
注文住宅の間取りを検討する際「わが家に最適な延床面積はどのくらいなのか」と悩む方が多くいらっしゃいます。カタログや展示場で一般的な30坪前後の広さに対し、「もう少し広さがあった方がいいのではないか」ということで35坪を考えようとしても、その広さの差をどう活用するかが明確になっていないと、いろいろ迷ったあげく広さを持て余す結果につながりかねません。
そんな30坪を超えるちょっと広めの家づくりで大切なのは、単純な広さの比較ではなく「5坪増やすことで何が得られるのか」という視点です。そこで今回は、30坪との差分10畳の使い方から、家族構成ごとの活用例、平屋と2階建ての違いなど、35坪の家づくりに役立つ情報を整理してお届けします。自分たちにとって本当に必要な広さをしっかりと判断するための材料として、実際の家づくりにご活用ください。
目次
35坪の広さ、そのリアルとは
まずは35坪がどのくらいの広さなのかを実感として確認しておきましょう。
・35坪の基本。広さは畳何枚分
日本の住宅設計では、1坪は約3.305㎡として計算されます。つまり、延床面積35坪を平米換算すると約115.7㎡となります。これを畳の枚数(畳数)に換算する場合は、1坪=2畳として計算するのが標準的であるため、35坪の家は約70畳の総床面積になります。この広さを30坪(約99.2㎡)と比較すると平米換算で約16.5㎡、畳にすると約10畳分広くなります。
10畳という広さは、6畳程度の個室を1部屋つくり、残りの空間を収納にしたり、LDKを16畳から26畳近くまで広げることができる広さです。

・35坪にフィットする家族構成は
4人家族の場合、35坪は比較的ゆとりを感じやすい広さです。夫婦の寝室に加えて子ども部屋を2部屋確保し、LDKや収納にも一定の面積を配分しやすくなります。
一方、子ども3人の5人家族になると、将来的に子ども部屋が3室必要になるケースが多くなります。そうなると、主寝室と合わせて4つの個室を確保することとなり「それぞれの部屋をコンパクトにまとめつつ、LDKや共有スペースとのバランスを工夫して35坪にまとめる」というイメージになります。部屋数を最優先にすると、他の空間に少し余裕がなくなりがちとなり、設計の工夫が求められます。
このように35坪の家はそこに住む人数と、確保したい個室の数によって体感がまったく変わります。4人家族であれば空間の選択肢が広いため広く感じやすく、5人家族で全員にゆったりとした個室を確保しようとすると、狭く感じやすくなります。35坪という広さは、使い方によって印象が決まる面積と言えるかもしれません。
【35坪4LDK2階建ての標準的な間取り例】
| 空間 | 配分畳数の目安(約70畳の場合) |
| LDK | 18畳 |
| 主寝室 | 8畳 |
| 子ども部屋 | 5.5畳×2 |
| 洋室(子ども部屋C、書斎、客間など) | 4.5畳 |
| 玄関・ホール | 3畳 |
| 洗面室・脱衣所 | 3畳 |
| 浴室 | 2畳 |
| トイレ(1階・2階各1箇所) | 2畳 |
| 階段スペース | 3.5畳 |
| 廊下・通路 | 5畳 |
| 収納 | 10畳 |
家の個性を決める差分「10畳」の使い方
「30坪の家にするか、35坪の家にするか」という多くの方の悩みは、言い換えれば「追加する5坪・約10畳分のスペースを何のために使い、どこに配置するか」がはっきりせず、決めかねていることが原因です。この差分10畳の使い道は、大きく分けると以下の4つの方向に整理できます。以下を参考に自己診断してみてください。
10畳の使い方 4つの方向性
| 配分の方向 | 具体例 | 向く家族 |
| A:部屋数を増やす | 4LDK→5LDK、書斎追加 | 子ども3人、在宅勤務など |
| B:LDKを広げる | 16畳→20畳台 | 家族が集まる時間が長い |
| C:収納・家事室を足す | ファミクロ、ランドリー、パントリー | 共働き世帯 |
| D:こだわりやゆとりに使う | 吹き抜け、広い玄関 | 開放感重視 |
A:部屋数を増やす

具体的な活用例:間取りを4LDKから5LDKへ拡張する、独立した書斎・テレワークスペースを設ける、親族や友人が泊まれる客間(和室など)を追加することができます。
向いている家族の特徴:子どもが3人いる、在宅勤務の頻度が高く集中できる個室が欲しい、遠方の親が頻繁に来訪して宿泊するなど、ライフスタイルの幅が広がります。
B:LDKを広げる

