
新築のコンセントは、位置や数を決める順番を間違えると後悔しやすい設備です。完成後に増設することもできますが、壁の開口や配線工事が必要になることも。この記事では、「家具→動線→家電」の3ステップで決める方法と、部屋別の数や高さの目安を紹介します。着工前に配線図をチェックするときに、ぜひお役立てください。
目次
1. 実はあるある?コンセントの失敗例
まずは、コンセントに関するよくある失敗例を紹介します。同じような失敗をしないように参考にしてください。
●数が足りない
冷蔵庫や洗濯機などの生活家電に加え、パソコン、ゲーム機、スマートフォン、タブレットなど、家庭で電源を必要とする機器は増えています。特にキッチンやリビング・ダイニングは家電が集中しやすく、コンセント不足になりがちです。タコ足配線に頼ると、見た目や使い勝手が悪くなるだけでなく、定格容量を超えた使用によって発熱や火災につながるおそれもあります。
●家具で隠れて使えない
ソファやベッド、収納家具などでコンセントが隠れると、プラグを抜き差しできず、使えなくなることがあります。家具の配置を想定して位置を決めましょう。
●高さが足りない
コンセントの位置が低すぎると、デスク上のスタンドライトや、ダイニングテーブルで使うホットプレートなどのコードが届かない場合があります。延長コードで補う方法もあるものの、配線が目立つほか、足を引っかけたり、ほこりがたまったりする原因になるのが難点です。
● 壁紙と配色が合わない
壁紙とコンセントプレートの色が合っていないと、コンセントが必要以上に目立ち、室内のイメージを損ねることがあります。白以外の壁紙やアクセントクロスを採用する場合は、コンセントやスイッチの色、形も確認しておきましょう。
2.「家具→動線→家電」の3ステップで決める
使いやすいコンセント計画を立てるには、先に家具を配置し、次に生活動線を確認して、最後に使用する家電を整理するのがポイントです。
STEP1:家具の置き場所を先に決める
家具の配置が決まらなければ、使いやすいコンセントの位置も決まりません。特にソファ、ベッド、テレビボード、食器棚などの背面は、コンセントが隠れて使えない「死にコンセント」になりやすい場所です。配線図に家具の大きさと位置を書き込み、コンセントが家具の裏に入らないか確認しましょう。室内の見た目と使いやすさのバランスは、CGパースを見ながら検討すると、コンセントの見え方や壁紙との配色まで同時に確認できます。
STEP2:動線で「使う場所」を洗い出す
次に、普段の生活動線や家事動線に沿って、電源を使う場所を確認します。特にチェックしたいのは、次の3点です。
①コード付き掃除機が届く範囲
掃除機をかけながら家の中を移動する場面を想定し、どこにコンセントがあれば無理なく掃除できるかを確認しましょう。廊下や階段、ホールにも配置しておくと、プラグを何度も差し替える手間を減らせます。
②ロボット掃除機の基地
ロボット掃除機の充電基地には、電源と本体を出し入れできるスペースが必要です。基地を目立たせたくない場合は、階段下や収納の一部などを利用する方法もあります。ただし、機種によって必要な高さや左右の空き寸法が異なるため、使用予定の製品を確認しておいてください。
③スマートフォンや家電の充電スポット
スマートフォンやタブレットをどこで充電するかも考えます。リビング、ダイニング、寝室、書斎など、家族が長く過ごす場所には充電用のコンセントがあると便利です。コードレス掃除機や電動自転車など、日常的に充電する機器も忘れずに確認しましょう。
現在の住まいで延長コードや電源タップを使っている場所を書き出すと、必要な位置や差込口数を把握しやすくなります。ドライヤーを使う場所など、家族それぞれの生活習慣も反映させましょう。
STEP3:家電ごとに数・高さ・種類を確認
使用する家電は、次の3つに分類して整理します。
・常時使用する家電:冷蔵庫、テレビ、Wi-Fiルーター、洗濯機など
