
子どもが小さい今は、「子ども部屋を2つ確保できるか」に目が向きがちです。ただ、この家で過ごす時間は、子どもが巣立って夫婦2人になってからのほうが長くなります。子育て中の使いやすさと20年後の暮らしやすさは、今の間取りで両方とも考えておけるものです。この記事では、子ども部屋の使い方、家事動線、手すりや車いすへの備えの3つから、今決めておきたいことを整理します。60代・70代の暮らしも思い浮かべながら読んでみてください。
目次
1.老後の暮らしやすさを左右する3つのポイント

将来に備えるためには、今決めておくことと、必要になってから足せるものを分けて考えるのが近道です。
考えておきたい3つのポイント
子育て期と老後の両方に無理のない平屋にするには、次の3つを確認しましょう。
- 子ども部屋の将来の使い方:独立後、誰が何をする部屋に変えるか。
- 体が動きにくくなったときの家事動線:荷物を持って、どこを何往復するのか。
- 手すり・スロープ・車いすへの備え:必要になったときに設置できるのか。
細かく決め切る必要はありません。「子ども部屋の一方は書斎に」といった方向性があれば、配置を判断しやすくなります。
「今決める」と「後で足す」を分ける
壁・床・配管・廊下幅は、後から変えると大きな工事になりやすい部分です。一方、手すりなどの設備は、下地や空間さえ確保しておけば後から選べます。
| 考える軸 | 今決めること | あとで足せる・変えられること |
|---|---|---|
| 子ども部屋の 使い方 | 将来の用途、出入口・窓・収納の位置、間仕切りの範囲 | 家具、可動収納、計画した位置への間仕切り |
| 家事動線 | 水回り・寝室・収納の配置、荷物を運ぶ経路 | 棚の高さ、収納用品、家電 |
| バリアフリーへの備え | 廊下・出入口の幅、段差、手すり下地、スロープの余地 | 手すり本体、スロープ、シャワーチェア |
2.子どもが巣立ったあと、部屋をどう使うか

子ども部屋は、必要な時期と独立後の使い方をセットで考えます。A・Bは部屋の分け方、Cは配置の考え方となり、組み合わせて検討することも可能です。
A:最初から2室とも個室にする
最初から個室があれば、それぞれが一人で過ごせる場所を確保できます。就寝時間が違っても互いに影響しにくく、兄弟姉妹の年齢差が小さい家庭に向いています。
ただし、2人とも独立すれば2室が空きます。用途が曖昧なままだと、物置になりやすいでしょう。
B:広い1室を、必要になったら仕切る
小さいうちは広い部屋を遊び場や共有の学習スペースとして使い、成長に合わせて分ける方法です。年齢差があり、個室を必要とする時期がずれる家庭に向くでしょう。独立後に仕切りを外せる設計なら、広い寝室や趣味室へ戻すことが可能です。
仕切り壁はプライバシーを確保しやすい一方、設置・撤去に工事が伴います。引き戸は使い方を変えやすく、可動収納は動かしやすい反面、どちらも音や光の漏れへの配慮が欠かせません。
また、分けた後の2室それぞれに、出入口、窓、照明、コンセント、空調を計画しておきましょう。
C:2室を廊下側にまとめて配置する
2室への出入りを廊下からできるようにすると、LDKで過ごす生活ゾーンと、勉強・睡眠ゾーンを分けやすくなります。 独立後は、客間・書斎・趣味室と
3パターンの比較表
| パターン | 子育て中 | 独立後の使い方 | 向いている家庭 | 先に決めておく点 |
| A:2室とも個室 | 一人の時間を確保しやすい | 書斎、客間、夫婦別の寝室 | 年齢差が近く、個室の時期が重なる | 各室の出入口・窓・収納 |
| B:広い1室を仕切る | 小さいうちは広く使える | 仕切りを外して寝室や趣味室へ | 個室の必要な時期がずれる | 2室分の出入口・窓・空調、撤去方法 |
| C:廊下側にまとめる | LDKと個室を分けやすい | 客間・書斎・趣味室へ | 来客や宿泊、在宅勤務が多い | 玄関からの経路、出入口・窓 |
3.20年後も快適な家事動線にする
今は苦にならない移動も、年齢を重ねると負担になるでしょう。毎日の洗濯や調理の流れを、将来も無理なく続けられるかという視点で見直してください。
見直すときの3つの条件
家事動線は、次の条件で確かめます。
- 歩く距離を短くする。
- 一連の作業を同じゾーンで完結させる。
- 重いものの移動を最小限にする。
図面上は短い経路でも、扉を何枚も開ける、家具をよける、といった動作が重なれば負担になります。距離だけでなく、往復回数も確認しましょう。
洗濯:洗う・干す・しまう

