
注文住宅は自由に設計できる分「何から決めたらいいのか分からない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では、注文住宅で決めるべきことをリスト化し、スムーズに進めるための優先順位やスケジュールのポイントを分かりやすくまとめました。後悔のない家づくりをかなえるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
目次
●注文住宅を建てる基本の流れ
新たに注文住宅を立てる際、「どのような流れで工程が進んでいくのか」は知っておきたいことでしょう。あわせて、注文住宅のメリット・デメリットも紹介しますので、チェックしてください。
家づくり全体のプロセス
最初に、注文住宅を購入する際の着工までの流れを紹介します。
1.情報収集を行い、予算を決め、理想の家のイメージを作る
まずは、家づくりにかかるおおまかな費用を調べるとともに、自分たちが家づくりにかけられる予算も算出します。また、「どのような家を建てたいのか」というイメージを、家族で話し合って擦り合わせます。
2.土地を探す
土地を購入する場合は、不動産会社に相談に行き、希望条件を伝えて土地を紹介してもらいます。建築会社によっては、土地探しからサポートしてくれる場合もあるため、相談してみるのも一つの方法です。
3.建築会社を選ぶ
家づくりのイメージと予算が固まったら、その条件に合う建築会社を探します。モデルハウスなどで、実際の家の雰囲気などもチェックしておくと良いです。
どこにするか候補を絞り込めたら、間取りプランと見積もりを依頼しましょう。各社の比較をしながら、どこにするかを決めていきます。
4.建築工事請負契約
建築を任せたい会社とプランが決まったら、建築工事請負契約を行います。
5.仕様の詳細を決める
契約を結んだ後、より具体的な間取りや設備、内装、外装などの仕様を決めていきます。
6.着工
図面や仕様書が固まったら、いよいよ着工です。
注文住宅ならではのメリット・デメリット
間取りや設備、デザインなどを自分で選択することができる注文住宅は、自由度の高い家づくりを行える点が魅力です。
一方、プランの自由度が高い分、設備やデザインにこだわりすぎると予算をオーバーしてしまうリスクがあります。特にオプションは追加するほど費用が加算されるので注意が必要です。
【決めることリスト①】予算・資金計画

注文住宅を建てる際は、流れに沿って内容を決めていくことが必要です。住宅はとても大きな買い物なので、まずは予算の検討が不可欠です。
総予算の上限を明確にする
「予算オーバーしてしまった」という失敗を防ぐために、最初に総予算の上限を明確にしておくことが大切です。住宅を建てる際にかかる主な費用は、購入時に支払う「頭金」と、購入後に分割して支払う「住宅ローン」の二種類。まずは自己資金を明確にして、頭金として投入する金額と、手もとに残しておく貯蓄額を決めましょう。
住宅ローンについては、一般的には年間返済金額が年収の25%以内というのが無理のない返済額だといわれています。さらに、月々の返済額まで計算すると、より返済プランがイメージしやすくなります。
例えば、年収500万円の人であれば125万円。1カ月あたりの返済額にすると約10.4万円です。
建築費以外の見落としがちな費用を確認
住宅を購入する場合「建築費以外の費用が意外とかかることを考慮していなかった」という失敗も起こりがちです。例えば、登記費用や税金、引越しや入居の際にかかる諸費用などがかかります。これらは、住宅ローンの支払いとは別で必要になるので、あらかじめ準備しておく必要があります。
【決めることリスト②】土地と住環境

住まいを建てる土地や付近の環境を調べることもポイントです。
希望エリア・条件の洗い出し
土地を探す際、まずは大まかな希望エリアを絞ります。なぜなら、それが決まらないと土地探しを依頼する不動産会社を選べないからです。
それと同時に、土地に求める条件を洗い出し、優先順位を付けましょう。例えば、広さのほか、駅や学校・スーパーからの距離、日当たりなど、何が家族にとって大切なのかを話し合ってください。
土地探しで重要なチェックポイント
続いて、土地を探す際にチェックしておくべきことを紹介します。
・図面が正確かどうか
土地の図面は大まかな形状や道路との位置関係が示されている程度で、測量はされていないというケースが大半です。間口と奥行きのバランスが悪い土地もあるため、現地での確認は必須となります。
・用途地域に問題はないか
用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた、土地利用を規制する制度のこと。これにより、地域ごとに建築物の種類や大きさ、用途などが決まっています。住宅を建てる際に注意しておきたいのが、「第一種又は第二種中高層住居専用地域」と「低層住居専用地域」です。
前者だと、周りに高層マンションなどが建築される可能性が高くなります。一方、後者であれば高い建築物が建つ心配はありませんが、自宅も高い建物にはできません。
・ 建ぺい率、容積率がどれくらいの数値か
建ぺい率は敷地に対して建てられる建物の広さを制限する基準。一方、容積率は敷地に対して何階建ての住宅を建てられるのかを定める基準です。この制限によって建てられる家の面積が変わってくるので、必ず確認しておきましょう。
・高さ制限はあるか
道路に面した部分の建物の高さを制限する規制「道路斜線制限」や、周囲の日照を確保するために定められた「日影規制」など、高さの制限があるケースも珍しくありません。土地の広告には書かれていない場合もあるので、必ず詳細を確認しておきましょう。
土地購入の進め方と注意点
まずは予算を決めておくことが大切です。というのも、高額な土地を買ってしまうと、建築に充てる資金が足りなくなることがあるのです。土地と建物の予算をバランス良く決めるためには、建築会社に相談しながら土地選びを進めるのがおすすめです。
【決めることリスト③】間取り・デザイン