・季節家電:扇風機、ヒーター、加湿器、クリスマスツリーなど
・充電が必要な機器:スマートフォン、タブレット、コードレス掃除機など
配線図の段階で、それぞれの設置場所、必要な差込口数、高さ、コンセントの種類を確認しましょう。エアコン用コンセントは高い位置にあり、一般的な家電には使いにくいため、普段使いのコンセント数には含めません。
テレビ周辺や書斎では、有線LANの必要性も検討します。Wi-Fiが中心の家庭でも、安定性や通信速度を重視する機器にはLANポートがあると便利です。スマート照明を採用する場合は、必要な電源や通信方式も設計者に確認しましょう。
コンセントの高さの目安

3. 注文住宅の場所別おすすめ設置位置
コンセントが必要な数や位置は、部屋の用途によって異なります。ここでは、場所別に確認したいポイントを紹介しましょう。
部屋別コンセントの一例

●リビング
家族が集まって過ごすリビングには、テレビやオーディオ、レコーダー、ゲームなどを置く人が多い傾向です。それらを設置する場所の裏には、プラグをたくさん挿せる4口のコンセントを設けるとタコ足配線を防げます。また、固定電話やルーター、パソコン周辺機器などを設置する場所にも、最低4口のコンセントがあるとコードをすっきりまとめられるのでおすすめです。
●ダイニング
ダイニングでは、ホットプレートや卓上調理器、スマートフォンの充電などにコンセントを使います。壁際にテーブルを置く場合は、天板に近い高さに設置するとコードを扱いやすいでしょう。部屋の中央にテーブルを配置する場合は、床下(フロア)コンセントも候補です。壁から延長コードを引かずに済み、配線をすっきりまとめられます。
●キッチン
キッチンは、冷蔵庫や炊飯器、電子レンジなど多くの家電を置く場所です。特に多くの家電を置く場所です。そのため、コンセントの数は多めに考えておくのがおすすめ。また、冷蔵庫をはじめとした常にプラグを差しっぱなしにしておく家電用のコンセントと、ミキサーや電気鍋など、必要な時だけ差し替えて使うコンセントを分けて考えておくと便利です。

●子ども部屋
子ども部屋では、学習机の照明やパソコン、タブレット、ゲーム機、エアコンなどに電源を使います。成長に伴って家具の配置や使用する機器が変わることを想定し、複数の壁面に配置しておくと安心です。
将来、一つの部屋を二つに分ける予定がある場合は、仕切る位置の左右それぞれにコンセントを設けましょう。照明やエアコン、LAN配線も、分割後の使い方を考えて計画します。
●書斎・ワークスペース
パソコンやモニター、プリンターなど、使用する機器を洗い出して、必要な差込口数を決めましょう。デスクまわりには4口程度を目安に、足元やデスクの高さなど、使いやすい位置に設置します。安定した通信環境が必要な場合は、有線LANのポートもあわせて検討するとよいでしょう。
●階段・ホール・収納内
階段やホールには、掃除用や足元灯用のコンセントを設けておきましょう。階段下をロボット掃除機の基地にする場合は、本体が出入りできる開口部と電源も必要です。クローゼットや収納内にコンセントを設ければ、コードレス掃除機などを収納しながら充電が可能になります。ただし、機器の発熱や換気、安全性を考慮し、収納する製品に適した設計にしましょう。
●玄関・廊下
あまり家電を置くイメージのない玄関や廊下にも、コンセントがあると便利です。掃除機をかける際に使うほか、玄関にインテリアライトや水槽、クリスマスツリーなどを飾る際にも必要になります。
●洗面所
洗濯機をはじめ、電動歯ブラシやドライヤー、ヒーターなど、さまざまな家電を使う洗面所には、多めにコンセントを設ける必要があります。
また、湿気が高く水濡れの可能性もあるので、漏電対策も必須。一般的には、電気の逃げ道をつくることで感電を防ぐ「アース付きコンセント」を採用するケースが多いです。洗濯機のコンセントについては、洗濯機の裏にあると埃がたまりやすく発火の危険があるので、床から110cm以上の高い場所に設置すると良いでしょう。