洗面脱衣室、物干し、衣類収納が離れていると、洗濯物を運ぶ往復が増えがちです。この3つを近い範囲にまとめれば、子育て中の時短にも、将来の負担軽減にもつながります。室内干しの場所も、作業の流れに合わせて配置しましょう。
調理:買い物から配膳まで

買い物の動線は、駐車場から確認するのがポイントです。駐車場から玄関、キッチンへ至る経路に段差や長い廊下があると、食品や飲料を運ぶ負担が増えます。 パントリーを玄関からキッチンへの経路に置けば、荷物を運ぶ距離を短くできるでしょう。重い米や飲料の置き場は、無理なく持ち上げられる高さが目安です。高い棚には軽いものを置きましょう。
寝室の位置がぶつかるとき
子どもが小さいうちは、夫婦の寝室を子ども部屋の近くに配置したくなります。一方、将来はトイレや浴室への移動も短くしたいところです。寝室を水回りと子ども部屋の中間に置けば、どちらにも行き来しやすくなるでしょう。
夜間に寝室からトイレへ向かう動線
寝室とトイレは、距離だけでなく曲がる回数も確認します。角が多いほど、暗い中では壁や家具にぶつかりやすくなるからです。経路に合わせて足元灯を置き、スイッチは寝転んだまま手が届く位置に計画しておきましょう。明るすぎる照明は、目が覚める原因にもなります。
老後も使いやすい平屋の動線(簡易図)

4.手すりや車いすに備えて下準備を
手すりや車いすが必要になる時期はわからなくても、今できる備えはあります。
手すりは下地があれば後付けできる
手すりを安全に取り付けるには、壁に十分な強度が必要です。下地(壁の内側に入れる補強板)がない壁では、後から壁の補強工事が必要になります。
廊下やトイレ、浴室、玄関の上がり框(あがりかまち)まわり、寝室からトイレまでの経路には、新築時に下地を入れておきましょう。取り付けるかどうかが未定の場所でも、下地だけなら先に入れておけます。
廊下と出入口の幅
バリアフリーへの配慮を評価する「高齢者等配慮対策等級」の等級4(介護用車いすの利用、介助者との移動を想定)では、廊下幅78cm以上(柱などがある部分は75cm以上) 、浴室以外の出入口幅75cm以上が目安とされています。必要な広さは車いすの種類や介助方法によって異なるため、余裕を持たせて計画しましょう。
出典:国土交通省「日本住宅性能表示基準・評価方法基準」9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分)
https://www.mlit.go.jp/pubcom/01/pubcom28/pubcom28_2_10.pdf
玄関の段差とスロープの余地

平屋であっても玄関まわりには段差が生じるため、上がり框の高さや、椅子・手すりの置き場を確認しましょう。スロープは後から設置できますが、必要な長さは高低差と勾配で決まります。アプローチに場所がなければ、設置できません。
引き戸にしておきたい場所
トイレ・浴室・寝室は、扉の前後にスペースがいらない引き戸が使いやすいです。車いすでの出入りや介助のときも動きやすくなります。戸を引き込む場所と、開けたときの通行幅も確認しましょう。
浴室の段差・幅・広さ
浴室は、出入口の段差や幅に加え、シャワーチェアを置いても動ける広さが必要です。用具は後から選べますが、広さや出入口の変更には工事が伴います。
5.家族4人分の収納は、いずれ余る

