
注文住宅を検討中の人の多くが、ネットやSNSで「失敗談」を目にして不安になるのではないでしょうか。特に、子育てや共働きの世帯が、ライフスタイルを見据えて家を建てるとなると、間取りや家事動線、玄関の広さ、収納量など、気になることは山ほど出てくるもの。自由に決められるからこそ、事前の準備や情報収集がとても重要になります。
そこで今回は、実際に建てた人のリアルな声をもとに、失敗しやすいポイントや後悔しないためのヒントをまとめました。経験者の声を踏まえて、理想の住まいを実現できるよう準備しましょう。

注文住宅で失敗しやすいポイント9選
まずは、実際に起こりがちな失敗例を紹介。計画段階で注意しておきたいチェックリストとして、ぜひ参考にしてください。
① 土地選びで日当たりや環境を考慮できていなかった
・日当たり・騒音・周辺環境を軽視してしまった
周囲の建物や道路状況によっては、昼間でも薄暗く感じたり、車や電車の音に悩まされたりすることも。日当たりの良さや静かな住環境は、快適な暮らしを大きく左右します。
・将来の生活動線に合わない土地形状だった
細長い土地や高低差のある土地は、設計の自由度が制限されてしまう場合があります。建てたい間取りがかなわなかったり、将来のバリアフリー化が難しくなったりする可能性もあるので、注意が必要です。
② 生活動線を考えられていなかった
・家事動線が長くて非効率
「洗濯機から物干しスペースまでの距離が遠い」「キッチンと収納の動線が複雑」など、日常のちょっとした不便が積み重なってストレスになるケースは多いです。家事動線はなるべく短くしましょう。
・玄関・リビング・水回りの配置に不満
家の中で人の動きが多い場所同士が離れていると、移動が不便になったり、来客時に生活スペースが丸見えになってしまったりすることも。生活動線と来客動線のつながり方を考慮して間取りを決めなければなりません。
③ 玄関の大きさや配置を誤った
・靴があふれる、ベビーカーが置けない
家族が増えると靴やベビーカーなどの荷物も自然に増加します。玄関収納をしっかり確保しておかないと、常に散らかった状態になりがちです。
・玄関からの視線やプライバシーが気になる
玄関を開けたときにリビングが丸見えになる間取りでは、来客時に落ち着かないと感じる人も。視線のコントロールができるように、間取りを工夫しましょう。
④ 部屋が暗い・まぶしい
・昼と夜で印象が違いすぎる
採光の取り方を間違えると、昼は眩しすぎてカーテンを閉めっぱなしにしなければならなかったり、夜は照明が暗く感じたりするなど、快適さが損なわれる原因になります。
・スイッチの位置が使いにくい
帰宅して、真っ暗な中で壁を手探りしながらスイッチを探すなど、照明のスイッチが出入り口から遠かったり、家具で隠れてしまったりすると、毎日のちょっとした動作が意外と不便に感じるもの。動線や生活の流れを想像しながら、配置場所をしっかり検討しておくことが大切です。
⑤ トイレが落ち着かない
・音やにおいが気になる配置
トイレがリビングやダイニングのすぐ側にあると、使用中の音やにおいが気になります。プライベート感を保つために配置場所には注意が必要です。
・収納が足りず雑多に見える
トイレットペーパーや掃除道具の収納が足りないと、生活感が丸出しに。限られたスペースでも、壁面収納や造作棚を取り入れるとスッキリします。
⑥ 床の冷たさ・汚れが気になる
・掃除しづらい床材だった
床材が傷つきやすかったり汚れが落ちにくかったりすると、日常的な手入れに手間がかかります。見た目だけでなく、メンテナンス性も素材選びの重要なポイントです。
・ペットの引っかき傷が気になる
犬や猫と暮らしている場合、フローリングに傷がつきやすくなります。滑りにくく、傷にも強い床材を選ぶことが必要です。
⑦ 和室を使いこなせない
・客間以外に使い道がない
来客の頻度が少ない場合は和室が「物置状態」になってしまうケースもよく見られます。普段使いできる工夫をしておかないと、もったいないスペースになりかねません。
・畳が劣化しやすくメンテナンスに手間がかかる
畳の張り替えや日焼けによる色あせなど、和室ならではの管理の手間も考慮しておく必要があります。
⑧ 外観・内観が気になる
・外壁の色が汚れやすく見栄えが落ちた
