雨風を遮り、出入りをスムーズに! 注文住宅で玄関ポーチを造る際に押さえておきたいポイント

玄関ポーチは、住宅の印象に大きな影響を与えるポイントの一つ。せっかくプランニングするのであれば、デザイン性だけでなく実用性も重視したいですよね。ここでは、玄関ポーチについての詳しい解説や、プランニングの際に押さえておくべきポイントなどについてご紹介します。

●玄関ポーチとは?

玄関ポーチとは、主に玄関前の庇(ひさし)の下に広がる空間のこと。雨風や日差しを遮るだけでなく、ベビーカーや自転車を置いたり、植物を飾ったりする場所としても使用できます。デザインは、庇だけを配したのシンプルなものから、目隠しとしてフェンスや壁を設けたものなどさまざま。住宅の印象を左右するうえに、毎日使用するスペースだからこそ、しっかりと考えましょう。

玄関ポーチと混同しやすい言葉に、「玄関アプローチ」があります。その違いを押さえておくと、家づくりに対する理解がより深まります。玄関ポーチを考える際に役立つので知っておきましょう。

「玄関アプローチ」とは、敷地の入口から玄関までの部分のこと。文字通り、玄関にアプローチするための道の部分を指します。玄関ポーチは住宅工事であるのに対して「玄関アプローチ」は外構工事の範疇になります。住まいの空間づくりという観点から考えると、「玄関アプローチ」と玄関ポーチにつながりを持たせた設計により、美観や使い勝手は圧倒的に向上します。

「玄関アプローチ」の施工費は、住宅工事費とは別に確保しておく必要があります。予算オーバーにならないためにも、外構工事を含めた予算計画を立てておきましょう。

●玄関ポーチの役割

玄関ポーチにはどのような役割があるのか、詳しく説明します。

出入りをスムーズにする

扉の前にスペースがあることで、訪問者の対応がスムーズに行うことができます。また、スペースを十分に設けると、荷物やベビーカーなどが置きやすく、人や物の出入りがしやすいでしょう。

雨風や日差しを遮る

玄関ポーチに設けられている屋根で、雨風や強い日差しを防ぐことができます。そのため、外出の際に濡れることなく、傘を差すことや収納することが可能になります。また、玄関周辺の設備が雨風や紫外線によって劣化してしまうことを防ぎます。

外観の印象が良くなる

先述の通り、玄関ポーチのデザインで家全体の印象は大きく変わります。外壁のエクステリアに合わせて統一感を生むことや、印象的な配色を使用してアクセントにすることなど、さまざまな工夫が可能です。

防犯性の向上

玄関ポーチに照明を設置することで、玄関周りが明るくなり、防犯性の向上につながります。

また、玄関ポーチに防犯カメラを設置すると、その効果はさらに増します。玄関周りを撮影できるため、来客者の確認や子どもの見守りが可能であることはもちろん、不審者に向けての抑止力にもなり、結果的にセキュリティー強化につながります。

●玄関ポーチの設備を選ぶ際のポイント

玄関ポーチの設備を選ぶ際に、どのようなことを意識すればよいか、詳しく説明します。

屋根

玄関ポーチの屋根の形状は、片流れや寄棟(よせむね)、バルコニー型など、さまざまなタイプがあり、見た目の雰囲気はもちろん、日当たりや排水性が異なります。

素材も、ガルバリウム鋼板などの金属のほか、木材、ポリカーボネートなどさまざまで、耐久性や採光性によって選べます。

玄関ポーチを覆う屋根のサイズはあまり小さすぎると雨や雪、直射日光を防ぐことができません。屋根の下で傘を広げられるスペースは確保したいものです。また、デザイン性を重視してフラットルーフを設けた場合、傾斜がないためゴミが溜まりやすいうえに掃除が難しくなってしまいます。

床材

床材はデザインだけでなく、滑りにくさや掃除の手間などの機能性も意識することが大切です。床材として主に使われるモルタルやタイルについて、それぞれの特徴を説明します。