住みたい家の間取りやデザインは、家族で話し合って事前に決めておきましょう。
家族構成に合わせた間取りづくり
同じ大きさの家でも、間取りによって部屋数や各部屋の広さ、収納力などが変わるので、住宅を建てる上で間取りは重要なポイントです。将来のことなども考慮し、家族構成に合わせた間取りにしましょう。
イメージに合う外観デザインと内装のテイスト選び
外観や内装を自分好みにカスタマイズできるのは、注文住宅の醍醐味です。ただし、自由度が高いと調和のない見た目になるリスクも高いので、統一感を意識することが重要です。そのためには、最初に「ナチュラル(木の温もりを感じるやさしい雰囲気)」「ホテルライク(高級感のある落ち着いた雰囲気)」といった大まかなイメージを決め、デザインやカラーを合わせていくのがおすすめです。
失敗しやすい間取りのパターン
失敗しやすい間取りの一例を紹介します。
・収納のサイズ、位置が使いにくい
なるべく部屋を広くしようとして収納を削ると、部屋に物が溢れて、返って狭くなってしまうことがあります。実際に必要となる収納量を把握し、動線も考えた収納スペースを配置しましょう。
・水回りと寝室が近い
トイレや風呂、キッチンなどの水回りの音は、思っている以上に響くことがあります。就寝時間に家族が使っている場合などは、音で目が覚めてしまう可能性も。水回りと寝室の位置はなるべく離すのがおすすめです。
【決めることリスト④】設備・性能
不要な設備導入は予算オーバーにつながります。何が必要となるか把握しましょう。
断熱性能・耐震性能は最優先事項
断熱性能が高いほど、室内が外気の影響を受けにくくなり、快適に過ごせます。暖冷房費の節約になるほか、ヒートショックのリスクも軽減されるでしょう。断熱性能については「断熱等級」という7段階の指標が設けられていて、2025年4月から全ての新築住宅に等級4以上が義務化されています。
また、耐震性能については、住宅性能表示制度に基づいて住宅の耐震性を1~3のランクで評価する「耐震等級」が設けられています。建築基準法で定められた最低限の耐震性能は耐震等級1ですが、大手ハウスメーカーなどでは耐震等級3が標準仕様となっているケースが多いです。
水回り設備(キッチン・浴室・トイレ)の選び方
水回りの設備は種類が多く、少しの選択で暮らしやすさが大きく変わる可能性があります。できれば、ショールームや住宅展示場、ホームセンターなどで実物を見て、使用感を確認すると良いでしょう。また、インターネットの口コミや、知人からの情報収集も有効です。
電気・ガス・給湯システムの選定
給湯システムは、ライフスタイルや予算に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。ガス給湯器は初期費用が低い傾向があり、素早く大量のお湯を沸かせるのが魅力ですが、電力も必要とするため光熱費は高くなる傾向があります。
一方、電気給湯器は、電力の消費量が多くないためランニングコストを抑えられます。ただ、初期費用が高い傾向があり、設置スペースも必要になる点に注意が必要です。
【決めることリスト⑤】施工会社選び

