注文住宅は、間取りはもちろん、インテリア(内装)も自分のこだわりや趣味を活かしたプランにすることができます。ただひと口にインテリアといっても、決めるべき点は非常に多く、何からはじめ、何を決めていくべきか、悩む人も多いでしょう。そこで今回はインテリア・プランニングの進め方から、決めるべきポイント。様々なテイストの特徴、カラーリングのコツなどオシャレなインテリアづくりの参考となるテクニックをトータルにご紹介します。
●インテリアづくりの決め方
内装やインテリアの決め方には大まかに3つのポイントがあり、ポイントを押さえることでスムーズにプランニングが進められます。
(1)インテリアテイストを考える
まず決めなければいけないのは内装のテイストです。ナチュラルモダンや北欧風、アジアンスタイルなどインテリアテイストには様々な選択肢があります。どのようなテイストを選ぶかが決まらないと、内装やインテリアの方向性も定まりません。
特にリビングやダイニングは家族が集まる空間ですから、家族全体で話しあって方向性を定めることが大切です。目指すべきテイストが決まると、他の選択もスムーズ進められます。
(2)カラーコーディネートを考える
インテリアテイストが決まったら、カラーコーディネートを考えましょう。
基本は、ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーの3つに分けて考えることです。
ベースカラー: 部屋の基調となる色のことで、面積の70%程の配分となります。部屋の大半を占め、インテリアの方向性を決める色となります。
メインカラー: 部屋の主役となる色のことで、面積の配分は25%程。部屋の印象を決定づける色なので、ベースカラーとの調和やアクセントカラーとの相性を考えて選ぶとよいでしょう。
アクセントカラー: インテリアのポイントや、引き締め役になる色で、面積の配分は5%程です。メリハリがつくように、ベースカラーやメインカラーより目立つ色を選ぶようにしましょう。
(3)照明を考える
照明は生活に欠かせない機能ですが、空間演出上も重要な働きをします。
どの位置にどんなライトがあるとよいか、各部屋でどの程度の明るさが必要かなど、しっかりシミュレーションした上で選ぶようにしましょう。
一般的な住まいでは、シーリングライトによる照明が一般的です。しかし、部屋全体が明るくなりすぎ、雰囲気のある空間づくりには物足りないこともあるので一工夫したいところ。天井に照明を埋め込むダウンライト、ブラケットライト、間接照明などを取り入れて、光の変化を演出も考えてください。
●インテリアテイストのタイプと特徴
洗練された印象の空間は、デザインが一つのテイストでまとまっています。同じ空間に、様々なテイストが混在していると、一つ一つは素敵でも、まとまりのない印象になってしまいます。
まずインテリアのテイストを知り、自分の好みを整理していくことが、おしゃれな住まいづくりの第一歩。そこで人気の高い8つのインテリアテイストとその特徴を簡単に紹介します。
◇北欧テイスト
家具や雑貨の「北欧風」人気は今やブームを超え、定番のアイテムになっています。たとえばフィンランド生まれのデザインハウス「マリメッコ」やスウェーデンから世界に広がった家具量販店のIKEAなどは代表的な北欧ブランドです。シンプルで洗練されたデザインと機能性を兼ね備えた北欧アイテムは日本でも多くのファンがいます。
北欧テイストの特徴は木材を多用したナチュラルさとあたたかいカラー使いです。北欧ではもともと森林資源が豊富で、インテリアにも木材がよくつかわれてきました。その中でも明るめの色のパイン材(赤松)は北欧風の内装インテリアによく使われます。
また「アースカラー」や「グレイッシュカラー」と呼ばれるあたたかみのあるカラーがインテリアのポイントに使われていることも特徴です。
◇モダンテイスト
モノトーンをベースカラーに、「シャープ」で「スタイリッシュ」そして「無機質」な空間を作り出すのが「モダンテイスト」の特徴です。モダンテイストは1990年頃からデザインの一つのテイストとして呼ばれるようになり、今ではスタンダードなデザインイメージとして人気です。
モダンテイストのインテリアのポイントは生活感を出さないこと。たとえば収納スペースは隠して存在感をなくしますが、使い勝手は犠牲にしないように設えます。カラーも同系色を使い全体にまとまりを持たせ、長く飽きのこない仕上がりを心がけます。
デザインやカラー使いがシンプルなため、「北欧モダン」や「ナチュラルモダン」、「和モダン」といった他のテイストと組み合わせて個性を出せるのもモダンテイストのメリットです。
◇ナチュラルテイスト
素材感を生かし、自然のぬくもりを感じることができるのが「ナチュラルテイスト」の特徴です。好感度が高く万人受けする定番のデザインイメージと言えます。全体的にシンプルで、明るく淡い色が使用されます。北欧テイストにも通じる印象ですが、ナチュラルテイストはアクセントになるカラーを特に使用しないため、よりシンプルでややクールな印象になります。
内装インテリアでは無垢材と呼ばれるオーク、メープル、パインなどがよく使われます。素足で歩くと木肌の温もりが心地よく感じられ、小さいお子さまのいる家庭でよく使われています。