・モルタル
モルタルとはセメントに砂と水を混ぜ合わせた建築材料で、低価格なことが魅力。シンプルで無機質な見た目が、おしゃれな雰囲気を演出してくれます。汚れが目立ちにくいうえにフラットな仕上がりのため、掃除が手軽です。

・タイル
タイルは色やデザイン、機能が豊富なので、選択肢が多いことが魅力です。そして耐久性は抜群。滑り止め加工がされている製品を選ぶと、雨の日も安全です。

照明

夜間の使用に加え、防犯対策やおしゃれな空間づくりにも欠かせないのが照明です。省エネ性能が高いLED型を採用すると、防犯のために一晩中点灯しておくことが可能に。虫が寄ってきにくいタイプもあります。センサーライトを設置すると、防犯効果はより高まります。

また、天井に埋め込むダウンライトと玄関近くに設置するポーチライトを組み合わせると、より明るくておしゃれな空間が生まれるでしょう。

玄関ポーチに設置する照明器具は、例え屋根があっても、防雨・防湿性能の高いものを選んでおくと間違いありません。

玄関ドア

玄関ドアには「外開き」「内開き」「引き戸」の3種類があります。玄関で靴を脱ぐ習慣のある日本では、玄関内のスペースを確保するために外開きが一般的。また、車いすを使用する家庭の場合は、引き戸にするとスムーズな出入りができます。

なお、玄関ドアのデザインやカラーバリエーションは非常に多彩です。玄関ポーチ全体の調和を考えて選ぶといいでしょう。

階段・スロープ

階段やスロープは、暮らす人全員が毎日通る場所なので、設計にはこだわりたいもの。特にポーチ階段の高さや幅は、家族構成や将来設計、敷地面積も考慮してバランスよく仕上げる必要があります。玄関ポーチは、家の印象を決める場所ともいえるので、デザイン性も無視できません。

また、玄関ポーチにスロープを設置すると、ベビーカーや車いすなどが通りやすくなり便利です。ただし、スロープは階段に比べて広い設置面積が必要になります。特に、車いすがスムーズに通れるゆるやかなスロープを設置する場合は、長い距離を要します。

さらに、階段とスロープを組み合わせて、バリアフリーを意識した設計にするのもおすすめです。その場合は、階段とスロープの両方に設置費用がかかるため、コストが高くなりますが、長期的に考えるとメリットが多いため、検討してみるといいでしょう。

手すり

階段やスロープの手すりは、安全面を考えるとぜひ取り入れたい設備の一つです。高齢者の転倒防止になるのはもちろん、子どもや妊婦さんなどにとっても安心できるでしょう。

手すりの高さは、一般的に80~90cmの高さに設置することが多いです。ただし、生活動線に配慮して、高さや位置を調整することをおすすめします。

手すりの素材は、ステンレスやアルミニウムといったさびにくいものから、ぬくもりが感じられる木材までさまざまなので、実物の手触りなどをチェックしておきましょう。玄関ポーチの手すりは、建物の美観にも大きな影響を与えるので、スタイルや雰囲気の調和もしっかり図るようにします。

宅配ボックス

宅配ボックスの設置を前提に、玄関ポーチを設計するケースも増えています。宅配ボックスは、在宅、不在にかかわらず、宅配荷物をスムーズに受け取ることができて大変便利です。

壁掛け型やスタンド型、埋め込み型などがあり、サイズもさまざまなものがそろっているので、入れるものの大きさや頻度に合わせて選ぶようにします。宅配ボックスは、暗証番号ロック付きの仕様であることが多く、セキュリティー面でも安心ですが、防犯カメラとあわせて設置することで、効果はさらに高まります。

設置する際は、扉の開く方向などを考えて行うようにしてください。

植栽

玄関ポーチに植栽を配置するのもおすすめです。前述したとおり、玄関ポーチは家の顔ともいえる部分。来客の応対をする場所であり、家族が毎日使う通路でもあることから、人の目に最も多く触れる場所ともいえるでしょう。そのため、季節の花を植えて華やかさを演出したり、グリーンを置いて癒やしにしたりすると、暮らしがより豊かになります。