子どもの独立後を見据え、収納も使い方を変えられるようにしておきましょう。
家族4人基準で作ると起きること
子どもの衣類が家からなくなれば、4人分を想定したファミリークローゼットには使わないスペースが生まれることがあります。ランドリールームも、洗濯量が減れば物干しや作業場所の一部を使わなくなるでしょう。
可変の収納と固定の収納を分ける
可動棚なら、収納するものを衣類から季節用品や趣味の道具へ変えやすくなります。将来、扉を外して別の空間に取り込むなら、通路や見え方の変更も確認しておきましょう。
一方、造り付けの食器棚や下駄箱のように、位置も容量も動かさない収納もあります。置き場所が決まっているものは固定に、中身が入れ替わるものは可変にと配分を先に決めておけば、独立後に手を入れる範囲を小さくできるでしょう。
余った収納を何に振り替えるか
独立後は、季節物や趣味の道具の収納先にできます。将来の介助用品を置く場所として残す方法もあります。
6.25坪〜30坪で足りるかを考える
必要な部屋数と将来の使い方から、家族に合う広さを見ていきます。
坪数ごとの部屋数と余白の関係
子ども2人のいる平屋では、夫婦の寝室と子ども部屋2室が基本です。ここに収納や家事スペースをどう重ねるかで、必要な広さが変わります。
25坪では、LDKや収納、通路幅をどう配分するかがポイントです。子どもの独立後は1室を書斎や客間に転用でき、夫婦2人には十分な広さになります。
28坪ならランドリールームやファミリークローゼットを組み入れやすいでしょう。30坪では各室にゆとりを持たせられますが、家の中の移動距離が長くなる点も考えておきましょう。
広くすれば解決する話ではない
同じ坪数でも、部屋の配置や用途の変えやすさで使い勝手は変わります。子ども部屋を廊下側にまとめた25坪のほうが、両端に分けた30坪より使いやすいかもしれません。 広さを増やす前に、子どもの独立後も無駄なく使えるかを確認しましょう。
坪数が増えると維持費も増える
床面積が増えると、固定資産税や冷暖房費が増える要因になりがちです。ただし、実際の負担は建物の仕様や断熱性能、設備、使い方によって異なります。
7.今決めること、後でよいこと
後から変えにくい部分を優先し、今決めることを整理しましょう。
今決めなくてよいこと
将来使う手すり本体やスロープ本体、浴室用の福祉用具は、必要になったときの体の状態に合わせて選べます。先に確認するのは、取り付ける下地、通行できる幅、段差を解消するための空間です。
今決めないと困ること
優先して決めたいのは、水回りの位置、構造上必要な壁、配管経路、廊下幅、玄関の段差と間口です。「将来は寝室にする」と考えていても、トイレまで遠かったり、家具で通路が狭くなったりすれば、使いにくさが残ります。
平屋が向かないケース
同じ延床面積なら、平屋は2階建てに比べて建築面積が大きくなりがちです。土地の形や建ぺい率、駐車台数によっては、希望する部屋数と庭を両立しにくくなります。
将来売却する場合も、平屋は2階建てに比べて買い手の選択肢が狭くなるケースがある点に留意しましょう。売却を想定するなら、周辺の取引状況も確認してください。
同居の可能性がある家庭へ
親との同居や二世帯住宅になる可能性がある場合は、人数だけでなく、生活時間や音、水回りの共用範囲を別途検討する必要があります。
8.イシンホームの平屋の実例
「一生のゆとりのある生活」をテーマにした平屋25坪・3LDK

LDKに面した和室は、薄畳を上げると洋間に変わるリバーシブルな一室に変わります。年齢やニーズの変化によって、柔軟に対応できるのがポイントです。
子ども部屋2室を確保した平屋33坪・5LDK

各子ども部屋には出入口、窓、クローゼットを設置。LDKを通らなければ、玄関から子ども部屋に行けない間取りになっています。主寝室はLDKから離し、プライベートを重視した設計です。
9.よくある質問
Q.子ども2人の平屋は何坪が目安ですか
25〜30坪を出発点に、夫婦の寝室と子ども部屋2室、必要な収納や家事スペースが収まるかを確認するとよいでしょう。必要な広さはLDKや個室の大きさでも変わります。家具を置いた後の使いやすさまで確かめてください。
Q.子ども部屋は最初から2室にすべきですか
個室が必要になる時期によって変わります。2人が同時期に個室を必要とするなら最初から2室、しばらく共有するなら広い1室を仕切る方法が候補です。後から分けるなら、2室分の出入口・窓・空調を先に計画しておきましょう。
Q.手すりの下地はどこに入れますか
トイレ、玄関の上がり框まわり、脱衣室、廊下、寝室からトイレまでの経路が候補です。浴室は製品の補強仕様も確認します。立ち座りや移動の際にどこへ手を伸ばすかを考え、設計担当者と範囲を決めましょう。
Q.車いすが通る廊下幅はどのくらいですか
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、通路の有効幅員は780mm以上、推奨レベルで850mm以上、出入口の幅員は750mm以上、推奨800mm以上が目安とされています。要介護レベルや曲がり方によって必要な幅は変わるため、設計担当者と確認しましょう。
Q.老後は平屋と2階建てのどちらがよいですか
階段の上り下りがない点は、平屋の利点です。2階建てでも、寝室や水回りを1階にまとめれば将来の負担を抑えられます。2階リビングなら、昇降設備の設置スペースも検討しておくとよいでしょう。
まとめ
老後も暮らしやすい平屋にするには、子ども部屋の転用先、体が動きにくくなったときの家事動線、手すりやスロープを後から足せる下準備の3つを、間取りの段階で考えておくことが大切です。
壁・床・配管・廊下幅は後から変えにくいため、先に確認しましょう。手すりなどの設備は、必要な条件を整えたうえで、そのときの暮らしに合わせて選べます。
ご家族の予定に当てはめて考えると、今決めておきたいことが見えてくるはずです。イシンホームでは、間取りの打ち合わせの段階で、下地を入れる位置や廊下幅まで含めてご相談いただけます。実際の平屋をご覧になりたい方は、来店予約や見学イベントをご利用ください。間取りの考え方をまとめた資料のご請求も承っています。