住みたい家のイメージが固まってきたら、それを実現してくれそうな施工会社を探しましょう。
ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違い
ハウスメーカーの最大の特徴は、規模の大きさ。家づくりがシステム化されているため一定の品質が担保され、工期も比較的短いケースが多いです。ただし、コストは比較的高い傾向があります。また、設計の自由度も工務店や設計事務所よりは低く、ある程度限られた選択肢の中から選ぶ場合が多いでしょう。
一方、工務店は規模もサービスもさまざまです。ハウスメーカーとは違って仕様やプランの制限がない場合が多いので、より希望に合わせた家づくりを行いやすいという魅力があります。ただ、予算や品質、アフターサービスも会社ごとに異なるため、会社選びが非常に重要になります。
設計事務所は設計に特化した会社なので、提案力が期待できます。例えば、個性的なデザインを希望する人や、狭小地や変形地に家を建てたい人にはぴったりです。ただし、品質や工期、アフターサービスは施工会社によってバラバラ。また、思った以上にコストが高くなるといったケースもあります。
見積もり・プランの比較方法
見積りの適正価格を判断するためには、複数社を比較する方法が有効です。その際、2社だとどちらが適正価格か分かりにくいので、3社に依頼するのがおすすめです。
施工会社選びでよくあるトラブルと回避策
施工会社を選ぶ際は、下記のトラブルに注意しましょう。
・契約後にデザインや仕様に不満が出てくる
CMや展示場などの印象だけで施工会社を選んでしまうと、契約後に自分が希望する家を建てづらいことが分かった、といった失敗が起こり得ます。対処法は、事例を見るだけでなく「自分の希望が通るかどうか」を事前に聞くこと。複数の建築会社からの回答を比較することが大切です。
・契約後に営業担当者の態度が変わる
相性の良い営業担当者と出会って契約を結んだと思っていても、後々サービスが悪くなったというケースはゼロではありません。対処法としては、自分の質問に誠実に答えてくれるかどうか、契約前からしっかり見極めることが重要です。それでも見誤ってしまった場合は、営業担当者を変えてもらうという方法もあります。
●後悔しない家づくりのためのスケジュールと優先順位のポイント

注文住宅を建てた後に後悔しないよう、家づくりのスケジュールや優先順位を決める際に注意するべきことを紹介します。
土地が先?間取りが先?ケースによって順番が違うことも
基本的には、先に建築会社を決め、間取りを考えながら土地を探すのがおすすめ。というのも、先に土地を決めてしまうと、建設に使える費用が限られたり、間取りが制限されたりして、希望通りの家を建てられない可能性があるのです。
ただし、どうしても逃したくない土地がある場合は、土地を購入する選択肢も検討すると良いでしょう。
予算配分に失敗すると、途中でやりたいことができなくなる
注文住宅を建てる際は、予算の管理にも気をつけておきたいところです。
・予算管理の方法
まずは自己資金(頭金)をいくら出せるか算出し、ローンの借入額と月々の返済額をシミュレーションします。無料のシミュレーションツールなどもあるので、利用してみると良いでしょう。
土地を購入する場合、土地と建物にかかる予算は「4:6」か「3:7」ほどのバランスで考えるのがおすすめです。
・ 費用の見積り方法
建築会社に見積りを取る際、なるべく間取りや設備のグレードを合わせた状態にすると、比較検討しやすくなります。また、予算変動の可能性の有無も確認しておきましょう。
スケジュール遅延を防ぐために大切なこと
家づくりの遅延を防ぐポイントは次の通りです。
・工期管理がしっかりしていて実績がある施工会社を選ぶ
・施工開始後の仕様変更を最小限に抑えられるように事前に仕様をしっかり決める
・設計の確認・決断を迅速にする
決めた内容は必ず記録・共有しておく
注文住宅を造る際には確認することや決めることが非常に多いです。大切なことを忘れたり、連絡不足で後期が遅れたりしないように、決めたことは必ず記録し、すぐに家族や営業担当者に共有するようにしましょう。
チェックリスト:あなたの優先度を整理しよう
これまでに紹介したチェック内容をまとめています。必要に応じてご活用ください。
<予算・資金計画>
・総予算の上限は?
・頭金はいくら出す?
・建築費以外の費用として何がどれくらい必要?
<土地・住環境>
・土地の希望エリアは?
・土地に希望する条件はあるか
・実際の土地は図面通りになっているか
・土地利用の規制はないか
・土地に対して建てられる建物の広さは?
・土地に対して建てられる建物の階数は?
・建物の高さ制限はあるか
・土地と建物の予算のバランスは?
<間取り・デザイン>
・家族構成に合わせた間取りになっているか
・外観や内観のイメージは?
・収納スペースは十分ある?動線は考えられているか
・水回りと寝室の位置は近すぎないか
<設備・性能>
・断熱、耐震性能は十分か
・水回りの設備は使用感に問題ないか
・ライフスタイルに合う給湯システムは?
<施工会社>
・依頼先は希望通りの住まいづくりができるか
・見積もりやプランは適正か
・担当者との相性は?
・スケジュールは問題ないか
●まとめ
注文住宅づくりは、優先順位とスケジュールをしっかり整理しておけば、安心して進めることができます。まずは「予算」と「理想の暮らし」を軸に、自分たちに合った住まいを見つけましょう。
気になることや不明点があれば、ぜひイシンホームへお気軽にご相談いただければと思います。家づくりを楽しみながら、家族にとって本当に心地よい住まいを実現してくださいね。