カーテンやクッションにはコットンや生成り素材を使うことでより自然を感じるインテリアに仕上げます。
◇カフェテイスト
スターバックスに代表されるカフェ文化が生活の中に定着し、それを住まいに取り入れる人も増えています。ひと口にカフェ風と言っても、「ナチュラル」「モダン」「アンティーク」などいろいろなテイストがあり、カフェテイストに明確な定義があるわけではありません。最も大切で肝心なポイントはリラックスできる雰囲気です。空間に統一感があり、あまり生活感を出さないインテリアであることも特徴です。また間接照明やあたたかい色味の照明を使った、くつろげる印象も大切です。
カフェスタイルでよく見られるのは内装に、タイルを取り入れたコーディネートがあります。手軽にカフェテイストにチャレンジしたい人はぜひタイルを検討してみてください。
◇インダストリアルテイスト
「インダストリアル」とは工業や工場といった意味。ポイントとなるのは、次の2つになります。
①大量生産された工業製品のような機能美にすぐれたデザイン。
②工場街をイメージさせるような、スチールやコンクリートなどの建築資材がむき出しになった、無骨なデザイン。
多用される素材としては、スチール、木製、レザーなどで、カラーもブラック、グレー、ブラウンなどになります。
「むき出し感」と「無機質感」をポイントに、たとえば壁はコンクリートやざらざらした荒削りな仕上げとし、家具は無機質なスチールに。ヴィンテージ感を出すために、あえて「サビ加工」なども使います。このような無骨で重厚感のあるデザインが特徴です。
◇和モダンテイスト
モダンな空間の中に和の要素を取り入れた「和モダン」は大人っぽく洗練された雰囲気を感じさせ人気のテイストです。
たとえば、モダンなリビングと一体化する和室を作ることで、よりスタイリッシュな空間になります。黒やグレーなどの畳もあるので無理なくコーディネートできます。また、モダンな印象の部屋に、骨董や民藝デザインのビンテージ家具を置くことで和モダンな雰囲気が手軽に演出できます。
反対に和風の造りであれば、壁をクロス貼りにしたり、押し入れをクローゼットにするだけでも印象がぐっと変わります。最近増えてきている土間収納も和モダンなテイストの一つです。
ただし和モダンは一つ一つのアイテムの質が全体の印象を大きく左右し、コストが高くなりがちなので注意が必要です。
◇フレンチカントリーテイスト
フランスのプロヴァンス地方が発祥のインテリアスタイルで、あたたかく素朴な雰囲気が特徴です。天然木や漆喰などの自然素材を使い、自然に囲まれた田舎暮らしの家をモチーフにしています。レースやフリルで彩るロマンティックなあしらいや、アンティークで渋めのテイストも人気です。
フレンチカントリーのポイントは「白さ」「丸さ」「ナチュラルさ」の3つ。白を基調とした淡い色使いや、丸みのあるデザインの家具、つる植物のような曲線をモチーフにしたアイアン雑貨や木彫りの装飾、木材やコットンなどの素材の質感を生かしたコーディネートが特徴的です。
内装は無垢材で仕上げるのが基本で、木の温もりや上品さを大切にしています。また、家具の塗装をはげさせて使い古された感を演出するテクニックなども使われます。
◇アジアンテイスト
「アジアンテイスト」とは、バリやプーケットなどのアジアンリゾートの自然や別荘(ヴィラ)をイメージしたインテリアのこと。毎日のストレスを忘れリフレッシュできる、ゆったりとした雰囲気がポイントになります。
籐(ラタン)や竹(バンブー)など熱帯の生命力溢れる自然素材を多用し、木目・節など自然の個性をそのまま生かして仕上げられたような、力強さと素朴な風合が特徴です。色使いはブラウン系がベースカラー。ブラウンは木々・大地の力強さや生命力を感じさせてくれるアジアンテイストには欠かせない色味です。
また風が通り抜けるような開放感もポイント。家具もフロアレベルに近いロースタイルを選び、アジアンリゾートのような爽やかで心地良い雰囲気を感じさせるような内装や間取りを心がけてください。
●インテリアプランの際のよくある失敗
インテリアプランは見た目だけではなく、使い勝手や機能についても考える必要があります。ここではよくある失敗例を紹介します。
・コンセントが足りなかった
「使いたい場所にコンセントがない」「コンセントの口数が足りない」など内装の失敗で多いのは、コンセントの数や位置についての失敗。延長コードでの対応では、見た目の印象が悪く、コードも邪魔になります。必要な家電は何か、場所ごとにリストアップし、コンセントを設置しましょう。
・間口が狭く家具が搬入できなかった
家電の搬入できないケースも失敗事例としてよく挙げられます。出入り口は人だけではなく、家具や家電を搬入するための入り口でもあります。また家族が増えることで、家具や家電製品が大きくなる傾向にあり、搬入時にドアを通らないこともあります。大型の家具や家電製品の搬入経路を考え、余裕をもった開口部を考えておくことが大切です。
・サンプルと実際の印象が違った
