【注文住宅 住宅ローンの流れ】スムーズな資金調達を実現する基本とは

注文住宅はもちろん、建売住宅やマンションなどマイホームを自己資金だけで持てる方はほぼいません。当然、住宅ローンを利用するのが大前提。ところが、注文住宅の場合住宅ローンの利用の仕方が、建売住宅やマンションに比べ、ちょっと複雑。そこで今回は、注文住宅の資金計画をスムーズに運ぶ上手な住宅ローンの利用法を、基本的な流れに沿って詳しくご紹介。住宅ローンの審査のポイントやよくあるご質問なども併せて解説します。

目次

●注文住宅の住宅ローンの基本

注文住宅のほとんどは住宅ローンを利用して建てられます。ところが住宅ローンは建物が完成して引き渡される時が融資の実行日。これが完成売りの建売住宅やマンションなら融資と支払いのタイミングが同じでシンプルなのですが、注文住宅の場合は建物の完成前から土地代金や建築工事の着手金や中間金などの大きな支払いが発生するため、住宅ローンの利用の仕方も条件によって変わってきます。

そこでまずはじめに、注文住宅で代表的な住宅ローンの利用の仕方を整理しておきます。

◇土地あり・土地なしで変わる注文住宅の住宅ローンの借り方

一般的な注文住宅の住宅ローンの組み方は、次の3種類に大別できます。

・土地はあるので建物のみ住宅ローンを組む

・土地の購入費と家の建築費を一本化して住宅ローンを組む

・土地の代金と建物の建築費の2本立てでローンを組む

<土地ありの場合>

住宅ローンを住宅の建築費のみで組む場合、土地代のローン手続きがないため、諸費用や手続きの手間は軽減されます。

ただし建物が完成してから融資が実行されるので、建築工事の途中で必要となる支払いは、やはり別に準備しておかなければなりません。

「頭金」や「自己資金」で途中の支払いをまかないきれない場合は、「つなぎ融資」を利用することになります。

<土地なしの場合>

土地なしの場合、住宅ローンの利用は次の2つの方法になります。

1.  土地の購入費と家の建築費を一本化して住宅ローンを組む

土地と建物セットで住宅ローンを申し込み、土地の購入費と家の建築費を一本化して住宅ローンを組む方法です。土地代金の決済や建築工事の着手金や中間金の支払いは「つなぎ融資」や「分割融資」を利用します。

この場合、土地探しとハウスメーカー探しを同時に進め、土地が見つかったら「家を建てる費用」の概算を出します。必要な費用の概算をもとに利用する金融機関で住宅ローンの事前審査を受けます。事前審査を通過すれば、土地の購入と建築の契約を締結します。

その後、ローンの本審査を受けて通過すれば、建物の完成・引き渡しとともに、融資が全額実行されます。

メリット

・ローンの手続きがシンプルで諸費用も安く抑えられる

土地の購入費用と家の建築費用のローンを別に組んだ場合はそれぞれの申請や手数料がかかりますが、一本化すれば手続きがシンプルになりローン手数料も安く抑えられます。

デメリット

・土地を決めたらすぐ家の建築計画を組まなければならない

住宅ローンは『住むための土地と建物を担保に融資をする』ローンですから、建物の計画が不明確では審査を受けることができません。ですから時間的余裕がない中で土地の選定から建築計画までを行う必要があります。

・つなぎ融資は金利が高い

つなぎ融資は無担保ローンのため住宅ローンより金利が高く、手数料などもかかるため費用負担は大きくなります。

2.  土地の代金と建物の建築費2本立てでローンを借りる

土地の購入代金と家の建築費用をそれぞれ1つずつ住宅ローン契約する2本立てという方法があります。1本目を土地購入の住宅ローン、2本目を建物購入の住宅ローンとする契約です。

2本立ての場合は、土地の申込み時点で、土地・建物全体に対してローンの仮審査をおこない、土地の契約後、土地分のローン(ローンA)の本審査と契約を経て、土地の引き渡し時にローンAの融資を実行します。その後、建物の契約時に建物分のローン(ローンB)の本審査と契約をし、建物の引き渡し時にローンBの融資実行という流れになります。

