
「子どもが安全に過ごせるように、常に見守っていたい」「でも、仕事と両立しながら増え続ける家事も効率よくこなしたい」と子育てをしやすい家づくりで悩んでいませんか?
子育て期の家づくりが「普通の間取り」と決定的に違うのは、住みやすさ以外に「子育てのしやすさ」と「家事の効率」を同時に実現する必要がある点にあります。
この記事では、子育てに適した間取りのポイントや参考になる実例をわかりやすく紹介します。
目次
1. 子育てしやすい間取りで大切なポイント5つ
まず、子育てしやすい家づくりで大切なポイントを5つ紹介します。家族みんなが長く快適に暮らすために間取り検討の参考にしてくださいね。
① 動線|家事と育児を両立する「回遊&ショートカット動線」
子育て期の住まいでは、家事や生活における移動経路、すなわち「動線」の計画が暮らしの質を大きく左右します。

回遊動線
「回遊動線」とは、目的地に複数のルートでスムーズに移動できるようにした間取りのことです。
例えば、キッチン⇔ランドリールーム⇔ファミリークローゼットが繋がる間取りは、「ながら家事」を可能にし、家事時間を大幅に短縮してくれます。
料理の合間に洗濯物を片付け、そのままクローゼットにしまうといった一連の作業がスムーズに行えるため、共働きで時間に追われがちなご家庭に特におすすめです。
ショートカット動線
特定の目的を最短距離で結ぶ「ショートカット動線」も家事の効率化に有効です。
例えば、玄関からパントリーや洗面所に直行できる間取りは、重い買い物袋を抱えてリビングを横切る必要がなく、また公園で泥だらけになった子どもをすぐにケアできるため、無駄な動きと室内の汚れを防いでくれます。
② 収納|自分でできるを育む「適材適所の分散収納」
家が散らかる大きな原因は、モノの「定位置」が決まっていないことです。
そこで有効なのが、使う場所の近くに収納を分散させる「適材適所」の考え方です。このような仕組みづくりが、子どもの「自分で片付ける」という習慣を自然に育むことにも繋がります。
玄関
玄関には、ベビーカーや三輪車、外遊びグッズなどを気兼ねなく収納できる土間収納が重宝します。
土足のまま出入りできるため、汚れたものを一旦置いておけるのもメリットです。
リビング
リビングでは、子どもが自分で出し入れできる高さにおもちゃ箱を置けるスペースや、学用品を置くスタディカウンター横の棚などを設けるのがおすすめです。
自分のモノを管理する場所を明確にすることで、子どもが片付けを「自分ごと」として捉えやすくなります。
キッチン
キッチンには、まとめ買いした食品や日用品をストックしておけるパントリーがあると非常に便利です。
キッチンからのアクセスが良い場所に設置することで、調理中の出し入れもスムーズになり、家事効率が向上します。
③ 音対策|家族の心地よい距離感を保つ「音のゾーニング」
家族とはいえ、それぞれの生活リズムは異なります。
「子どもが寝た後に映画を楽しみたい」「在宅でのオンライン会議中に、子どもの声が響いてほしくない」など、家族全員が快適な暮らしを送るためには音への配慮は不可欠です。
プライバシーを守る音対策
具体的な工夫としては、寝室とLDKや水回りを意図的に離して配置したり、リビング階段の入口にドアを設けたりする方法などがあります。
また、壁の中に吸音・遮音性能の高い断熱材を入れることで、部屋ごとのプライバシー保護や外部への音漏れ対策も可能です。
吹き抜けは、開放感や採光の面で大きな魅力がありますが、音が家全体に筒抜けになりやすいというデメリットも存在します。この特性をよく理解し、採用するならば寝室の位置を工夫するなど、慎重な計画が求められます。
④ 安全&衛生|子どもとの暮らしを支える「見守り設計」
子どもの健やかな成長を守ることは、間取り計画における最優先事項です。子どもの安全は、物理的な対策と親の「見守りやすさ」の両面から考える必要があります。

