家を建てる際に多くの人が利用する住宅ローン。ただ、どのような種類があるのか、頭金はどれぐらい必要なのか、返済計画はどのように立てればいいのか、住宅以外の諸費用はどの程度かかるのかなど、わからないことが多いですよね。そこで今回は、住宅ローンについてのさまざまな疑問を解決。併せて、当社が手掛ける注文住宅で無理なく住宅ローンを返済する資金計画についても提案します。
●住宅ローンを組む前に、資金計画を立てよう
注文住宅の費用内訳
注文住宅を建てるにあたって、所有地がない場合は、まず土地を購入するところから進めなければなりません。さらに、「本体建築工事費」「別途工事費(付帯工事費)」「諸費用」の3つが必要になります。
・土地購入費用
不動産会社を通じて土地を購入する場合、仲介手数料や印紙代、登録免許税が必要になります。加えて、土地を所有すると、固定資産税や都市計画税などの税金も課されます。
・建物本体工事費用
注文住宅を建てる際に必要な費用のうち、約70%以上を占めるといわれているのが建物本体の工事費用です。基礎工事や内外装の工事、設計料などが含まれます。
・別途工事費(付帯工事費)
総費用の15~20%とされているのが、建物以外の部分の工事にかかる別途工事費(付帯工事費)。具体的には、門や塀、駐車場や庭などの外構工事や照明やエアコン、カーテンなどの購入・取り付け工事、古い家の解体費用などです。
・諸費用
建築工事費用全体の10%程度とされるのが諸費用。ハウスメーカーや工務店との契約にかかる費用、不動産取得・住宅ローンにかかる税金、ローンに関する費用、保険料、家具や家電の購入費用、引っ越し代などが含まれます。合算すると予想以上の出費になることもあるため、余裕を持って予算設定をする必要があります。
▽住宅ローンに含めやすい費用
住宅ローン保証料・手数料、登記費用、契約印紙代、団体信用生命保険料、火災保険料
▽住宅ローンの対象外となりやすい費用
家具や家電の購入費用、引っ越し代
頭金はゼロでもいい? 一般的にはどのくらい出すの?
頭金とは、住宅の代金の一部として最初に支払う自己資金。住宅ローンの頭金は、一般的に総額の10~20%程度といわれています。頭金を準備する一番のメリットは、なんといっても毎月の返済額が抑えられること。金融機関によっては、頭金の割合によって金利優遇を受けられたり、住宅ローン審査に通りやすくなったりするケースもあります。その反面、急な出費に対応できないこともあるため、ある程度の金額は手元に残しておくと安心です。
一方、頭金なしで住宅ローンを組むことも可能。月々の支払額は増えてしまいますが、無理をして頭金を支払わず、生活費や将来の貯蓄のために資金を残しておくのもアリです。余裕があれば早めに繰り上げ返済することも可能です。
●住宅ローンの種類や利率について解説
住宅ローンを選ぶ際には、ついつい金利だけに目が向きがちですが、それぞれのメリットとデメリットを知ることが大切です。自分に合ったタイプを選んで無理のない資金計画を立てましょう。
変動金利型
・概要
借入期間中に金利が変動し、5年ごとに返済額が変更になるパターン。一般的にほかの金利タイプより金利が低く、金利下降局面ではメリットをいち早く受けることが可能。一方、金利負担が増加しやすいうえ、返済計画が立てにくいというデメリットも。最悪、元金がまったく減らず、利息も支払いきれない「未払利息」が発生する可能性があります。
・こんな人におすすめ
金利変動リスクが高いことから、将来金利が上昇しても返済できる経済的余裕がある人に向いているといえます。また、借入額が少ない場合や借入期間が短い場合も向いています。
固定金利期間選択型
・概要
借入当初から、2年・3年・5年・10年といった一定期間の金利が固定されているパターン。固定金利期間が終了した時点で、改めて固定金利期間選択型や変動金利型を再選択します。期間中は金利変動リスクを回避できるところがメリットですが、終了時に金利が上昇している場合には、返済額が急激に上がる可能性があります。
・こんな人におすすめ