明るい外壁は爽やかですが、排気ガスや雨垂れで汚れが目立ちやすくなります。色選びの際は、周辺環境やメンテナンスのしやすさも検討材料にしましょう。
・家具やカーテンのデザインに統一感がない
部屋ごとにテイストが違いすぎたり、既存の家具と新しい内装が合わなかったりすると、落ち着かない空間になりがちです。インテリアの方向性は早めに決めておきましょう。
⑨ 収納が足りない
・モノが出しっぱなしで片付かない
せっかくおしゃれな内装を取り入れても、収納量が足りなければすぐに生活感があふれて台無しになってしまいます。使う場所ごとに収納を考えるのがコツです。
・家族構成の変化に対応できない
子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせた収納スペースを見込んでおかないと、後に収納家具で対応しなければならないことも。将来を見据えた計画が重要です。
注文住宅失敗談~建てた人のリアルな声~
続いて、実際に注文住宅を建てた方に後悔したポイントを聞きました。
Aさん(30代後半)の経験談
購入先:某ハウスメーカー
購入内容:ラン一覧から希望のものを選択し、キッチンのタイプや壁紙など、部屋ごとに一定の選択肢から決められる。選択肢以外のものにしたい場合は、追加料金が必要。ある程度好みのものを選べたので、ほぼプラン内で収まった。
<実際の声を紹介>
リビングを吹き抜けにすればよかった・・・
Aさん)新築するのなら、開放感のある吹き抜けにずっと憧れていたのですが、ハウスメーカーの営業担当者に「すごく暑くなるし、光熱費も割高になりますが、それでも大丈夫ですか?」と言われて諦めたんです。でも実際には、吹き抜けじゃなくても暑い(苦笑)。これなら理想や満足感を優先して、思いどおりに作った方がよかったと思いました。窓の位置や数、間取りを工夫すれば、もしかしたら良いものができたかもしれません。
電気やコンセントの位置が微妙
Aさん)施工前に図面では確認していたのですが、実際に住んでみると、天井の高さや部屋の広さなどによって、使いやすい位置がずいぶんと違うんだなと思いました。思ったよりも明るいとか暗いとか、気になっています・・・。コンセントも、かゆいところに手が届かない(苦笑)。素人ですし、図面だけだと実際の空間が想像しにくいので、もう少しアドバイスをもらえたりすればよかったのかなと思います。
窓付きのドアを選べばよかった
Aさん)玄関や各部屋など、扉は何か所もありますが、窓付きのものを選ばなかった場所が、ちょっと暗いんです。それぞれの部屋の窓の数や位置にもよると思いますが、基本的には窓付きのドアの方が明るくていいなと思いました。プライバシーのことを考えると、窓なしの方がいいという意見もあるので、好みかもしれませんが。
隣の家が思ったより近い
Aさん)実際に建ててみると、隣の家の壁が思ったよりも近かったんです。その隣接部分の窓を透明ガラスにしていたので、家の中が丸見えになるのが困りました。カーテンをかけていますが、窓をすりガラスとか目隠し効果が高いものにしておけばよかったなと思います。
洗濯物を干すテラスを作っておけばよかった
Aさん)洗濯物を干すバルコニーはあるのですが、専用スペースとして、屋根のあるテラスなどを作っておけば、もっと便利だったのにと思いました。バルコニーだと雨が降りこんできたりするし、間取りの問題なのですが、洗濯機から少し遠いんですよね。毎日のことだから、もう少し気を配っておけばよかったなと思いました。
収納スペースが少なかった
Aさん)ウォークインクローゼットや各部屋の収納など、必要最低限はあると思うのですが、あまり大きくはないんです。子どもが大きくなるにつれて、モノも増えてきたりして、収納場所がもう少しあればいいのにな、と思います。でも、多ければ無駄なものを買ってしまったり、持っているものが把握できなくなったりする可能性もあるので、不要なものを整理しながら、うまく付き合っていくのがいいのかもしれませんね。

建てた人の声を踏まえて考えておきたいこと
ハウスメーカーの担当者に自分の要望を伝え、納得いくまで相談することはもちろん大切。しかし、生活スタイルや好みは人それぞれですし、Aさんのように、実際に住んでみないと分からないこともたくさんあります。