見守り
子どもの様子を見守るには、キッチンからリビングや隣接する和室まで、死角が少なく見渡せるレイアウトが理想です。
料理などの家事をしている時でも、子どもの姿が視界に入ることで、危険な行動にすぐ気づくことができますよ。
安全対策
親が注意していても、トラブルが防げないこともあります。子どもが安全に過ごせる仕組みづくりをしましょう。
・階段やキッチンへのベビーゲート設置
・窓の高さや開閉方法を工夫して転落を防止
・子どもの手が届かない高さにコンセントを設置
・家具はなるべく角が少ないものを選定
上記の例を参考に、子どもを守る家について考えていきましょう。
衛生
外から持ち込んだウイルスや細菌を室内に広げない工夫として、リビングを通らずに玄関から洗面所に直行できる「手洗い・うがい動線」が有効です。
特に小さなお子さんがいるご家庭では、感染症対策として非常におすすめです。
⑤ 可変性|リフォームのコストを抑える「将来の変化を見据えた設計」
子どもの成長に応じて部屋を2つに分割するといった柔軟性ある間取りだと、将来の住み替えやリフォームにかかるコストを削減しやすくなります。
具体的には、将来、子ども部屋を仕切る予定の壁に、あらかじめ下地(壁を固定するための補強材)を入れておく方法などが考えられます。また、照明やコンセント、ドアや収納も2つずつ設置することで、後から簡単な間仕切り壁を設置するだけで、スムーズに部屋を分割できます。
初期費用は多少増える可能性がありますが、将来性を考慮して検討してくださいね。
2. 年齢別!子育てに適した間取りプラン|赤ちゃんからの成長に寄り添う家づくり
子どもが成長するにつれて、最適な間取りの形も変わっていきます。ここでは、0歳の赤ちゃん期から、各成長ステージで活躍する間取りの工夫をご紹介します。

家族の将来の姿をイメージしながら読んでみてくださいね。
赤ちゃん期(0~2歳)|安全第一の見守りできる間取り
この時期は、何よりも安全の確保と、お世話のしやすさが最優先です。
夜中の授乳や頻繁なおむつ替えで親は心身ともに疲れやすいため、間取りの工夫で少しでも負担を軽減することが大切です。
①リビング横の小上がり和室
畳はクッション性が高く、赤ちゃんのお昼寝や遊び場に最適なスペースになります。
また、親も隣で添い寝しやすく、段差に腰掛ければ授乳もできますよ。
②キッチン
対面キッチンやオープンキッチンは、料理中も常に赤ちゃんの様子を確認できるため、万が一何かあってもすぐに気づいて対応できます。
親の姿が見えることは赤ちゃんの安心感にも繋がり、成長後も自然にコミュニケーションがとりやすい空間となります。
③ベビーゲートの設置
階段の入口やキッチンなど、赤ちゃんにとって危険な場所は意外と多いものです。
あらかじめベビーゲートを設置してガードできるようにすると、安心して家事を進めやすいですよ。
キッズ期(3~6 歳)|好奇心と体力を育む間取り
行動範囲が一気に広がり、体力も有り余るこの時期。「お家の中でどうやってエネルギーを発散させ、好奇心を満たしてあげるか」が間取りづくりのひとつのテーマになります。

①リビングの一角に設ける「キッズスペース」
リビングの一角にラグを敷いたり、背の低い収納棚で緩やかに空間を区切ったりすることで、おもちゃを広げて遊ぶための専用エリアとしての「ゾーニング」が可能になります。
これにより、おもちゃがリビング全体に散乱するのを防ぎ、子ども自身も片付けの習慣を身につけやすくなります。
②壁面本棚の設置
親の蔵書や趣味の本と一緒に絵本を並べることで、子どもが自然に本に親しむ機会が生まれます。
「これはなに?」という問いかけから、親子のコミュニケーションが深まり、知的好奇心を豊かに育みます。
③玄関から洗面・浴室への直結動線
公園で泥だらけになって帰ってきても、リビングを通らずに直接お風呂へ向かえる動線は衛生的で便利です。
家の中に汚れを持ち込まれるストレスや、「早く着替えて!」と子どもを急かす回数を減らすことができますよ。
ジュニア期(7~12 歳)|学習&自立心を育む間取り
学習の習慣を身につけ、少しずつ自立心を育んでいく大切な時期です。自分の部屋にこもりがちになるのを防ぎ、家族とのコミュニケーションをとりやすい工夫が求められます。