土地の手付金や建築工事の着手金や中間金の支払いは「つなぎ融資」や「分割融資」を利用します。

メリット

・土地代金が先行融資される

一般的な住宅ローンの場合、融資の実行が建物の引き渡し時になり土地代金は利息の高いつなぎ融資を使って支払うことになります。2本立ての場合は、土地代金を利息の安い住宅ローンを使って支払うことができます。

デメリット

2本のローン契約に対してそれぞれ事務手数料や印紙代、抵当権設定費用等が必要なので、契約にかかる諸費用が増えることです。

また、土地代に対する融資(1本目)が実行された時点で、その融資への返済義務が発生し、早ければ土地の引き渡しの翌月から返済が始まります。家賃との二重支払いが必要になります。金融機関によっては2本目の住宅ローンの返済開始までは利息だけを支払って二重負担を回避することが可能な場合もあります。

◇つなぎ融資と分割融資

土地の手付金、購入代金、工事の手付金、着工金、中間金などのうち自己資金でまかなえない分は、つなぎ融資、分割融資などを利用して支払う必要があります。

つなぎ融資とは

つなぎ融資とは、住宅ローンの契約をしてからローンが実行されるまでに必要となる工事中の支払いなどの資金を調達するための融資のことです。

住宅ローンは、建物が完成して引き渡されないとローンの実行がされないので融資が下りません。しかし、注文住宅の建築をする際には次のような支払いが融資前に必要となります。

<住宅ローン融資実行前に必要となる支払い>

□土地の購入費用

□契約時必要となる契約金(手付金):工事費全額の10%程度

□着工金:工事費全額の30%程度

□上棟時に必要となる中間金:工事費全体の30%程度

メリット

・自己資金が少なくても、注文住宅が建てられる

・買い時を逃さずにすむ

デメリット

・住宅ローンと比べると金利が高く設定されている

・つなぎ融資と住宅ローンの両方で諸費用がかかる

・住宅ローン控除が利用できない

分割融資とは

分割融資とは、住宅ローンの融資が複数回に分けてされることです。一般的な住宅ローンは建物の完成後、引渡し時に融資が実行されますが、分割融資は完成前に融資を受けることができます。これにより、土地を購入する際や着工時、中間金の支払いに住宅ローンを利用できます。

メリット

・住宅ローンの融資となるので、つなぎ融資よりも金利が低い

・住宅ローン控除の対象となる

デメリット

・取り扱っている金融機関が少ない

・融資実行のたびに手数料が必要

・土地と建物で抵当権を設定するため登記費用が二重になる

・融資が実行されたタイミングで返済が始まる

●注文住宅の住宅ローンを利用する際の基本的な流れ


注文住宅の住宅ローンの大まかな流れを「建物の建築費用より先に土地の代金を借りる」土地先行融資のステップを例に解説します。

(1)   住まいのイメージ・予算の決定

住みたい家のイメージを家族で話し合い、自己資金を考慮しながらローンを無理なく返済できる資金計画を立て、予算を決めます。

(2)   土地探し・ハウスメーカーの決定

条件に合った土地を選び、ハウスメーカーに建築プランの見積もりを依頼します。土地代と建物を建てるための建築費と諸費用の概算を見積もり、自己資金と照らし合わせながら借入希望額を決定します。

(3)   住宅ローン事前審査

ハウスメーカーの概算見積をもとに、土地購入費と建築費用の総額を借入希望額として金融機関に提出し、住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込みます。事前審査は、おおむね1週間程度で完了します。

(4)   土地購入の申込

住宅ローンの事前審査を通過し、本審査(正式審査)に進んだら希望する土地の購入を申し込みます。

(5)   住宅ローン本審査

本審査では返済能力や施主の健康状態、物件の担保価値などを評価し、住宅の登記や建築確認済証など提出書類も精査されます。

審査完了までには2~3週間かかります。

(6)   土地の売買契約

本審査を通過したら土地の売買契約を結びます。この際、売買価格の5~10%程度を「手付金」が必要になります。また、仲介手数料や登記費用などの諸費用も発生します。自己資金でまかなえない場合、つなぎ融資を利用することになります。