また、転勤や退職、出産、子どもの進学、親の介護といったライフステージの変化などで、ニーズが変わることも。部屋の過不足や間取りが問題になったり、そもそも家を売ることになったり、ということも考えられます。家を建てる年代にもよりますが、未来を予測するのは簡単ではないですし、あまりにも先を考えすぎて、現在のニーズに合っていない、ということもありえます。
ちなみにAさんは「もし2回目を建てられるなら、満足いく家ができるかも」と話していましたが、なかなかそういうわけにもいきませんよね。そこで、次に後悔しないためのポイントを紹介します。
を、まとめてみました。
後悔しないためのポイント
家づくりで失敗しないためには、事前の“気付き”がとても大切です。間取りや設備を考える上で押さえておきたい考え方のヒントや準備のコツをご紹介します。

いろんな人の「経験談」に触れておくことが大切
家づくりにおいて、成功談だけでなく失敗談からも得られるヒントは非常に多いものです。だからこそ、まずはできるだけ多くの人の話に耳を傾けてみましょう。
住宅メーカーや設計士などのプロの意見はもちろん大切ですが、実際に家を建てた友人や先輩、身近な人のリアルな声こそ参考になります。「コンセントの位置をもっと考えておけばよかった」「収納が足りなかった」など、住んでから気付いたポイントもあるでしょう。
また、SNSやブログ、YouTubeなど、ネット上にもたくさんの事例があります。第三者の実体験に触れることで「自分だったらどうだろう?」と具体的にイメージできるようになります。最初は漠然としていた理想の住まい像が、少しずつ形になってくるはずです。
“変えられる部分”と“変えられない部分”を見極める
家づくりでは、「後から変更が難しいこと」と「住んでからでも調整できること」を見極めて、優先順位をつけることが重要です。
例えば、家の構造や窓の位置、玄関や階段の場所などは、後から大きく変えるのが難しい部分です。一方、壁紙の色や照明、家具の配置などは、暮らしながら変えていけます。ただでさえ決めることが多い家づくりにおいては、最初にあれこれ考えすぎず“可能な部分は後から変えてもいい”と割り切っておけば、気が楽になることもあります。
また、可変性のある間取りにしておくと、将来の家族構成の変化にも柔軟に対応できます。子どもが独立してから部屋を仕切り直せるようにしておくなど、長く住む家だからこそ、変化に対応できる工夫を盛り込んでおきましょう。
家事動線は「毎日の快適さ」を考慮する
間取りを考えるうえで、家事動線はとても重要な要素です。キッチンや洗濯機、物干しスペース、収納の動線がスムーズかどうかで、毎日の家事負担は大きく変わります。
家づくりでは、ついデザインや流行に目がいきがちですが、家事のしやすさこそが、毎日を快適に過ごすための基本。見た目と使いやすさのバランスを意識することが大切です。
将来の変化にも柔軟に対応できるような設計に
新築当初は理想の家だったのに、数年後には「暮らしに合わなくなってきた」と感じることもあります。家族が増えたり、親と同居することになったり、あるいは子どもが巣立ったりと、ライフスタイルは常に変化していくものです。
その変化に柔軟に対応できるよう「将来リフォームすればいい」と考えておくことも大切です。ある方は「子どもが小さいうちは広いリビングがよかったけど、将来は間仕切って使えるように設計しておいて助かった」と語ります。家は“完成形”ではなく、住みながら育てていくもの。長く心地よく暮らすためには、変化を前提とした柔軟な発想が欠かせません。
●まとめ
家づくりに“絶対の正解”はありません。しかし、「知らなかったせいで後悔すること」は、できるだけ避けたいものです。土地の条件や玄関の広さ、照明の配置、収納の充実度などは、どれも毎日の暮らしやすさを左右する大切なポイント。今回紹介した失敗談やリアルな声をきっかけに、自分たちにとっての“快適さ”や“使いやすさ”を改めて考えてみませんか。不安なことがあれば、ぜひイシンホームのスタッフに気軽に相談してみてください。一緒に、後悔のない家づくりを進めていきましょう。家事導線を優先的に考える。家事は毎日のことなので、そこに負担がかかるとストレスの元に。見た目や流行よりも、自分と家族が長く快適に暮らせることが大切です。

