
子育て中に家を建てる際、「1人に1部屋ずつ子ども部屋を用意してあげたい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、子どもが3人いる場合は、参考となるモデルハウスや建売物件が少なく、間取りをイメージしづらいという声もよく聞かれます。そこで今回は、子どもが3人いる場合におすすめの間取りや、子ども部屋づくりのコツなどを解説します!
目次
モデルハウスや建売物件の多くは、“子ども2人”想定!
ハウスメーカーがあらかじめ間取りを決めて建てているモデルハウスや建売物件は、4人家族が住むことを想定した3LDKや4LDKが主流です。というのも、日本の子育て世帯は子どもが2人までの家庭が多数を占めているからです。
厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況(2021年)」によると、児童がいる世帯全体のうち、児童が「1人」の世帯は46.8%、「2人」の世帯は39.7%を占めています。一方で「3人以上」の世帯は13.5%。こうした状況を踏まえても、子ども部屋は2つ以下という間取りの需要が高いことが分かります。
子どもが3人いる場合におすすめの間取りは?
子どもが3人いる場合、イシンホームでは「4LDK」の間取りをおすすめしています。この時注意してほしいのが坪数です。一般的には「30坪=3LDK」、「33・34坪あたりから4LDK」と思われることが多いですが、収納スペースを考慮すると「+2坪」の、36坪程度は欲しいところ。
収納スペースが不足していると、タンスや収納棚を追加で購入することになりかねません。家具を置くとせっかく確保した居住スペースが狭くなってしまい、本末転倒。そんな失敗をしないように、必ず2・3坪は収納スペースとして確保して、坪数・間取りを考えることが大切です。

平家の場合でも、スキップフロアを活用した半地下の収納スペースを設けるなどの工夫をすれば、4LDK(3LDK+和室)が叶いますよ。

なお、子ども部屋を確保するために、主寝室を狭めるという方法もありますが、6畳の部屋で夫婦2人が就寝すると、部屋の体積に対する発汗量が多すぎて結露することも。そうなることのないように、性能が良い換気システムやウオークインクローゼットを隣接させて、部屋の体積を増やす工夫をするのがおすすめです。
将来的な使い方を考えて、子ども部屋を造ることが大切
「とりあえず」と、子ども部屋を3つ造ってしまうと、将来的に住みにくい家になってしまう可能性があります。そうした失敗をしないために、子ども部屋を造るコツを紹介します。
●部屋は後から仕切ることもできる
家を建てる段階で最終的な子どもの人数が分からない場合は、大きな子ども部屋を1つ造っておき、将来的に壁や建具、家具などで仕切る方法もあります。そうすれば、家を建てた後に子どもの人数に合わせて空間を増やすことができますよ。
この方法は、3部屋分のスペースを確保することが難しい場合や、将来的に部屋数が多いと持て余しそうな場合にも有効です。1部屋を3つに仕切るのであれば、3部屋造るより省スペースに収まります。また、建具や家具は比較的撤去しやすいので、子どもが独立した後の部屋の用途も広がるでしょう。
●必要な部屋の広さを考える
最近は、「子ども部屋を最小限のスペースに抑えて、普段はリビングで家族と過ごして欲しい」という人も増えています。そのような場合、デスクとベッドを置くだけであれば、広さは4.5畳で十分です。一方、ある程度ゆとりのある広さにしたい場合は、6畳は欲しいところ。そんな風に、家庭の考え方や希望する暮らし方で部屋の広さを決めても良いですね。
●子ども部屋への動線を工夫する
せっかく造った子ども部屋に子どもたちがずっとこもってしまうと、家族のコミュニケーションが減るのではないかと心配な人もいるかもしれません。確かに、「いつ家に帰ったのか分からない」なんて事態は避けたいですよね。そのためには、帰宅時に家族と顔を合わせてから、子ども部屋に行けるような動線に工夫することが大切。例えば、2階へ上がる階段をリビングに設ければ、家事をしながら下校した子どもに声を掛けることができます。

