新築すると決めてから、がんばって貯金したり、ローンのことを考えたり、家づくりについて勉強したり・・・。きちんとハウスメーカーと打ち合わせもしたし、納得していたはず、だった。
それでも、「家は3回建てないと、理想の家にならない」なんて言われるくらい、出来上がった家に満足するのは、なかなか難しいもののようです。とはいっても、人生で一二を争う、高い買い物。できるだけ、失敗は少ないに越したことはありません。そこで実際に新築経験のあるAさんに、お話を聞いてみました。
注)Aさんの個人的な経験談を取材したものです。すべての住宅メーカーや、すべての人や環境に当てはまるわけではありません。あくまでも、ご参考程度に。
Aさん(30代後半)の経験談
購入先:某ハウスメーカー
購入内容:プラン一覧から希望のものを選択し、キッチンのタイプや壁紙など、部屋ごとに一定の選択肢から決められる。選択肢以外のものにしたい場合は、追加料金が必要。ある程度好みのものを選べたので、ほぼプラン内で収まった。
内装やインテリアは気に入ったものができたAさん。しかし、後悔しているのは、なぜでしょうか。
Aさん)当たり前といえば当たり前なのですが、建ててみないと分からないことが、結構あるんだなと思いました。実際に住んでみると、「こうすればよかったな」と思うことが、意外とたくさん出てきたんです。たとえば、どんなことだったのでしょうか?いくつかお伺いしました。
●リビングを吹き抜けにすればよかった・・・
Aさん)新築するのなら、開放感のある吹き抜けにずっと憧れていたのですが、ハウスメーカーの営業担当者に「すごく暑くなるし、光熱費も割高になりますが、それでも大丈夫ですか?」と言われて諦めたんです。でも実際には、吹き抜けじゃなくても暑い(苦笑)。これなら理想や満足感を優先して、思いどおりに作った方がよかったと思いました。窓の位置や数、間取りを工夫すれば、もしかしたら良いものができたかもしれません。
●電気やコンセントの位置が微妙
Aさん)施工前に図面では確認していたのですが、実際に住んでみると、天井の高さや部屋の広さなどによって、使いやすい位置がずいぶんと違うんだなと思いました。思ったよりも明るいとか暗いとか、気になっています・・・。コンセントも、かゆいところに手が届かない(苦笑)。素人ですし、図面だけだと実際の空間が想像しにくいので、もう少しアドバイスをもらえたりすればよかったのかなと思います。
●窓付きのドアを選べばよかった
Aさん)玄関や各部屋など、扉は何か所もありますが、窓付きのものを選ばなかった場所が、ちょっと暗いんです。それぞれの部屋の窓の数や位置にもよると思いますが、基本的には窓付きのドアの方が明るくていいなと思いました。プライバシーのことを考えると、窓なしの方がいいという意見もあるので、好みかもしれませんが。
●隣の家が思ったより近い
Aさん)実際に建ててみると、隣の家の壁が思ったよりも近かったんです。その隣接部分の窓を透明ガラスにしていたので、家の中が丸見えになるのが困りました。カーテンをかけていますが、窓をすりガラスとか目隠し効果が高いものにしておけばよかったなと思います。
●洗濯ものを干すテラスを作っておけばよかった
Aさん)洗濯ものを干すバルコニーはあるのですが、専用スペースとして、屋根のあるテラスなどを作っておけば、もっと便利だったのにと思いました。バルコニーだと雨が降りこんできたりするし、間取りの問題なのですが、洗濯機から少し遠いんですよね。毎日のことだから、もう少し気を配っておけばよかったなと思いました。
●収納スペースが少なかった
Aさん)ウォークインクローゼットや各部屋の収納など、必要最低限はあると思うのですが、あまり大きくはないんです。子どもが大きくなるにつれて、モノも増えてきたりして、収納場所がもう少しあればいいのにな、と思います。でも、多ければ無駄なものを買ってしまったり、持っているものが把握できなくなったりする可能性もあるので、不要なものを整理しながら、うまく付き合っていくのがいいのかもしれませんね。
いかがでしょうか。ハウスメーカーの担当者に自分の要望を伝え、納得いくまで相談することはもちろん大切ですが、生活スタイルや好みは人それぞれですし、Aさんのように、実際に住んでみないと分からないことも、たくさんあります。
また、転勤や退職、出産、子どもの進学、親の介護といったライフステージの変化などで、ニーズが変わることも。部屋の過不足や間取りが問題になったり、そもそも家を売ることになったり、ということも考えられます。家を建てる年代にもよりますが、未来を予測するのは簡単ではないですし、あまりにも先を考えすぎて、現在のニーズに合っていない、ということもありえます。
ちなみにAさんは「もし2回目を建てられるなら、満足いく家ができるかも(笑)」と言われていましたが、なかなかそういうわけにもいきませんよね。そこで、後悔しないためのポイントを、まとめてみました。
後悔しないためのポイント
◆まずは成功、失敗問わず、いろんな人に話を聞いたり調べたりしてみましょう。住宅メーカーの人だけでなく、友人や先輩、ネットなど、さまざまな事例にあたってみてください。自分では気づかないことも、結構あったりします。
◆間取りや内装を考えるとき、後から変えられない部分を優先的に決めて、変えられる部分については、住みながら変えていくというのもありかもしれません。仕切りを変更できるような自由度の高い間取りにしておくと便利ですが、模様替えなどの工夫で解決できることもあります。
◆家事導線を優先的に考える。家事は毎日のことなので、そこに負担がかかるとストレスの元に。見た目や流行よりも、自分と家族が長く快適に暮らせることが大切です。
◆新築の頃は満足していても、年数が経過すれば、メンテナンスはいずれ必要になるもの。そのときにリフォームなどでよい形にしていけばいいや、と割り切って考えることも必要です。
せっかく建てた大切なマイホーム。暮らしながら、自分好みに育てていくことを楽しめるといいですね。