具体的な活用例:リビング・ダイニング・キッチン全体の広さを16畳から20畳台へ広げる、開放的で機能的なアイランドキッチンを採用することで、暮らしに余裕が生まれます。
向いている家族の特徴:個室にこもるよりも家族全員がリビングで一緒に過ごす時間が長い、友人や親戚を集めてホームパーティーを開くことが多い家庭。
C:収納・家事室を足す

具体的な活用例:ファミリークローゼットやランドリールーム、パントリーなどを設けることで、家事をスムーズにすることができ、配置を工夫することで生活動線の効率化が図れます。
向いている家族の特徴:夫婦共働きで日中の家事時間を極力減らしたい、居住空間にモノを出さずにすっきりと片づいた状態を維持したい場合に有効です。
D:こだわりやゆとりに使う

具体的な活用例:玄関ホールを広くしてベビーカーや三輪車を置ける土間収納をつくる、廊下の幅を広げて開放感を持たせる、リビングとつながるウッドデッキを設置する、大きな吹き抜けをつくって視覚的な開放感を高めるなどが可能です。
向いている家族の特徴:実用的な部屋数よりも住まい全体のデザイン性や開放感を重視したい、暮らしやすくゆとりある住まいにしたい場合に向いています。
家族構成によるスペース配分を考える
前項で挙げた配分の方向性を踏まえ、実際の家族構成やライフスタイルに合わせた具体的な「10畳の使い方」のパターンを4つ紹介します。
・4人家族・子ども2人の場合
4人家族において35坪の広さを活かす場合、個室の数を増やす必要がないため、ゆとりあるLDK面積と家事負担を軽減する収納をバランスよく両立させるパターンが有力な選択肢となります。
間取りの例:1階のLDKを22畳とゆとりある広さにし、玄関の土間収納やニッチ、キッチン横に1.5畳のパントリーなど収納を充実する。2階にはウォークインクローゼット(WIC)付きの主寝室(8畳)と、将来仕切ることができる子ども部屋(11畳を5.5畳×2室に分割可能)を設計します。

・5人家族・子ども3人の場合
子どもが3人いる家庭では、将来的に全員分のプライベート空間を確保することが最大の課題となります。差分10畳の多くを「個室の増設」に充てるパターンです。
間取りの例:1階のLDKは16畳と標準的な広さに留め、7畳程度の主寝室を設けておきます。2階には、子ども部屋として独立した5畳の個室を3室配置します。子ども部屋の工夫として、将来子どもが独立した後に部屋を繋げて広く使えるよう、間仕切り壁の構造やドアの配置をあらかじめ用意しておくといいでしょう。

・共働き世帯の場合
夫婦ともに仕事を持ち、平日の家事時間をいかに短縮(タイムパフォーマンスを向上)できるかを最優先にするライフスタイルです。
間取りの例:一般的な30坪の住宅ではスペースの制約から洗面室と脱衣室、洗濯機置き場が一体になっていることが多いですが、35坪ではこれらを完全に分離します。キッチンの裏手に3畳のウォークインパントリーを設け、さらに脱衣室・ランドリールーム・ファミリークローゼットを一直線の動線で繋ぎます。これにより「洗う・干す・畳む・しまう」が数歩の移動で完結する仕組みをつくります。

・在宅勤務ありの場合
自宅で仕事をする機会が多く、かつ家族が集まる空間の快適性も妥協したくないという、オンとオフの切り替えを重視したパターンです。
間取りの例:1階のLDKを20畳以上の大空間として広々と確保します。そのリビングの一角、または階段下のスペースなどを活用して、完全に独立した2.5〜3畳の書斎(ワークスペース)を構築します。書斎には防音性を高めた壁やドアを設置し、Web会議や集中したい作業に対応できるようにします。残りのスペースで2階に必要最低限の個室(主寝室+子ども部屋)を配置する構成です。