●注文住宅を建てる時に押さえておきたいポイント

最後に、注文住宅を建てる時に、玄関ポーチについてのプランニングで、押さえておきたいポイントを紹介します。

地域の特性やデザインに合わせた形状にする

住宅を建てる地域の特徴も考えておきましょう。降水量が多い地域であれば、雨風をしのぐために屋根を大きく設けることが大切。そして、雪が降る地域では風除室と呼ばれる玄関フードを設置すると、雪が家に入り込みません。

出入りする状況を踏まえて検討する

プランニングの際、出入りする周辺の環境や今後のことを検討しておきましょう。例えば、玄関が道路に面している場合、目隠しとして使われるルーバーを設置することがおすすめ。また、バリアフリーについては家づくりの段階で考えておくと、後付けをする手間を省くことができますよ。

スペースをしっかりと確保する

訪問者の対応や外出する際、ベビーカーや車いすを置くことを考慮して、最低でも大人が2~3人ほどが収容できるスペースを確保しておくことが大切です。間取りに余裕がある際は、180cm×120cm以上を確保すると、ドアの開閉や訪問者の対応の際に、ゆとりが生まれます。

設備のメンテナンスがしやすいか確認しておく

新築なら、設備のメンテナンスのしやすさも考慮して、玄関ポーチを設計しましょう。というのも、玄関ポーチは、屋根を付けたとしても屋外であることに変わりはありません。直射日光が当たりやすい場所や風雨にさらされやすい方角に向いている場合、劣化が早まる可能性があります。環境が厳しい場所であれば、経年劣化に強い素材を選ぶのがおすすめです。

また、掃除のしやすさも重要視したいポイント。例えば、凸凹の多い床材は避けるのが無難です。凹んだ部分にゴミや汚れが入りやすく、取り除きにくくなります。水はけが悪い場合は、カビが発生することもあるので注意が必要です。

また、見落としがちですが、玄関ポーチの屋根も、メンテナンスや掃除のしやすさに配慮しておくと、後々便利でしょう。玄関ポーチの屋根には、勾配のないタイプがよく採用されていますが、フラットな場合、その上に落ち葉などゴミがたまってしまいます。特に高い屋根の場合だと掃除もしづらいです。はしごをかけられるか、2階から手が届くかなど、気軽に掃除できるか確認しておくようにしましょう。

道路からの視線を遮る方法を取り入れる

玄関ドアの開閉にともない「外からの視線が気になる」という場合は、目隠しになるフェンスやルーバーを設置して視線を遮る方法があります。特に、交通量の多い道路に面している住宅などは、家の中が丸見えになる状態を避けるようにしたいものです。

例えば、格子タイプのフェンスやルーバーを設置すると、圧迫感がなく、風や光を通しながら玄関ポーチ周りを周囲から見えづらくしてくれます。通行人などと目が合わないよう、さらにその一部に目隠しのパネルを設置することも可能です。

なお、目隠し用のフェンスやルーバーは、いろいろなメーカーが、おしゃれな商品をたくさんそろえているため、選ぶのも楽しいです。もし、しっかり視線を遮りたいのであれば、道路と玄関ポーチの間に高さのある塀や門袖を設置しましょう。

●【実例紹介】イシンホームで、素敵な玄関ポーチを実現しよう!

シンプルな白の外壁に映えるのは、ナチュラルテイストのウッディな玄関ドアとポーチ。しっかりと屋根が設けられているため、外出時の出入りもスムーズです。

●まとめ

玄関ポーチは、外観の印象を決める設備です。デザインや配置、大きさを自由に決められる注文住宅の場合は、こだわって設計し、個性を演出するケースが増えています。雨風を遮ったり、セキュリティー効果を高めたりと、機能性も大きなメリット。自身のライフスタイルに合った玄関ポーチを実現させてください。イシンホームでは、多彩なプランの中からお客様のご希望に添ったご提案をしています。メンテナンスについても、ぜひ相談してみてください。

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