固定金利期間終了時に、金利次第で返済額が大きく変動する可能性があるため、期間終了までにある程度の貯蓄ができる人やまとまったお金が入る人、教育費などの大きな支出が終わり、住宅ローンの返済額を増やせる人なども向いているでしょう。
全期間固定金利型
・概要
民間金融機関と住宅金融支援機構が提供しているフラット35などでおなじみの、借入当初から返済完了までの全返済期間の金利があらかじめ確定されているパターン。金利変動リスクを回避できるうえに、返済額が決まっていて家計管理がしやすいところがメリット。一部には、6年目以降や11年目以降に、借入段階であらかじめ決められた金利に変更となる段階金利型も。デメリットとしては、他のパターンよりも金利が高いこと。金利下降局面において、金利低下のメリットを受けることもできません。
・こんな人におすすめ
将来、金利が上昇して返済額が増加した場合に、返済が困難になる人や、教育費などほかの資金準備が難しくなる人におすすめです。また、返済額が増える可能性があることに不安を感じるような人には安心でしょう。
●住宅ローン審査のポイントと対策をチェック!
住宅ローンを借りるためには、金融機関の定める利用条件を満たし、さらに審査に通る必要があります。流れを把握して、審査に向けた準備を始めましょう。
流れを確認
住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2段階が一般的です。事前審査では、本人の返済能力などを調査し、いくらくらいまでの融資が可能かを確認。金融機関にもよりますが、だいたい3、4日ほどで結果が出ます。事前審査を通過した後は本審査に入ります。こちらの審査期間は1~2週間程度。スケジュールに余裕をもっておくことが大切です。
審査で落とされないためのポイント
・健康状態
大多数の金融機関で、団体信用生命保険に加入することが条件となっています。
・年齢
審査の際は年齢を重視されます。完済時に80歳未満であることが目安。また、借入時の年齢が若すぎることで安定して返済できないと判断され、審査に通りづらくなることもあるようです。
・担保評価
金融機関は住宅ローンの支払いが滞る可能性に備え、購入する不動産を担保に抵当権を設定します。そのため、物件に十分な担保価値があるかが審査の判断基準になるといえるのです。
・返済負担率
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合。一般的に無理のない返済負担率は20~25%までといわれていて、それ以上になると滞納の確率が高いと判断されてしまい、審査を通過することが難しくなります。
・個人信用情報
個人信用情報とは、クレジットカードやローンに関する個人の取引事実を記録したものです。過去にクレジットカードの返済遅延を起こしていた場合などは審査で不利となるとされています。
●住宅ローンには減税制度がある!?
マイホームを購入すると、税負担を軽減できる住宅ローン減税の対象となります。家計の大きな割合を占める住宅ローンの負担を減らすことができてお得です。
新築住宅の場合、13年間の控除期間がある
住宅ローンを借り入れて住宅を新築した場合には、所得税から年末までに残っているローンの0.7%が最大13年間控除されます。ちなみに、所得税から控除しきれない場合は住民税から控除されます。
減税を受けるために満たす必要がある要件
住宅ローン減税を受けるためには、一定の省エネ性能基準を満たしている、床面積が50㎡以上、合計所得が2000万円以下、引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に居住する、ローン返済期間が10年以上などといった要件があります。
環境性能を上げるほど、減税制度の恩恵を受けられる!
住宅ローン控除では、購入する住居の種類に合わせて、住宅ローン控除の対象となる借入限度額が4段階に分かれています。環境性能が高い住宅ほど、住宅ローン減税の対象となる借入限度額が高くなります。
▽住宅ローン減税の借入限度額(2024)
・長期優良住宅:4500万円
・低炭素住宅:4500万円
・ZEH水準省エネ住宅:3500万円
・省エネ基準適合住宅:3000万円
減税を受けるためにこれだけはチェック!