(7)   住宅ローンの契約手続き

土地の売買契約を締結したら、住宅ローンの契約手続きを行います。必要書類や提出期限が金融機関によって異なるケースもあるため担当者によく確認することが大切です。

(8)   建築工事の請負契約

住宅ローンの契約が完了したら、工事の手付金を支払って、ハウスメーカーと建物の工事請負契約を結びます。

住宅ローンの本審査の承認が建物の工事請負契約の後になるケースでは、契約書に「住宅ローン特約」の記載があることを忘れずに確認しましょう。これは予定の住宅ローンを借りられなかった場合、契約を解除できるというものです。

(9)   引き渡し時から融資開始

建物完成まではおおむね半年以上の期間を要します。引き渡しの時点で住宅ローンによる融資が実行され、返済がスタートします。

●住宅ローン審査の流れと注意点

住宅ローンの審査は、事前審査と本審査に分かれています。それぞれ審査に必要な書類が異なりますので、事前に用意しておくとスムーズに審査が行われます。

◇事前審査と必要な書類一覧

事前審査は住宅ローンの正式審査を申込む前の簡易的に行われる審査で、住宅ローンを借入れできるかどうかが確認されます。

<事前審査の必要書類>

・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)

・源泉徴収票や納税証明書など収入が分かるもの

・残高証明書(自動車やカードのローンがある場合)

・物件の概要が分かる土地資料や注文住宅の見積書

◇本審査と必要な書類一覧

本審査では返済能力や物件の担保価値を正確に評価し、事前審査よりも詳細に書類が精査されます。事前審査に通過していても、正式審査での承認が保証されているわけではないので注意しましょう。

<本審査の必要書類>

・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)

・源泉徴収票や納税証明書など収入が分かるもの

・不動産売買契約書や工事請負契約書など物件関連書類

・印鑑(実印)/印鑑登録証明書

・住民票

・健康保険証

◇住宅ローン審査のポイント

・完済時の年齢

住宅ローンには完済時年齢の上限が設定されており、多くの金融機関では80歳を上限としています。

・健康状態

住宅ローンは「団体信用生命保険(通称『団信』)」の加入が必須となるのが一般的。通常の生命保険と同様に、現在の健康状態や既往歴などを告知する必要があります。

・勤務に関する情報

審査では、現在の勤務先での勤続年数が確認されます。ローンの申し込み自体が勤続年数1年以上を基準とする金融機関もあります。

・返済比率

年収に対して年間の返済額が多すぎると、審査が通りにくくなる可能性があります。返済比率25~35%程度が一つの目安とされています。また返済額には住宅ローンだけでなく、自動車ローンその他の借入れすべてを含みます。

・家族に関する情報

家族構成や世帯人数は支出額に影響するため、住民票の提出を求められ、同居する家族の情報も確認されます。

・購入物件の担保評価

万が一、住宅ローンが返済不能となった場合には、金融機関が担保となる不動産を売却して回収します。そのため、物件の評価額は審査に影響します。

・個人信用情報

過去の借入金の延滞履歴なども調査されます。クレジットカードの延滞履歴などは、審査に影響するため注意が必要です。

◇住宅ローン審査の前に押さえておきたいポイント

審査をスムーズにするために、申込みの前に押さえておきたい2つのポイントを紹介します。

・無理のない返済計画を検討する

返済比率が大きいと審査が厳しくなる可能性があるため、申込みの前に返済比率を計算し、適切な借入可能額を把握して現実的な返済計画を立てることが大切です。

返済比率は、理想的には手取り収入の20~25%。一般的には30~35%が目安です。

・可能であればほかのローンの返済は済ませておく

ほかのローンは返済の負担と見なされるため、可能であれば一括返済して整理しておくのがおすすめです。

また金融機関によっては、実際の利用の有無にかかわらずキャッシングの利用枠自体を借入れの可能性として評価する場合もあるため、見直しを検討するとよいでしょう。

●住宅ローン審査に通らなかった場合の対処法

借入希望額を下げる

間取りや建築グレードの再考などで住宅予算を切り詰め、借入希望額を下げることが現実的な対処法です。また、可能であれば両親や祖父母からの援助などで頭金を増やして借入額を減らすことも有効です。

収入合算を利用する

収入合算とは、申込者の収入だけではなく、配偶者や親子などの収入を合算した金額に基づき住宅ローンを申請する方法です。申込時の収入額が増えることで、審査に通る可能性が高くります。