内装材や壁紙がサンプルのイメージと違うというのもよくあるケースです。これは面積効果や光の当たり具合による印象の違い。面積効果とは面積の大小によって色の見え方が変わる視覚効果のことで、 明るい色は面積が大きいほど明るく濃く見え、逆に暗い色は面積が大きいほど暗く薄く感じられます。
面積が小さいサンプルの印象だけで選ぶと、イメージとのズレが生じてしまいます。照明の当たり方によっても印象が変わるため、。モデルハウスなどで実際の印象を体感しておくと、イメージとのズレは小さくなるでしょう。
・予算をオーバーしてしまった
具体的な失敗とは別に最もよく目にするのがインテリアの予算オーバーです。思い描くインテリアにこだわるあまり、コストのことを忘れてしまうことはありがちなミス。優先順位をしっかり考えて、ゆずれない部分とあきらめられる部分をはっきりさせておきましょう。優先順位が低い場所はグレードの低い部材にするか、採用を見送るなどして予算金額に収まるような選択を心がけてください。トータルな建築費はほぼ決まっていますから、インテリアにかけられる費用をあらかじめ把握し、細かく計算しながらインテリアプランニングを進めることが肝心です。
●内装関連の検討項目
ここではインテリアプランを進める上で検討が必要な素材を整理してポイントを紹介します。
◇フローリング
室内の広い面積を占めるため、インテリアの印象を大きく左右するエレメントです。また、いつも身体に触れている場所なので、見た目だけでなく肌触りも重要です。デザインや材質などのグレードによって費用が変わります。
◇壁素材
壁材は、まずベースになる色を決めて、必要に応じてアクセントを入れていくのが基本的な考え方です。壁の一部をクロス以外の素材に切り替えるアクセントウォールもオススメです。壁材にはいくつかのグレードがあり、選択により費用も変動します。
◇建具
建具とは、ドアや引き戸のことです。インテリアの印象を大きく変える要素であり、例えば部屋をスッキリ見せたいなら「ハイドア」という天井まであるドアを使うと効果的です。室内ドアや収納扉など建具の仕上げやガラスの有無なども、内装費用に影響します。
◇照明
照明は、部屋に応じてメリハリをつけてプランニングするのがポイントです。一般的なシーリングライトだけではなくダウンライトや間接照明を組み合わせると、高級感が出せます。照明を増やすことで複数の配線やスイッチが必要になり、照明器具も増え費用が増加します。
◇造作家具
キッチンカウンターやシェルフなど、注文してあらかじめ造り付けた家具を造作家具と言います。デザインや使い勝手をオーダーできるメリットはありますが、オプション料金となり費用がかかります。ただ、既製の収納システムに必要なサイズやデザインが無い場合は、造作家具でオーダーするのがオススメです。
●上手なインテリアづくりのポイント
注文住宅のインテリアは決めるべき点が多く、予算との兼ね合いもあるため、難しいと感じる方が多いようです。そこでスムーズにインテリアづくりを進めるための基本的なポイントをご紹介します。
・実際の施工実例を見る
インテリアデザインを決める第一歩は、実際の施工例を数多く見て好みのテイストを見つけることです。モダン・ナチュラル・和風・北欧風などさまざまなインテリアテイストがありますが、いろいろな施工実例をチェックして好みの写真をリストアップしておいて、内装を決める前にプランナーに渡せば、希望が伝わりやすくスムーズに進められます。最近ではInstagramなどのSNSを活用するケースも増えています。
・家族で話し合う
家族で好みや意見が分かれることもありますので、時間をつくってそれぞれの希望や意見を聞きながら、大まかな方向性を決めておくことが大切です。特に家族で過ごすリビングは、家族全員の思いを尊重しながらインテリアプランを決めておきたいものです。逆に寝室や子供部屋、クローゼットなどプライバシー性が高い空間は、メインで使う方の希望を反映させてください。
・サンプルで色味や素材感を確認する
壁紙や床材などの内装材は、実物のサンプルを確認しながら決めてください。カタログの印刷では、微妙な色や質感などが分かりません。実物を手に取って触れてみることで、イメージがわきやすく仕上がりとのギャップを減らすことができます。またサンプルは実際のお部屋に近い環境でチェックしましょう。例えば同じ色味の建材でも、照明の明るさや色温度が違うと見え方が大きく変わります。
・家具のイメージも合わせる
床材や壁材などの内装だけではなく、家具などのインテリアもテイストに合わせることでトータルなインテリアの仕上がりに差がつきます。たとえば、北欧風やナチュラルテイストのインテリアには、木製の家具がマッチしますし、モダンテイストなら無機質な素材やシャープなスタイルと相性が良いです。
●まとめ
住まいのインテリアは住む人の嗜好やこだわりを何よりも映し出す大切なポイント。検討する項目が数多く、一筋縄ではいきません。注文住宅を数多く手がけ、多くのインテリアづくりをサポートしてきたイシンホームには、数多くの実例写真やサンプル、さらにはモデルハウスもございます。注文住宅のインテリアでお悩みや疑問がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。