用途を考えた設備に
子ども部屋を造る際は、間取りや構造に加えて、細かい設備についてもしっかり用途を検討することが大切です。
●壁紙は汚れや傷に強いものがおすすめ
子どもが小さいうちは、壁にお絵かきをしてしまったり、おもちゃで傷をつけてしまったりすることが日常茶飯事。子ども3人となればその頻度も高く、汚れや傷がつく度に修繕していては大変です。
そのため、子ども部屋の壁紙は汚れや傷に強いものを選ぶと良いでしょう。例えば、フィルムで加工された壁紙であれば汚れにくいですし、もし汚れたとしても拭き取りやすいです。また、ウレタン樹脂でコーティングされた壁紙は丈夫で傷にも強いので、やんちゃ盛りの子どもが毎日おもちゃでアクティブに遊んでも安心でしょう。
●照明は調光機能付きやデスクライトの活用も考慮
子ども部屋の照明は、間接照明ではなく、部屋全体をしっかり照らすタイプのものを選びましょう。調光機能が付いていれば、就寝するまでは常夜灯にすることもでき、真っ暗な空間が苦手な子どもでも安心して眠れます。また、宿題や勉強をする際には、全体の明かりだけでなく、手元をしっかり照らすデスクライトを併用するのがおすすめです。
●勉強スペースは個別に確保する
近年は“リビング学習”といって、集中力を養うためにあえて家族がいる場所で勉強するケースも増えています。リビングなどの共有スペースでも、子ども部屋内でも、勉強をするための専用スペースはきちんと確保することが大切です。
・子ども部屋内に複数の学習スペースを確保
設計時点で子どもが3人いる場合は、子ども部屋内に人数分の学習スペースを設けるのがおすすめです。また、部屋間に広めの学習スペースを設置すれば、お互いに教え合いながら勉強することも可能となります。また、将来子どもの人数がどうなるか分からない場合は、横に広い一体型の学習カウンターなどを造っておくと良いでしょう。そのまま広く使うだけでなく、将来は使用人数に合わせて仕切るなど、効率的な利用が可能です。
・共有スペースにスタディコーナーを設ける
いわゆるリビング学習の場合でも、ダイニングテーブルをそのまま使うより、勉強をするための専用コーナーを設けるのがおすすめです。こうした家族共有のスペースには、個々のデスクを設置するよりは、広めのスタディコーナーを造った方が、無駄に面積を使用しません。この方法ならリビング以外にも、ステップフロアや階段下のスペース、廊下など、間取りに合わせてスタディスペースを設けることができます。
●収納スペースやクローゼットの配置を工夫する
収納スペースやクローゼットの配置も、子どもの数や成長に合わせて工夫していく必要があります。
・クローゼットを各部屋に設置してプライバシーを確保
近年は、低年齢のうちから「プライバシーの概念」や「プライベートゾーンを守る大切さ」を教えていくことが重要視されています。設計時点で小学生以上の子どもがいる場合、子ども部屋はもちろん、各部屋にクローゼットを設置しておくことが望ましいでしょう。なお、広い部屋を仕切って3人分の子ども部屋にする場合、個別にクローゼットを造ると狭くなるため、仕切り自体に可動式のクローゼットを用いるという方法もあります。
それぞれのスペースにクローゼットを持たせることによって、子ども自身が整理整頓する力を育むことにつながります。また、下着類など、本来は自分以外に見せるべきでないものを収納する習慣をつけることで、自分自身を守る意識に加え、他者のプライバシーに対して配慮する意識作りにもなるでしょう。
・共有の収納スペースで収納管理を楽に
個別のクローゼットとは別に、家族共有の収納スペースもあると良いでしょう。日用品などのストックや掃除用具など、家族みんなが使うものをまとめて収納できるスペースがあれば、探し回らずに済みます。また、在庫をひと目で分かるように整理して収納しておけば、補充など日常の管理もスムーズです。
失敗・後悔しないために事前に考えておきたいポイント
子どもがいる方が家を建てる場合、単純に子どもの数だけで設計や間取りを検討すると、後から想定外のケースが発生して後悔することもあります。失敗や後悔を少なくするためにも、事前に検討しておきたいポイントを紹介します。
●子どもが成長してからの使い方もイメージする
設計時点で子どもが小さくても、年を追うごとに成長し、家での過ごし方は変わります。遊び中心の幼少期を経て、毎日の宿題など勉強が必要になってくる年齢、子ども自身もプライバシーを意識するようになる思春期、受験勉強や部活動の有無など…。想像できる限りイメージして、家族にとってどのような家が最適か検討することが大切です。また、できれば進学や就職などで子どもが巣立った後、子ども部屋をどのようにアレンジして使うかも考えておきたいですね。
●間取りの変更がしやすい設計を意識する
将来のことをできる限りイメージして家を造ることは大切ですが、それでも想定外の出来事はあるでしょう。例えば、子どもの人数が建築時点で確定していなければ、広めの子ども部屋を造っておき、後から人数に合わせて仕切るなど、間取りの変更がしやすいよう設計することが大切です。他にも、スタディスペースが子どもの独立で必要なくなった際には、ワークスペースや趣味を楽しむスペースにするなど、ライフステージの変化に合わせてアレンジしやすい設計にしておくと良いでしょう。
●家族のライフスタイルに合ったプランを選ぶ
子どもだけでなく、家族それぞれのライフスタイルを尊重することも、快適な家づくりでは重要なポイントです。在宅ワークであれば、書斎やワークスペースが必要となるため、その面積も考慮して、子ども部屋の数や間取りを決める必要があります。
一方、共働きでどちらも通勤が必要である場合や、子ども達がある程度大きくなり外出頻度が多くなった際は、家族のコミュニケーションが取りにくくなります。それも踏まえて、前述した通り、必ず顔を合わせてから子ども部屋へ入る動線を検討したり、みんなが集まって快適に過ごせる大きさのリビングや共通の趣味を楽しむ部屋を設けたりと、家族が共に過ごす時間を増やせる工夫を施すことも重要になってきます。住宅メーカーとしっかり相談し、家族のライフスタイルにあったプランを検討しましょう。
(まとめ)
子どもが3人いる場合、できれば子ども部屋も3つ造るのがおすすめです。しかし、家の広さ(坪数)や家族の考え方、将来的な子ども部屋の活用法などによって、ベストな間取りは変わってきます。みなさんも、今回ご紹介したポイントを意識しながら、最適な間取りを考えてみてくださいね。もし、不安や分からないことがあれば、いつでも気軽にご相談ください。