内装のデザインテイストやコーディネートを統一感があるものにまとめるためには、壁材や床材などとともに照明の選定も重要になります。特に照明は、サイズや形の種類が多いうえ、光量や光の色などによっても室内の雰囲気を大きく左右するもの。またテーブルやカーテンのようには気軽に変えられないので、最初の選択が肝心です。そこで今回は、住み始めてから後悔しないために、適切な照明選びのポイントを紹介します。
照明にはどんな種類がある?
まずは、代表的な照明の種類と特徴について解説します。
●ペンダントライト
ダイニングや吹き抜けなどのメイン照明としてよく使われる吊り下げタイプ。機能性に優れているうえ、デザインのバリエーションが豊富でインテリアとしても優秀なので、空間のアクセントとして重宝されます。
●スポットライト
特定の空間を集中的に照らすのに適したライト。オブジェや絵などのインテリア雑貨を強調したい場合に最適です。また光量が強いので、リビングやダイニング、キッチンなどのメイン照明としても使えます。
●ダクトレール
ペンダントライトやスポットライトを複数台設置する場合に使う、レール状の照明用配線器具。レール上の好きな場所に照明を取り付けられるので、気軽に光の位置を調整できるのが魅力。レールへ取り付けられるインテリアアクセサリーなども多く販売されています。
●シャンデリア
装飾が施された吊り下げタイプの照明器具。主にリビングや吹き抜け、寝室、玄関などに用いられます。デザインはきらびやかでゴージャスなものからシンプルなものまでさまざま。いずれも存在感があり、部屋の印象を大きく左右します。
●ダウンライト
天井に埋め込むように設置する小型照明。天井をフラットな状態に維持できるので、空間全体がすっきりした印象にまとまります。ただし、ライトが天井に埋まっている分、光が広がる範囲が狭いのが注意点。そのため玄関や廊下、納戸などに複数台設置したり、リビングやダイニングでは他のメイン照明と組み合わせて補助的に使ったりするケースが多いです。
●シーリングライト
天井に直接貼り付けるような状態で設置する照明器具。明るい光で部屋全体を均一に照らせるので、リビングや寝室、子ども部屋、和室といった幅広い場所でメイン照明として使われます。リモコン操作や光量調整などの機能が付いたものも多く、使い勝手が良いのも魅力です。
●ブランケットライト
天井ではなく、壁に直接取り付ける補助照明。空間のアクセントになるようなインテリア性の高いものから、デスクワークで手元を照らす機能性重視のものまで、種類はさまざまです。照明としての役割に加えて、影を生み出すこともできるので、おしゃれな空間演出にも一役買います。
●フットライト
暗い場所で足元を照らす照明器具。夜間の歩行や、日中でも光が届きにくい廊下や階段での歩行を助けます。暗い時間のみ点灯するものや、人感センサー付きのものなど、便利な機能が付いているものもあります。
●エクステリアライト
エクステリアとは建物の外の装飾全体のことで、玄関ポーチの照明や表札灯、花壇などの外灯がエクステリアライトに該当します。また、人が通った時のみ点灯するセンサーライトなど、防犯性の高いライトもあります。
照明選びのよくある失敗例
どの照明にするか悩んでしまう人のために、よくある失敗例を紹介します。同じ失敗をしないように、照明選びの参考にしてくださいね。
●失敗1:光量が足らず生活しにくい