●外
コンセントは、屋内だけでなく屋外にも設置しておくと便利です。主な活用法は、照明や防犯カメラの設置、電動自転車や電気自動車の充電、掃除や洗車で使う高圧洗浄機の運転、日曜大工、クリスマスの庭のイルミネーションなど。必要か否かは人によって違うかもしれませんが、これだけ活用法があるのでいざという時に活躍する可能性は高いでしょう。
外のコンセントは、家の正面に付けてもあまり目立たないため、利便性の高い位置に設置するのがおすすめです。

コンセントの種類
コンセントの位置を計画するにあたって、まずはその種類を押さえておく必要があります。
●単相100V
日本の一般家庭で最もよく使われるコンセント。冷蔵庫やテレビ、電子レンジ、照明など、日常で使用する多くの家電に対応しています。基本的にはどの部屋でも設置が可能で、特別な工事は必要ありません。生活必需品の使用に欠かせない基本的な電源です。
●単相200V
エアコンやIHクッキングヒーター、衣類乾燥機など、高出力が必要な家電には、単相200Vのコンセントが使われます。設置には専用回路や工事が必要です。効率良く電力を供給することが可能となるため、家電の性能向上の面で大きなメリットがあります。
●テレビ端子付き
テレビ端子付きコンセントは、アンテナからの信号を受け取るための設備です。テレビの設置を想定しているリビングや寝室などに配置しましょう。安定した映像や音声の受信が可能となるだけでなく、スッキリとした配線になるため、美しい空間づくりにもつながります。
●アース線付き
アース線付きコンセントは、漏電を防止するための安全設備です。洗濯機や電子レンジなど、水回りで使用する家電に必要となります。
●USB端子
USB端子付きコンセントは、スマートフォンやタブレットの充電に便利です。USBケーブルを直接差し込めるので、ACアダプターが不要なつくりになっています。リビングや寝室、書斎に設置すると利便性が高く、スマートな充電環境が整うでしょう。
●屋外用
屋外用コンセントは、防水・防塵仕様で、安全に使用できるように設計されています。ガーデニング用の電動工具や屋外のイルミネーション、防犯カメラの電源として使用する事が可能です。庭や駐車場などで、必要となる場所に設置しましょう。
●床下
床下コンセントは、部屋の中央付近での使用を想定したコンセントの設置方法です。ダイニングテーブルの下など、延長コードを使わずに電源に接続できるため、部屋がスッキリします。掃除機やホットプレートを使用する際に便利です。
5.イシンホームの家づくりで考えるコンセント計画
イシンホームでは、太陽光発電や蓄電池を搭載する住まいを提案しています。こうした住まいでは、 電気を「つくる・ためる」設備だけでなく、どこで、どのように使うかまで考えることが大切です。コンセント計画も、家電の配置や生活動線、停電時に使用したい機器などと併せて検討しましょう。
また、駐車場にEV充電用コンセントを設置する事例もあります。車種や充電方式によって必要な電圧、回路、設置位置が異なるため、将来EVへ乗り換える可能性も含め、設計段階で相談しておくと安心です。
FAQ
Q.防犯カメラの設置を検討しています。コンセントはどこに配置しておくべきですか。
まず大事なのは、カメラ設置予定箇所の近くに配置すること。防犯カメラの位置に対応できる高さの壁面にコンセントを配置しましょう。玄関や外壁、駐車場周辺が一般的な設置場所です。また、配線が外から見えないよう、家具や植物で隠れる目立たない位置を考慮すると、防犯性がより高まります。屋外に設置する場合は、防水仕様のコンセントを使用しましょう。
もし、複数台の防犯カメラを使用することを計画している場合には、専用回路の検討もおすすめです。あらかじめ電源容量の確認をしておきましょう。
Q.コンセントを設置する適切な高さは?