ほかの金融機関の審査を受ける

ローン審査の基準は金融機関ごとに異なるため、一つの金融機関で落ちてもほかの金融機関では大丈夫な場合があります。複数の選択肢を検討することで可能性が広がります。

借入れなどを整理して再申請する

例えば、複数のカードローンなどの申込みがあったり、クレジットの借入額が多いと審査に不利な影響を与える可能性があります。借入れなどを整理しないで審査に落ちた場合は、整理した後に期間を空けて再度申込むのも一つの方法です。

●失敗しない住宅ローン選びのコツ

住宅ローンには複数の金利タイプがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。簡単に整理して違いを把握しておきましょう。


◇ 金利タイプの選び方

全期間固定金利型

住宅ローンの返済期間中ずっと金利が変わらないタイプです。

メリット

・借入段階で返済総額が確定し、安定した返済計画を立てられる。

・金利変動によって返済額が増えるリスクがない。

デメリット

・変動金利型に比べ金利が高く設定されている。

変動金利型

変動金利型は、返済期間中に金利が見直され変動するタイプです。

メリット

・金利が安く、借入時点での返済総額を抑えられる。

デメリット

・金利が上昇すると毎月の返済負担が増える。

期間選択固定金利型

固定金利型と変動金利型の特徴を併せ持つタイプで、一定期間は固定金利で、その後は変動・固定を選べる。

メリット

・市場やご家庭の状況に応じて金利を選択できる

デメリット

・金利が上昇すると毎月の返済負担が増える。

・金利の動向をチェックし損をしない選択をする必要がある。


◇繰り上げ返済・借り換えを視野に入れる方法

多くの人は住宅ローンを一度組んだらそれで終わりと考えていますが、住宅ローンを上手に見直すことで、返済総額を減らしたり月々の支払い金額を安くしたりお得なメリットがあります。少なくとも1年に1度は、自分の住宅ローンを見直すようにしましょう。

ただし、繰り上げ返済や借り換えは手数料がかかりますからその金額を含めメリットを計算する必要があります。

借り換え

簡単にいえば、ローンの乗り換え。返済中のローンよりも金利の低いローンに借り換えることができれば、総返済額を大きく減らすことができます。

<借り換えで期待できるメリット>

・今よりも返済額を少なくできる

・当初固定期間が終了するタイミングで借り換えることで金利を抑えられる

・返済額は同じでも、現在よりも保障の手厚い団信に入ることができる

・金利は上がっても、固定金利にすることで金利変動リスクを避けられる

繰上げ返済

繰上げ返済とは、通常のローンの返済とは別に、手元にある資金でローンを繰り上げて返済する方法です。繰り上げ返済した資金は、ローンの元金部分に充当されるので、ローン残高が減り利息負担を減らすことができます。

繰り上げ返済には、実行後の毎月返済額を変えずに残りの期間を短くする「期間短縮型」と、残りの期間を変えずに毎月返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類があります。

<繰上げ返済で期待できるメリット>

・ローン完済までの期間が短くでき老後資金に余裕ができる

・毎月の返済額を下ることで生活資金にゆとりが生まれる

・ローンの返済総額を安くできる

●FAQ


Q.住宅ローンが使えない諸費用は?

住宅ローンの手数料や地鎮祭・上棟式の費用などは、原則的に現金での支払いが必要になります。引っ越し費用、家具の購入代金なども住宅ローンで支払うことはできません。ただし、金融機関によっては諸費用を含めて住宅ローンを組める場合もあります。申し込む際にどこまで住宅ローンに含められるのかを確認しておくといいでしょう。

Q.店頭表示金利って何?

住宅ローン金利の定価みたいなものです。実際には、審査により最終的な金利が決定します。その店頭金利から、どれくらい優遇されるかがポイントです。

職業、勤務先、年収、資産や物件の評価額、頭金の額などをを元に割引率が算出されます。

●まとめ

注文住宅の住宅ローンを考える際にネックになるのが土地購入のタイミング。イシンホームでは豊富な経験と土地探しのネットワークをベースに、土地と注文住宅を一体でご提案。多くの施主様から、住宅ローンの利用がスムーズだったとご好評をいただいております。注文住宅を検討する中で、土地探しや住宅ローンでご不明な点がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご要望に叶う情報やご提案で、理想の注文住宅づくりをサポートいたします。

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本社(総合戦略本部)

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