デザイン性や、部屋全体のコーディネートばかりを優先して照明を選ぶと、暗い空間になってしまうことがあります。本来、照明は明るさを補う器具であるため、“暗い”という失敗は致命的。生活しづらいだけでなく、暮らしにストレスを感じる可能性もあるでしょう。
●失敗2:スイッチが遠い
スイッチは生活感が出やすい部分なので、目につきにくい場所に取り付けたいという人が増えています。そんな人から人気を集めているのは、スイッチやリモコンを1箇所にまとめる壁面収納「スイッチニッチ」。壁面に作った窪みに生活感の出やすいスイッチ類をまとめることで、部屋全体をスッキリ見せることができます。
しかし、見た目ばかりを優先させて部屋のすみや物陰などに取り付けてしまうと使い勝手が悪く、毎回遠くまで操作しに行くのも大変。特に毎日何度も操作するメイン照明の電源は、利便性の高い位置に取り付けるのが実用的です。
●失敗3:明るさが調整できない
家事をする時や仕事をする時、テレビを見る時、寝る時など、生活シーンによって必要な部屋の明るさは違いますよね。それなのに、照明の明るさが“ON”と“OFF”だけだと、眩しすぎる場合には我慢するしかありません。特に寝る部屋の近くは、家族が電気を付けてしまうと気になることが多いので、明るさを調整できる機能があると便利でしょう。
●失敗4:照明の位置を調整できない
照明の位置を調整できないと不便なケースも考えられます。代表的なのはリビングとダイニング。リビングにはダウンライトを設置することが多い傾向がありますが、ダウンライトは光が広がる範囲が狭いので、あらかじめ家具の配置を想定した上で設置されます。そのため、将来的にその配置を大きく変える模様替えを行うと、欲しい場所に明かりが届かないことがあるのです。一方ダイニングは、食事をする場所であるため手元をしっかり照らす必要がありますが、ライトの位置を調整できないとテーブルの位置を変えた際に食事がしにくくなる可能性が考えられます。
●失敗5:常夜灯がない
常夜灯という言葉のもともとの意味は、一晩中つけておく明かりのこと。住宅の照明としては、寝る時も邪魔になりにくいわずかな明るさのものを指すのが一般的です。メイン照明に付いている豆電球もあれば、フットライトのようなタイプも存在します。これらの常夜灯がないと、夜トイレに起きる際に真っ暗で不便でしょう。
新築の照明計画 大切なポイントは?
最後に、新築住宅の照明計画を行う際に大切なポイントについて紹介します。
●照明の色は「温白色」を基本に考える
一般的に住宅の照明として多く使われるのは、「電球色」「温白色」「白色」の3種類。「電球色」はまるで夕陽のような温かみがある赤みがかった黄色の光、「白色」は3種類の中で最も明るく太陽の光に近い白色の光、「温白色」はその2色の温かみと明るさを併せ持ったバランスの良い光です。そのため、まずは中間色である「温白色」を想定し、部屋全体の色調と照明を決めていくのがおすすめです。
●打合せで自分の希望を担当者にはっきり伝える
新築住宅の打ち合わせでは、CS(カラースキーム)という家全体の配色に関する計画が行われます。具体的にいうと、色のもつ心理的・生理的・物理的な性質を利用して、まとまりのある部屋の雰囲気を作り上げる作業です。この打ち合わせでしっかり要望を伝えなければ、部屋のイメージがガラッと変わってしまう可能性も考えられます。打ち合わせ続きで疲れが溜まってくる頃ではありますが、細かい要望もきっちり伝えることが大切です。
●シーリングライトとダウンライト、どちらを選ぶべき?