同じ35坪でも平屋と2階建ては別物
間取りを検討するうえで見落としてはならないのが、同じ「延床面積35坪」であっても、それを2階建てにするか平屋にするかによって、住まいの性質や必要となる条件が根本から異なるという事実です。
・必要となる土地面積の違い
総二階住宅の場合、1階と2階に面積を分散するため比較的小さな敷地でも建築しやすくなります。一方で部分二階は外形が複雑になりやすく、敷地条件によって計画の自由度が変化します。
一方、すべての空間をワンフロアに配置する平屋の場合、建築面積は延床面積と同じ「35坪」になります。また基礎の大きさや屋根の面積が2階建ての約2倍になるため、平屋で35坪の家を建てるには、2階建てよりもはるかに広い土地が必要になります。
建ぺい率60%の地域なら、総二階の35坪は約30坪の土地でも建てられますが、平屋の35坪には約58坪以上の土地が必要です。建ぺい率50%の地域では、それぞれ35坪・70坪が必要になります。実際には駐車場や庭のスペースも加わるため、さらに広い土地を見込んでおく必要があります。
・平屋35坪なら屋根の広さを活用できる
35坪の平屋住宅は、2階建てに比べて屋根の総面積が格段に広くなるため、屋根の上に搭載できる太陽光パネルの容量を大幅に増やしやすいというメリットが生まれます。大容量の太陽光発電システムに蓄電池をセットで導入すれば、暮らしに使う電力を全てカバーして、発電量や電気の使い方によっては、日中の電力の多くを太陽光でまかない、余った電気を売電できる場合もあります(発電量や削減額は、地域・設置条件・シミュレーション条件によって異なります)。余剰分の売電も可能になります。平屋の広い屋根スペースは、光熱費の削減や売電収入の確保において非常に有利な条件となり得ます。
気になる35坪の建築コストは?
家づくりの検討では、35坪にするといくら費用が増えるのかも気になるところです。ただし、住宅の費用は単純に「坪単価×35坪」では計算できません。
・単純な坪単価で計算しにくい理由とは
理由の一つは、設備費用の割合です。キッチンやユニットバス、トイレなどの費用は面積に比例して増えるわけではありません。30坪の家であっても35坪の家であっても、設備機器の必要数は同じです。面積が5坪増えたからといってキッチンが2倍の価格になるわけではないため、坪単価は割安になる傾向があります。
一方、建物形状によって必要な外壁面積や屋根面積も変わります。同じ35坪でも、凹凸の多い複雑な形状にすれば外壁面積が増えてコストは上がりますが、シンプルな四角い形状(総二階など)で面積を広げる分には、面積あたりのコスト上昇は比較的緩やかになります。
さらに、坪単価の定義は住宅会社ごとに異なります。本体工事のみを指す場合もあれば、一部付帯工事を含む場合もあります。したがって、30坪から35坪になったからといって単純に5坪分だけ増額すると考えるのは適切ではありません。実際の建築費は仕様や設備、地域条件などによって大きな幅があります。
条件によっては35坪が向かないケースも
35坪の家は確かにいろいろな可能性を広げてくれますが、メリットだけでなく35坪という広さが合わないケースもあります。そのため、35坪の家が暮らしにフィットしない可能性も想定し、あらかじめ検討しておく必要があります。
・35坪でも足りないケース
家族構成やライフスタイルで一般よりも多くの個室が必要な場合は、35坪という面積でも空間が不足することがあります。
例えば、夫婦ともに在宅勤務でそれぞれに独立した書斎が1室ずつ(計2室)必要であり、かつ子どもが3人いて将来それぞれに個室を与えたい(計3室)という場合です。これに夫婦の主寝室(1室)を加えると、合計6つの個室が必要になります。35坪(約70畳)の空間で6室を確保しようとすると、1室あたりの広さが3〜4畳と非常に狭くなるか、あるいは家族全員が集まるLDKが12〜14畳程度まで圧迫されてしまい、住まい全体の快適性が損なわれる結果につながります。
・35坪では広すぎるケース
家族の人数に対して部屋数が多すぎたり、将来の見通しが不足していたりすると、広さがデメリットに変わることもあります。
例えば、現在は夫婦2人と子ども1人の3人家族であるにもかかわらず、「家族が増えても困らないように」という理由だけで35坪5LDKのような個室の多い家を建てた場合です。将来子どもが成長して進学や就職で家を離れた後、2階の個室が何年も使われないデッドスペースになり、もてあましてしまうことがあります。部屋数が多すぎると、日々の掃除の手間が増えるだけでなく、使っていない部屋の分の冷暖房効率が落ちて光熱費が無駄になったり、床面積が増えるぶん建物の評価額も上がり、固定資産税の負担が毎年続くことも考えておく必要があります。建築時に余分にかかった固定資産税の負担が将来にわたってかかったりするデメリットがあることを忘れないでください。
・将来変化を見据えた間取りの柔軟性も必要
こうした35坪の家へのミスマッチを防ぐために重要なのが、子どもの独立や家族構成の変化を前提とした「空間の可変性」です。子どもが小さいうちや独立した後は広い1つの空間として使い、子どもが個室を必要とする期間(小学校高学年ごろから、進学や就職で家を出るまで)だけ家具や可変パーティション、将来撤去可能な軽い間仕切り壁で区切る、といった工夫を設計段階から組み込んでおくことで、35坪という広さを生涯にわたって無駄なく活用することが可能になります。
イシンホームの実例:35坪の家づくり
イシンホームでは、大容量の太陽光発電システムや高性能な防災・自給自足設備を標準的に組み込んだ商品シリーズ「ZEGA-MIRAI(ゼガ・ミライ)」を展開しています。この商品シリーズでは、建物の面積を35坪へと適正化し、空間の無駄を徹底的に省いた効率的で暮らしやすい間取りにすることで、建物本体の建築コストや将来のメンテナンス費用を抑えています。同時に、広くなった屋根スペースなどを活用して標準搭載された太陽光パネルによる創エネ(電気を創る技術)を最大限に活かし、毎月の電気代を大幅に削減し、売電による収益を得たりすることで、「住まいの広さ」と「月々の家計費の抑制」を両立させています。
【2階建て / PLAN 230-A ソーラー搭載量 12.00kW】