住宅ローン減税を受ける場合、入居した翌年に必ず確定申告をしなければなりません。2年目以降は年末調整での手続きが可能ですが、個人事業主や年収2000万円以上の会社員などは、2年目以降も初年度と同じように確定申告が必要です。
●返済計画の立て方をチェック!
住宅ローンの返済期間は、基本的に30~35年が目安。また、住宅ローンの年間返済額は世帯収入の20%以下であれば、ゆとりのある暮らしができるといわれています。住宅ローンの借入額は、購入資金の約65~80%が望ましいでしょう。
●繰り上げ返済って実際どう?
繰り上げ返済には、毎月の返済額はそのままで返済期間を短縮する「期間短縮型」と返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類。それぞれのメリット・デメリットを紹介しましょう。
・メリット
「期間短縮型」は、完済までの期間が短くなるため支払う予定だった支払利息を減らせるというメリットが、一方「返済額軽減型」は月々の支払額が抑えられるため、家計への効果を実感しやすいというメリットがあります。
・デメリット
2種類とも一時的に手元の資金が大きく減ってしまうことがデメリットです。預貯金から一気に返済を行うと、大きな出費が必要となった場合に生活を圧迫してしまう恐れがあります。さらに、ローン残高が減ると、住宅ローン控除の控除額が減ってしまう可能性もあります。また、金融機関によっては繰り上げ返済できる金額に制限を設けていたり、手数料がかかったりする場合も。事前に確認しておきましょう。
●返済が困難になった場合はどうする?
長期的に返済し続けなければならない住宅ローン。支払いが困難になった場合にはどのように対処すればいいかを解説します。
収支を見直す
まずは支出を見直しましょう。スマートフォンや車、保険など、支出を減らせる部分があるかもしれません。また、個人の収入については、短期間で大きく増やすことは難しいため、同居家族で働ける人がいないか考えてみましょう。
金融機関へ相談する
金融機関へ相談すれば、毎月の返済額を少なくできる可能性も。支払い猶予が与えられるケースもあります。
住宅ローンを借り換える
低金利の住宅ローンに借り換えることも選択肢の一つです。特に、固定金利の住宅ローンを契約している場合は、変動金利に借り換えることで、金利を抑えられるかもしれません。ただし、将来の金利上昇によって支払い額が増える恐れもあるほか、借り換えには手数料がかかるため、それらを考慮して慎重に判断しましょう。
公的な融資制度を利用する
公的な融資制度であれば、無金利または低金利でお金を借りられる場合があります。一時的な収入減少や急な出費への対策として検討してみてください。
●イシンホームでは住宅ローン返済に困らない!? その理由を解説!
イシンホームでは太陽光発電を使った売電をおすすめしています。初期費用が実質0円のうえに、残った売電は収益となります。電気代も安くなり、住宅ローンの負担を減らすことが可能です。
●FAQ
過去にクレジットカードの支払いを滞納したことがあります。それでも住宅ローンは組めますか?
一度でもクレジットカードの支払いを遅延してしまうと、指定信用情報機関の「信用情報」に記録が残ってしまいます。支払を延滞した期間が短い場合、記録が残る期間は2年間で、金融機関や状況によっては記録があっても住宅ローンを借りられるケースもあります。不安な場合は、個人信用機関に問い合わせて自分の状態を確認することもできます。
ボーナス払いを取り入れることのメリットやデメリットを教えてください。
ボーナス払いの導入は、毎月の負担を軽減する効果があります。日々の生活費に余裕が生まれるだけでなく、希望する借入れを可能にしてくれるでしょう。ただし、ボーナスを業績連動としいる企業も多く、勤務先の業績次第で、ボーナスが想定より少なかったり支給されなかったりするケースも。一定の蓄えをしたうえで、ボーナス払いの割合をある程度少なく設定しておく必要があります。
●まとめ
家を建てるときに気になるのはやはりお金に関すること。自分に合った住宅ローンを選んで、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。それぞれのケースに応じたアドバイスもさせていただきますので、ぜひ気軽にご相談ください。