コンセントを設置する高さは、使用シーンや目的に応じて適切に調整することが大切です。なお、車椅子利用や子どもの安全を考える場合、特別な高さ設定が必要になる場合もあります。暮らす人のライフスタイルを考慮しながら計画を立てましょう。
・一般的なコンセント
床から約25cmの位置に設置されることが多いです。これは掃除機や家電の使用に便利で、家具で隠れにくい高さといわれています。
・キッチンカウンター上や洗面台周辺
床から約90~120cmの高さが使いやすいです。家事の動作をスムーズにしてくれます。
・間接照明や掃除用の専用コンセント
床から15~20cmの低い位置に設置することが多いです。
・エアコンのコンセント
180~200cm程度の高い場所に設置するのが一般的です。
いずれも一般的な目安です。家具や家電、カウンターの寸法、車いすの利用、子どもの安全などを考慮し、設計者と相談したうえで決定してください。
Q.コンセントの差口の数は何個がいい?
コンセントの差口の数は、使用する家電や部屋の用途に応じて決めるのが基本です。主な配置場所別で目安を紹介します。
・リビング:テレビやスマート家電、充電機器などを考慮して、1カ所につき4つ以上の差口を用意するのが便利。2口を2箇所以上設置するのもおすすめです。
・キッチン:冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器、調理家電などを使用するため、1カ所で4~6口あると安心でしょう。
・寝室:ベッドサイドでスマートフォンを充電したり、スタンドライトを使用したりするため、2~3口が適切です。
・書斎:パソコンやプリンター、デスクライト用に4口程度を確保します。
・玄関:季節家電や防犯カメラを考慮して、2口程度が便利でしょう。
設計の段階で部屋の用途やライフスタイルをもとに差口数を検討しておくと、タコ足配線を避けやすくなります。
Q.コンセントは後から増設できますか?費用の目安は?
完成後の増設も可能です。ただし、壁や天井の一部を開ける工事、分電盤からの配線、内装の補修などが必要になることがあります。
費用は、既存の配線から分岐できるか、専用回路が必要か、壁の内部に配線を通せるかなどによって異なります。隠蔽配線が難しい場合は、配線が壁面に見える露出配線になる点に注意が必要です。正確な費用は、現地調査を受けたうえで施工会社に確認しましょう。
Q.スイッチニッチにコンセントを集約するときの注意点は?
壁面のくぼみにスイッチやリモコン、コンセントをまとめる「スイッチニッチ」は、設備をすっきり見せられる方法です。ただし、見た目を優先してコンセントを集約しすぎると、家電を使う場所までコードが届かない場合があります。
ニッチには固定して使う機器や充電用の電源をまとめ、掃除機などを使う一般コンセントは生活動線に沿って別に配置しましょう。スマートフォンなどを置く場合は、棚の奥行きやコードを通すスペースも必要です。
小さな子どもがいる家庭では、コンセントを触れにくい位置に設け、カバーやキャップを取り付けやすい配置にするなど、安全面にも配慮しましょう。
●まとめ
最近では、コンセントを目立たない場所に設置したいという人も多く、壁面に作った窪みにスイッチやリモコン、コンセントなどを集約させる壁面収納「スイッチニッチ」が人気を集めています。しかし、部屋の雰囲気を優先させすぎると、家電を使いたい場所までコードが届かないケースも。その結果、延長コードを使うことになれば、結局部屋の雰囲気が壊れてしまいます。さらに、ロボット掃除機の基地やスティック掃除機などは、コンセントの位置が特殊なケースもあるので、そこへの配慮も必要です。こうした失敗をしないように、実用性も重視しながらコンセントを配置することが大切です。