数ある照明のなかで、特によく利用されるのがシーリングライトとダウンライト。どちらを導入するか迷う人のために、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
<シーリングライト>
メリット
・室内全体を照らすため、明るい
天井に貼り付けるように設置するシーリングライトは、高い位置から部屋全体を照らせるのが魅力。他の照明よりサイズが大きく、光も強い傾向があるので、明るい照明といえるでしょう。
・利便性が高い製品が多い
住宅のさまざまな場所でメイン照明として使われるシーリングライトは、既製品のバリエーションが豊富。例えば、リビングの雰囲気に合わせて光の色を変えられるタイプや、寝室で使いやすいよう光の強さを調節できるタイプがあります。高性能な製品になると、スマホやリモコンで操作できるタイプも。さらに、最近では木製や鉄製のフレームがついたデザインや、シーリングファン付きなど、見た目が個性的な製品も増えているので、好みに合わせて探しやすいでしょう。
・取り替えが簡単
一般的に、シーリングライトは“引掛け(ひっかけ)シーリング”を利用して設置されるケースが多いです。引掛けシーリングとは、照明を取り付けるために天井に設けられる電源ソケットのこと。この引掛けシーリングにシーリングライトの先端にある“シーリングキャップ”をカチッと嵌め込むだけで簡単に付け外しできます。そのため、違う照明に取り替えたい場合に自分で作業しやすいでしょう。
ただし、大きくて重いシーリングライトは天井に直付けされる可能性があり、その場合は自分で簡単に取り替えることができないため、注意が必要です。
デメリット
・天井に凹凸ができてしまう
シーリングライトは天井に貼り付けるような状態で設置するので、どうしても天井に凹凸ができてしまいます。照明のサイズも小さくないので、ある程度存在感が出てしまうのは否めません。
・デザインに物足りなさを感じる人も
最近はさまざまな素材やデザインのシーリングライトが販売されていますが、シーリングライトは形状の自由度に限界があるため、ペンダントライトやシャンデリアほど目を引くインパクトは感じにくいです。また、広範囲に光を届けるため、光と影のコントラストを演出したい場合には、シーリングライトだけでは力不足といえるでしょう。
<ダウンライト>
メリット
・天井に埋め込むため、すっきりとした印象になる
ダウンライトは、天井に埋め込んで設置するため、天井をフラットな状態に保つことができます。凹凸感がない天井は広く感じられ、空間全体がすっきりした印象にまとまります。
・間接照明としての利用で、おしゃれな雰囲気を演出できる
小型照明であるダウンライトは、大型で強い光を発するシーリングライトと比べて柔らかい光を発します。そのため、メイン照明としてではなく、天井や壁に反射させた間接的な光を楽しむことを目的に利用すると、おしゃれな雰囲気を演出できます。
・掃除が不要
シーリングライトやペンライト、シャンデリアなど、一般的な照明器具は、傘やカバー、装飾の定期的な掃除が欠かせません。しかし、ダウンライトの場合は、天井に設けられた凹みに直接電球が差し込まれるので、他の照明器具のような面倒な掃除が不要です。
デメリット
・部屋が暗いと感じることがある
ダウンライトは、1つひとつの光が弱いため、使い方によっては「暗い」と感じてしまう可能性があります。設置数を増やしたり、メイン照明の補助として使ったりするなど、工夫することが大切です。
・費用が高くなってしまう
ダウンライトで十分な明るさを確保しようとすると、複数設置しなくてはいけないので、その設置費用が高くつく傾向があります。さらに、電球が寿命を迎えて交換する際に自分では交換できないため、専門業者に工事を依頼する費用も必要です。
以上の特徴を考慮すると、シーリングライトは子ども部屋・書斎のような“明るさを優先させたい場所”におすすめです。反対に、キッチンやトイレ、洗面台のような“明るさより雰囲気を優先させたい場所”には、ダウンライトがぴったりでしょう。
●照明の組み合わせ方を紹介
シーリングライトやダウンライトは、単体ではなく他の照明と組み合わせることで、より個性的な空間を演出することができます。
シーリングライト+ダウンライト
シーリングライトで十分な明るさを確保したうえで、ダウンライトの温かみのある光でおしゃれな空間を演出。実用性を優先しつつ、雰囲気にもこだわりたい人におすすめです。
ダウンライト+間接照明
ダウンライトをメイン照明として使用し、明るさを補うように間接照明を設置。天井や壁に反射して広がる間接照明の光が映え、落ち着いていてムーディな空間に仕上がります。
ダウンライト+スポットライト
キッチンの照明におすすめ。スポットライトで手元を照らすことで、おしゃれなカフェ風に。
イシンホームの場合、照明はCSの中盤に部屋の色と一緒に決めていきます。その際、お客様に0から決めていただくのは大変なので、まずは照明メーカーからの提案をもとに、お客様のご要望を反映していきます。イメージ通りの住まいが完成するように、全力でサポートさせていただきますので、遠慮なくご要望をお聞かせくださいね。