が5,000万円※まで増額されており、住宅ローンの借入金額が多いほどメリットがありますが、借入が3,000万円以下の場合は通常の住宅ローン減税と同条件になり優遇メリットがなくなります。また、返済期間が10年など13年より短い場合は控除枠を使いきれません。長期優良住宅の経済メリットを期待する場合は、借入金額や返済期間も考慮した上で検討してください。

※借入限度額5,000万円は、19歳未満の扶養親族を有する世帯または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯に適用される上乗せ後の金額です。その他の世帯の限度額は4,500万円です。

施工会社選びもポイント

施工会社の中には、イシンホームのように高い耐震性能や断熱性能を標準仕様にしているケースもあり、長期優良住宅に対応するための「追加費用」が少なくて済む会社もあります。ただし標準性能が高い会社は最初の見積もりが高く出やすくなります。施工会社を選ぶ際には、以下の質問事項を確認して条件を揃えて費用を比較してください。

1.     標準仕様のままで、長期優良住宅の認定基準をすべてクリアしているか?

2.     長期優良住宅の申請代行費用と、審査手数料の総額はいくらか?

3.     引き渡し後、30年間の定期点検のプランと、その点検費用(有償・無償)は?

長期優良住宅が不向きな人とは

あえて長期優良住宅にしない選択が正解な人もいます。以下のチェックリストに該当する場合は要再検討です。

☑︎ 年収が500万円前後である

→住宅ローン減税の控除上限の関係で、長期優良住宅にしても一般住宅との差額メリットが小さい場合がある

☑︎ 住宅ローンの借入が3,000万円以下

→一般住宅の住宅ローン減税で同じ控除が受けられる

☑︎ スケジュールの都合で完成を急ぎたい

→申請〜認定まで1~3ヶ月程度の時間が必要

☑︎ 保守管理の手間が負担

→認定条件に定期点検・記録保存などの維持保全義務があり避けられない

☑︎ 標準的な住宅性能で十分だ

→2025年度の省エネ性能適合の義務化で性能差が少なくなっている

FAQ

Q. 長期優良住宅とZEH住宅の違いは?

A. 長期優良住宅は、高い耐震性や耐久性、メンテナンスのしやすさなど、建物を「長持ちさせること」全般を重視しています。一方、ZEH(ゼッチ)住宅は、高い断熱性と太陽光発電などにより、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする「省エネ・創エネ」に特化した住宅です。なお、現在の長期優良住宅の基準にはZEHレベルの省エネ性能も義務化されています。

Q. リフォームができないって聞いたけど?

A. リフォームによって「耐震性」や「省エネ性」など国が定めた認定基準を下回ってしまうような間取り変更は認められません。また、リフォーム工事を行う際は、事前に自治体へ変更届などを提出する手続きが必要となるため手間がかかります。ただし、長期優良住宅は、将来の点検や配管交換がしやすい構造で設計されているためリフォーム工事自体はしやすい家と言えます。

Q. 建てた後からでも長期優良住宅の申請はできる?

A. 家を建てた(着工した)後から申請して認定を受けることはできません。長期優良住宅の認定を受けるには、必ず着工前に登録住宅性能評価機関などで確認を受けたうえで自治体へ申請する必要があります

まとめ

長期優良住宅は所得や住宅ローンの金額など世帯ごとの条件によってメリットが異なり、場合によっては取得しない選択が合理的なこともあります。ですから各家庭の条件をしっかりと検討した上で選ぶことが大切です。まず取得するべきかどうか経済的なメリットはどのくらいになるかなど、長期優良住宅の質問や実例を知りたいと思ったら、お気軽にイシンホームにご相談ください。豊富な経験をもとに、お客様のライフスタイルや条件に合わせたシミュレーションで、納得いくまで疑問を解消。長期優良住宅の申請手続きから実際の家づくりやメンテナンスまできめ細かくお手伝いします。


 

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イシンホーム住宅研究会は家造りを天職とする日本全国約180店が参加する真面目な家づくり研究ネットワークです。常に未来を先取りする研究・開発型の企業です。蓄積したノウハウや研究実績を自社のためだけでなく、全国に提供し、喜ばれています。イシンホーム住宅研究会本部は商品開発チームを結成し独自で開発した販売・設計・施工のノウハウを加盟店に提供するとともに、優れた資材を一括購入することで購入にかかるコストを飛躍的に落とし、高品質・高性能な家をお客様に提供できる仕組みになっています。

本社(総合戦略本部)

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