シンプルな白壁と木目調のアクセントが調和するスタイリッシュな2階建て

LDK21畳の大空間としWICを備えた主寝室、各居室もゆったりとした広さに。
https://ishinhome.co.jp/lineup/zega-mirai
FAQ
Q1:35坪で5LDKをつくる場合の注意点は?
一般的な30坪から35坪に面積を広げ4LDKから5LDKに部屋数を増やす際に、追加の10畳分を個室の数を増やすためだけに消費してしまい、住みにくさを感じる家にしてしまうことがあります。家族全員が日常的に使用するLDKや、毎日必ず通る玄関・廊下・水回りなどの共有スペースを圧迫されていないかを、よく確認して検討してください。単に部屋の数を増やすだけでなく、家族が集まる空間の「視覚的な抜け(動線や窓の配置)」にもバランスよく面積を配分することが、実際の体感的な広さを向上させる重要なポイントとなります。
Q2:35坪の家で「収納不足」を防ぐための目安はありますか?
A:一般的に住みやすいと感じられる収納面積の目安は、延床面積全体の「10%〜15%程度」とされています。これを35坪(約70畳)の家に当てはめると、住まい全体の中で約7畳〜10畳分程度を純粋な収納スペースに充てる計算になります。30坪からの差分である10畳のうち、3〜4畳をファミリークローゼットや大型パントリーなどの「1箇所に集中させた機能的な収納」に配分するだけで、各居室にモノが溢れ出さない、すっきりとした暮らしを維持しやすくなります。
Q3:35坪と40坪ではどこが変わりますか?
A: 35坪から40坪へさらに5坪(約10畳)増えることで、間取りの配分に大きな余裕が生まれます。35坪では部屋数や収納、LDKの広さのどこかで選択や調整が必要になりがちですが、40坪になると一例として「各個室をすべて6畳以上にしながら、大型のファミリークローゼットと独立した書斎を同時に叶える」といった複数のこだわりを両立しやすくなります。家族5人以上の暮らしでもゆとりを感じられる広さです。
Q4:30坪から35坪へ広げる場合のコストを抑える工夫は?
A: 部屋数を増やして細かく空間を区切ると、それだけ壁の材料費や内部の建具(ドア)、照明、スイッチなどの部品や施工の手間が増えるため、コストが上がりやすくなります。逆に、部屋数は増やさずに「16畳のLDKを20畳へ拡張する」といった形で、1つの大きな空間の面積を広げる方が、施工の手間や材料のロスが少なく、面積あたりのコストパフォーマンス(費用対効果)が高くなる傾向があります。また、1階と2階の面積が同じ「総二階」の形状をベースに広げることも、基礎や屋根のコストを抑えるうえで効果的です。
まとめ
35坪の家が広いか狭いかは、家族構成や暮らし方によって変わります。ポイントは30坪との差分である約10畳のスペースをどう使うかです。その使い方が明確になれば、必要コストが本当に価値あるかどうかをしっかりと判断できるようになります。もし、35坪の具体的な間取りや最適な10畳の配分についてお悩みなら、お気軽にイシンホームまでお問い合わせください。豊富な経験と事例を踏まえた多彩な提案で、少しだけ広さに余裕が欲しいケースなど、さまざまな家づくりのお悩みにきめ細かなサポートでお応えします。