①リビング学習スペース
リビングに設置したカウンターなど学習スペースは、分からないことをすぐに質問できる環境で、学習効率の向上にも繋がります。
また、親にとっても、子どもを見守ることができる点が嬉しいポイントです。日中は、在宅勤務のワークスペースとして活用することもでき、一石二鳥の便利な空間です。
②ファミリークローゼット内の個人スペース
家族の衣類をまとめて収納するファミリークローゼットの中に、子ども一人ひとりの専用スペースを設けるのも良い方法です。
「自分の服や学用品は自分で管理する」という習慣を身につけさせるための、効果的な仕組みとなります。
③リビングイン階段
「おはよう」などの声が自然に家族に届き、顔を合わせる機会が生まれるリビングイン階段は、子どもの様子や表情の変化に気づきやすくなるというメリットがあります。
また、リビングを通って子ども部屋へ行く動線は、友人を連れて来た際などの見守りにも適しています。
ティーン期(13~18 歳)|プライバシーとコミュケーションを両立する間取り
子どものプライバシーと家族のコミュニケーションを大切にしたいティーン期。間取りによって、完全に孤立させない「自然な距離感」をデザインすることが重要です。
個室とLDKの配置
子ども部屋がリビングに直接面していると、生活音や話し声が気になり、プライバシーが保ちにくい場合があります。
廊下を一枚挟む、あるいはLDKと少し離すなど、プライベートと家族が集う空間を意識的に分ける配慮もひとつの手です。[1]
3. 成功&失敗事例に学ぶ!子育てに適した間取りのアイデア
理想の間取りと子育て向けの間取りにはギャップがある場合もあります。この章では、よくある成功・失敗事例をもとに、家づくりのヒントを提供します。

成功例① 洗濯をスムーズにするランドリールーム+ファミリークローゼット
家事の時短は家づくりにおける重要なテーマの1つです。特に「洗う・干す・畳む・しまう」という工程が多い洗濯の効率化は、暮らしの質に大きく影響します。
洗濯の効率化におすすめなのが、「ランドリールーム」や「脱衣室兼用の物干しスペース」と「ファミリークローゼット」を隣接させる間取りです。洗濯物を持って家の中を何度も往復する必要がなくなり、一連の作業が最小限の移動で完結します。
この動線の短縮によって生まれた時間的なゆとりは、子どもと向き合う時間や休息時間となり、暮らしの余裕を生むでしょう。
成功例② 買い物のストレスを解消する収納と動線
買い物後の片付けをスムーズにするのが、玄関から直接アクセスできる「土間収納」や「パントリー」を設け、そこからキッチンへと繋がる動線を確保する設計です。
週末のまとめ買いや、幼い子どもを連れての買い物は、荷物の量も多くなりがちで、帰宅後の負担が大きいのが実情です。これにより、重い荷物を抱えてリビングを横切る必要がなくなり、収納作業を大幅に効率化しやすいです。
成功例③ リビング内和室で多目的スペースを確保
リビングは単に広いだけでなく、多目的に使えるスペースを設けると利便性が増します。その代表例が、リビングに隣接する和室です。この空間は、子どものライフステージに応じて役割を変えることができるのが大きな魅力。
・赤ちゃん期は安全な遊び場
・キッズ期は学習スペース
・来客時の客間
・洗濯物を畳むなどの家事スペース
としても機能します。さらに、小上がりにして床下を収納にすれば、散らかりがちなリビングの収納問題解決にも貢献しますよ。
失敗例① リビング階段で冷暖房効率が低下
リビング階段は、計画時の配慮不足が後悔に繋がりやすい間取りのため注意が必要です。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する性質があるため、家全体の断熱・気密性能が十分に高くないと、冬は2階からの冷気で足元が寒く、夏は1階の冷房が2階へ逃げ、冷暖房効率が低下します。これは光熱費が増える要因にもなり得ます。
対策には、高気密・高断熱仕様の住宅を選ぶことが大前提となります。その上で、階段の入口にドアや断熱性の高いロールスクリーンを設置する、全館空調を導入するなどの工夫がおすすめです。
失敗例② コンセント不足・位置の失敗でタコ足配線だらけに

子どもの成長に寄り添った家づくりで注意したいのが、コンセントの数と位置の失敗です。計画段階で、具体的な家具配置や家電の使用シーンを十分にシミュレーションできていないことが主な原因とされています。
子どもの成長に伴い、ゲーム機や学習用端末など使用する家電は増えるため、設計段階で将来的に必要になる数を想定して配置するのがおすすめです。
間取り図に家具を書き込みながら、どこで何を使うかを具体的にリストアップして失敗を防ぎましょう。

4. イシンホームがかなえる!子育てしやすい間取りの戸建て実例
理論やポイントだけでなく、実際にどのような家が建てられているのか気になりますよね。ここでは、イシンホームが実現した、子育てのしやすさと快適な暮らしを両立した戸建て実例を3つ紹介します。
実例①回遊動線で家事を効率化&子どもとの時間を大切にできる家
水回りからキッチン、ダイニング、和室が10歩以内に集約した回遊動線が特徴の住まい。料理をしながら洗濯機を回し、乾いた服をしまう、という一連の動作が最短距離で叶います。
この効率的な動線によって生まれた時間的なゆとりで、家族のコミュニケーションを豊かにする工夫が詰まっています。
実例②アイデア空間で遊び心と快適さを両立した家
LDKに隣接した「おもしろMAXBOX」で空間を有効活用。子どもは安心して遊びに集中でき、親もその様子を見守りやすいリビング空間を実現しました。
玄関からすぐに洗面室へ行ける動線で、ウイルスやホコリを持ち込まない動線づくりもばっちり。
実例③家事動線と太陽光で共働き夫婦の負担を減らす家
「家事」「子育て」「ローン返済」という3つの負担を軽減する工夫が詰まった住まいは、イシンホームの「家事1/2設計」や充実した標準装備による高い住宅性能が魅力です。
大容量の太陽光パネルによる売電で家計の負担も減らしており、家族に大きな安心感をもたらしています。
5. 子育てにおすすめな設備
間取りだけでなく、最新の設備の導入も子育てしやすい暮らしのサポートになります。この章では、おすすめの設備を3つご紹介します。
スマートロック

スマートロックはスマートフォンで施錠・解錠ができ、オートロック機能も搭載されたシステムです。子どもに鍵を持たせる不安や、買い物帰りで両手がふさがっている時の不便さから解放されます。
また、製品によっては、子どもの帰宅をスマホに通知する機能もあり、防犯対策としても非常に便利です。
タッチレス水栓
タッチレス水栓は、汚れた手で蛇口に触れずに水を出せるため衛生的です。特に、子どもが外から帰ってきた時の手洗いや生肉に触れた後に重宝します。
センサーに手をかざすだけで水が出るので、小さなお子さんでも簡単に使え、水の出しっぱなしを防ぐ節水効果も期待できますよ。
IoT照明
IoT照明は、スマートフォンや音声で照明をコントロールできるシステムです。
時間帯に合わせて光の色(暖色・白色)や明るさを自動で変える設定も可能で、朝はスッキリ目覚める光、夜はリラックスできる光、といったように子どもの生活リズムを整える仕組みづくりにも役立ちます。
外出先でも操作できるため、電気を消し忘れたときも対処できて安心です。
6. 子育て間取りに関するよくある質問
この章では、子育ての間取りについてよくある疑問にお答えします。
Q1. 1LDKで子育てできるのは何歳までですか?
A. 国土交通省の資料によると、子ども1人(3人家族)の場合、最低限必要な面積は35㎡(1LDK〜2DK相当)とされています。このため、物理的には1LDKでも子育ては可能。特に動きの少ない赤ちゃん期〜未就学児であれば対応しやすいでしょう。
しかし、安全な遊び場や収納スペースの確保などを考慮すると、1lDKでは手狭に感じるかもしれません。子ども部屋が必要になるタイミングなどを考慮して、住み替えの時期を検討しましょう。
参考:国土交通省 住生活基本計画における「水準」についてhttps://www.mlit.go.jp/common/001098415.pdf
Q2.子育てしやすい家の特徴は?
A. 子育てしやすい家の特徴は、一言でいえば「家族のコミュニケーションが自然に生まれ、日々の家事が効率的に進む家」です。具体的には、本記事の1章で解説した5つのポイントが挙げられます。
・家事と育児を効率化&両立する動線
・充実した適材適所の収納
・プライバシーを守る音の対策
・子どもの安全性&衛生対策の確保
・成長に合わせて適応できる可変性
これらをバランス良く取り入れることが、長く快適に暮らせる住まいの鍵となります。
▷詳しくは「1. 子育てしやすい間取りで大切なポイント5つ[8] 」をご覧ください。
7. まとめ|子育てしやすい間取りで快適な暮らしを
「子育てしやすい家」には、子どもの健やかな成長と家事の効率化を支え、日々の暮らしに寄り添う空間づくりが大切です。
本記事で紹介したポイントを基に、子どもの成長段階に合わせた間取りを計画することが、リフォーム費用を抑え、長く愛せる住まいを実現します。これは、単なる機能性だけでなく、家族の心のゆとりを生み出すための大切な投資と言えるでしょう。
完璧な間取りプランは、家族の数だけ存在します。ぜひこの記事を参考に、あなたのご家族にとって快適な家を見つけてくださいね。

